ルーカスと呪われた遊園地(上)

大森かおり

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7 お化け屋敷と空中ブランコ

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「本当に、本当ですか?」
 しつこく久遠が聞いた。
「うるさいな。確実はないって言ってるだろ? 聞こえなかったのかよ」
 うっとうしげに京一が言った。
「じゃあ僕、まだ自信は持てないですけど、少しずつがんばってみます。相沢くんに負けないためにも」
 いつか、乙葉に好きになってもらうためにも。
 京一のおかげで、久遠は少し希望を持つことができ、元気がよみがえったような顔になった。
「なんだよ、俺と勝負する気か? おもしろい、やってやろうじゃないか」
 にやりと笑いながら、京一が言った。
「で、でも、いまのところ僕は、まだまだなんで、もっと強くなったら、また勝負をお願いします」
 まだ実力の差がある京一と、すぐに戦うのはご免だった久遠は、あわててそう言った。
 京一はフッと笑うと、
「望むところだ」と言った。
 そのあと、二人は橋の上を渡りきると、ふたたび、出口までの通路を進んだ。
「それにしても、さっきのあの気持ちの悪い手は、一体なんだったんですかね」
 歩きながら、久遠が京一に話しかけた。
「多分、あれもカラクリ人形だろう」
 京一が言った。
「えっ⁉︎ 水の中に、人がいたんじゃないんですか?」
 予想外の回答に、久遠はおどろいた。
「そんなわけないだろ」
 きっぱりと京一が言った。
「いまのところ、この遊園地には外からきた俺たち、それにルーカスと、バーサークだけしかいない。まあ、もしかしたらほかにも、探せばもっといるのかもしれないが、あの手はカラクリ人形でまちがいない。ていうか、あれだけ長い手の化け物みたいな人間が、あんなに何人もいてたまるかよ」
 京一は言いながら、眉をひそめていた。
 これまでずっと、人間が川の中にいるのだと思っていたが、京一の主張によって、久遠の考えは、あっという間にくつがえされた。
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