ラズとリドの大冒険

大森かおり

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「まだもうすこし、かかるかと思われます」
「そうか」
 リドが言った。
「客人の船がきたら、すぐに教えてくれ」
「もちろんでございます、リド様」
 快く、ルビットが返事をした。
 それから、引き続きルビットは、あちらこちらに、自分がのぞいている単眼鏡を向けて、遠くからやってくる船はこないかと、十分に、目を光らせて見ているようだった。
「ややっ、リド様! ついにきましたぞ!」
 いつも冷静なルビットにしては、めずらしく興奮している様子で、そう言った。
「しかも、そんじょそこらの、普通の船ではございませぬぞ! 見てください! あの、妙ちきりんな船ですよ!」
「なんだって?」
 ルビットのいう、その変な船の姿がまだ見えないリドは、どんな船なのかを、がんばって想像しながら、聞き返した。
「それは、俺たちの船よりも、おかしな船だっていうのか?」
 するとルビットは、何度もうなずきながら、
「ええ、ええ、私どもの船よりも、よっぽど妙ちきりんですよ」と言った。
「ご自分の目で、どうぞ確認なされてください」
 そういうルビットは、単眼鏡をどこかに置いてしまったのか、近くにないリドのかわりに、自分の単眼鏡を、操舵室の下、デッキの上に立っているリドに向かって、ほうり投げた。
 リドは、そのルビットが投げたばかりの単眼鏡を、パシッと、しっかりとつかみとると、早速、単眼鏡をのぞきこみはじめた。
 そして、ルビットが見ていた方角と、おなじ方角に単眼鏡を向けると、ルビットのいうとおり、そこには、これまで見たことのないような、とんでもなく変わった船が、こちらに進んできているのが、レンズの中に映し出されていた。
それを見たリドは、みるみる、口を開け出して、
「本当じゃないか!」と、声を上げた。
「あんな奇妙でおかしな船、いままでで一度だって、見たことがないぞ!」
 ルビットの時とおなじくらい、興奮しながら、リドが言った。
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