ラズとリドの大冒険

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９

　デッセンスは続けて、口の横に手をやりながら、
「いわゆる、サプライズってやつだよ」と、笑いながら付け加えた。
「そりゃいいや！」
　腹を叩きながら、ルクワタが、豪快に笑って言った。
「ゾルディーネ様も、さぞかしお喜びになるだろう」
　それを聞いたデッセンスは、満足そうにすると、
「そうだろう、そうだろう」と、何度か頷いた。
「まあ、兄貴のことだから、水晶玉を使って、すでに俺の予定を盗み見ている可能性もあるけどな。まったく、我が兄貴ながら悪趣味だ」
　きまり悪そうに、デッセンスが言い添えた。
「それにしても兄貴のやつ、元気にしてたのか？」
　するとルクワタは、一瞬だけ目を見開くと、
「ああ、してたとも。はやく会いにいってさしあげるといい」と言った。
「おお、そうか」
　機嫌よく、デッセンスが言った。
「じゃあ、善は急げと言うしな。早速、会いに行くとするか」
　デッセンスはそう言った後、パッと後ろを振り向いて、自分の部下に、すぐに場所を移動するよう、厳しく命じた。
「ルクワタ、あとでまた来るから、その時は一杯、やろうぜ」
　部下からルクワタに向き直ったデッセンスが、ドリンクジェスチャーをしながら言った。
「もちろんだ。待ってるから、早く来いよ」
　ルクワタが言った。
　この様子から見てとれるように、ルクワタとデッセンス、二体の怪物は、とても仲がよさそうだった。ラズたちは、その不気味な怪物たちの奇妙なやり取りを、終始困惑しながら見ていた。
　それから、デッセンスの命により、部下たちの手によって、黒い船はすぐさま移動が開始された。そうすると、後ろにくっついていた、ラズたちの乗る小さなジオードサンド号の姿が、黒い船の近くで、ちらりと見えた。
　するとルクワタは、それを見逃すまいとするように、鋭く目を光らせ、
「あ！　そこ！　そりゃあ、一体なんだ？」と、黒い船の後ろに張りついている、ジオードサンド号を前にして、言った。
「ああ？　なんのことだ？」
　デッセンスが、けげんそうに、船の後ろを確認しながら言った。