ラズとリドの大冒険

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３０

「ルビット！」
　ラズが、操縦室に入る手前の、階段の最上段、半開きになっている扉の前で、ぐったりと倒れているルビットを見つけるなり、血相を変えて言った。
　それから、おろおろとルビットのそばに近寄ると、両ひざをついて心配しながら、ルビットを見つめた。
「ああ、どうしたの？」
　ラズが話しかけても、ルビットは何も言わない。
　ルビットの身に、一体何が起こったのか、ラズはけげんに思いながら、続けてルビットに、何度か話しかけた。しかしルビットは、相変わらず口を開こうとはしない。
　ラズは念のため、ルビットの心臓の音を確かめた。
「よかった、まだ生きているみたい」
　安心しながら言ったラズだったけれど、次に視線を、半開きになっている扉の中に移した途端、思いきり目を見開いた。
　なんとリドも、ルビットと同じように、舵の手前で倒れていたのだ。
「リド！　あなたまで、一体どうして？」
　ラズは、まだルビットの近くにいながら、そう声を上げた。
　そのあと、少し沈黙が流れてから、床に倒れて、苦しそうにしているリドが、
「こんなはずじゃなかった……」と、ゆっくりと、後悔しているように言った。
「本当はここで、ルビットがいつものように隙をついて、あいつに攻撃をするはずだった。でも、ルビットまで攻撃をされたせいで、やり返せなかった」
　見たところ、リドはケガをしてしまったのか、自分の二の腕を、痛そうに押さえている。
「でも……あの水のリングは、リドとルビットを、狙っていなかったじゃない。それなのに、どうして？」
　不思議に思いながら、ラズが尋ねた。
「俺にもわからない。でも、どうやらあいつは、俺たちの知らないところで、俺たちを攻撃していたみたいだ」