混沌の赤い薔薇

猫町氷柱

文字の大きさ
上 下
5 / 27
第一章 異物殲滅部隊

1.抗う者たち

しおりを挟む
「お姉ちゃん聞いてる?僕の質問に答えてよ。もしも、邪魔をするというのなら……容赦なく消すよ」
 低い心の欠落したような冷徹な声、 虚ろな眼は私を捉え離さない。
「あなたの目的は何?私は生存者を助けに来たの。でもクリスタルを発見したからにはただで帰るわけにはいかないわ」
「よく分かったよ。このクリスタルを壊すというのならお姉ちゃんは敵。残念だけど色々と厄介そうな力も持ってるみたいだからここで消すね」
(冗談じゃないわ……こんなところで死んでたまるもんですか)
「簡単に消すとか言ってくれるじゃない。お子様が生意気なこと言ってるとお姉さんキレちゃうかもしれないから言葉は慎重に選ぼうね」
「ふーん、まあ遊んでくれるのは嬉しいけど生憎あまり時間もないから。最初から少し力出していくね。力の差が分からないわけじゃないよね?おばさん」
 私の中でぷつんと何かが切れる音がした。
誰がおばさんよ。まだ、二十代だっての!!。そりゃあ、老け顔かもしれないけどさ……って誰が老け顔やねん。ああもういい、腹立ってきた上位種か何だか知らないけどアンナが焼き尽くしてあげる。
「ネコロン、イデアフォース解。猫拳カンフーフィクスモード」
 ネコロンが形態変化し、私の腕に武器となり装着された。イデアフォースとは対悪魔憑き用に一部のゼノクリスタルを機械の燃料として改良したものだ。様々な特性を秘めたイデアフォースがあり、刀や鎌として昇華したり、私の場合は格闘術に特化している。燃料というだけあって時間は半日、ただ絶大な力を得るため持続できるのは精々2時間ほどだ。
「一気に決めさせてもらうわ!!」
「おばさんと言ったことは謝るよ。だけど、僕、私……我々の計画を狂わせる訳にはいかないのでね。この場でご退場願いたい」
 まるでいくつかの人格があるかのように様々な声が飛び交った。
しおりを挟む

処理中です...