ラズとリドの大冒険

大森かおり

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「一体どんなやつが、死海に住む者の目を盗んで入ってこられたのか——きっととんでもないやつに違いないぜ。なにせ、お前も言っていたように、こんなことは、滅多にないことだからな」
 ルクワタの目は、仲のいいデッセンスを見るような、親しげな目ではなく、この頃には、獲物を狙うような、細くて鋭い、危険な目になっていた。
 デッセンスはそこで、再びデッキの上におり立つと、そんなルクワタを見て、
「ああ、それはたしかに。言えてるな」と、同意した。
「じゃ、俺があの船を捕らえてくるから、お前はここで待っていろ」
 突然、デッセンスの意見も聞かずに、ルクワタが、命令するように言った。
「おいおい、待っていろって言ったって、お前、俺より先に、あの船を横取りしようって魂胆こんたんじゃねえだろうな?」
 デッセンスが、疑ってかかった。
「そいつあ、俺の獲物でもあるんだぜ」
 そう言うデッセンスは、急に、目つきが悪くなっていた。
「あいつらの中に、得上の夢でも入っていたりしてみろ。それこそ、大手柄じゃねえか」
「まあ、待てって」
 ルクワタが、すぐにデッセンスを制した。
「ちゃんと、あとでお前にも、わけてやるからさ」
 デッセンスを安心させるように、ルクワタが言った。
「俺はただ、あれだ。まあ、ちょーっと、ひとっ走りいって、相手がどんなやつなのか、見てくるだけさ」
 動揺しているのか、身振り手振りを大げさに加えながら、なんだか疑わしく、ルクワタが言った。
「ほお、そんじゃ、はやいとこやってくれよ」
 面倒くさそうに、デッセンスが言った。
「俺はゾルディーネの兄貴のところに、はやいとこ行かないといけねえんだ。それはお前も十分、わかっているんだろう?」
 続けて、デッセンスは、ルクワタを急かすように言った。
「兄貴のやつ、怒るとおっかねえんだぞ」
 その強そうな見た目に相応しいとは言えないくらい、ゾルディーネに恐れている様子で、デッセンスが言った。
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