ラズとリドの大冒険

５

３

　呆れながら、ラニーが言った。
「本当に、困った人」
　同じく呆れた様子の、ルニーが言った。
「ふふっ、ヤモンって、面白いのね」
　ラズが、笑って言った。
「どこがだい？」
　モルティが、信じられない、とでもいうような顔をして、ラズを見た。
「ラズはわかってないな。こいつは、ただのだらしないやつだよ」
「あら、でも、たまにはそういう日があっても、私は別に、構わないけどね」
　こだわりなく、ラズが言った。
　そんな平和な時間を過ごしていた矢先、事件は起こった。
「ねえ、みんな、あれを見て」
　ふいに、ルニーが海を指差して、言った。
「なんだか知らないボートが、島に上がってこようとしているわよ」
「なんだって？」
　ヤモンが、目を見開きながら言った。
「この島は、今日の夜に限って、俺たちの貸切にしておいたはずだぞ。それなのに、許可もなく、入ってこようとしやがって。どんな悪党だ！　俺が一丁、こらしめてやる！」
　そう言うと、ヤモンは、ケンカをする気満々になって、腕まくりし出した。
「まあまあ、ヤモン」
　モルティが、暴走しそうなヤモンを、おさえるように言った。
「ただ、僕たちが予約していたことを知らないで、入ってきてしまった人かもしれないから、そう怒らないでよ」
　しかしヤモンは、そんなことお構いなしに、今にも、島に上がってきた人を、殴りかかろうとしているように見える。
　この状況の中、ずっと料理に夢中になって、ガツガツと食べ続けていたリドは、急に、食べるのをやめて、
「俺、ちょっと見てくる」と、口の周りについた汚れを、服の袖で拭きながら、そう言った。
「あっ、リド、待って。私も行くわ」