ルーカスと呪われた遊園地(上)

大森かおり

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4 妹の決断

27

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 スズメの鳴き声が聞こえる。もう朝だ。柚子は重たいまぶたを、ゆっくりとあけた。
 ふと枕の横に置いてあったスマホを見ると、時刻はすでに、八時になっていた。
「わっ、大変! 遅刻だわ!」
 柚子は、ベッドから飛び起きて言った。
「もうー、なんでアラーム鳴らなかったの?」
 けげんに思って、あらためてスマホの通知を見ると、アラームはもう、とっくに鳴り終えたあとだったことがわかった。
「鳴らなかったんじゃなくて、気がつかなかっただけだったのね……」
 真実を知って、柚子は自分に呆れながらも、急いで学校にいく準備をはじめた。
 着ていたパジャマを脱ぎ捨て、ハンガーにかけてあった制服をつかみ、乱暴にきた。そして近くにあったクシをとり、鏡を見ながら、いつもよりも雑に髪をとかした。最後に足を上げて、靴下をはこうとすると、踏みはずして転びそうになった。
「おっとっと——はあ、あぶなかったー」
 そのあと、無事に靴下をはき、急いで洗面台に移動した。顔を洗って歯をみがき、鏡の前で笑顔を作ると、
「よし、完璧だわ!」と言って、洗面台からはなれた。
「おはよう」
 リビングに入るなり、柚子が言った。
 テーブルの前の椅子に座っている父と、その周辺に立ちながら、盆を持っている母は、テレビに釘づけになっていた。
 やがて、母が柚子に気づくと、
「柚子……」と、消え入りそうな声で言った。
「まあ、お母さん。どうしたの、そんな暗い顔して」
 柚子は近くに寄って、二人がいま、目にしているテレビの画面を見た。するとそこには、おどろくべきことに、自分の姉である、乙葉の顔が、大きく映し出されていた。
「嘘、お姉ちゃんっ……!」
 思わず床に膝をつきながら、柚子もテレビに釘づけになった。
「行方不明になっているのは、東京都に住む、高校二年生の倉本乙葉さんです。倉本さんは二日前の朝、散歩に行くと行って、一人で家を出て行き、行方不明となりました。警察は、倉本さんの家族から、その当日の夜に電話があった後、倉本さんが散歩したと思われる道で、聞き込み調査を行いました。その結果、近隣住民の方から、倉本さんは、山の頂上付近にある、廃墟の遊園地にいる可能性が高いことがわかりました。
 その廃墟の遊園地では、十年前にも、百人近い人が行方不明となっており、それ以降、立ち入り禁止となっておりました。
 また、行方不明となった倉本さんを助けるために、同じく高校二年生の相沢京一さんも、二日前の夜に、行方不明になっているとのことです。警察は今朝も、倉本さんと相沢さんの捜索そうさくを続けています。倉本さんの服装は——」
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