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第3話 世界の説明
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「…とりあえず、悠里は平行世界から来た。それは間違いないんだな」
「無論だ。何を今さら。もっとも私のいた世界とこの世界では、だいぶ違うけどね」
俺たちはファミレスにて、とりあえずのような会話を繰り出す。しかしここのファミレスあんま冷房効いてないな…まあ学校にいるよりは全然快適だし頭も回る。よし、話を進めよう。
「ある日突然この世界で目覚めるのか?その予兆は?あとこの世界にいた須磨悠理の人格はどこにいった?」
とりあえず聞きたい事を聞いておく。俺はメモの用意をしながら彼女の話を待った。悠理は咳ばらいをした後、語り始めた。
「そうだ。私の場合は仕事中に突然めまいがした後目の前が真っ暗になってな、気づいたらこの世界にいたという訳だ。予兆みたいなものはない。最初は何が何やら分からなかったがね」
「…ちょっと待ってくれ、仕事中に?仕事って…バイト?」
「ああ、私のいた世界では核戦争真っ只中でな。とてもじゃないが学生とて学業に打ち込んでいる余裕などなかった。ある程度年齢がいけば男女とも戦場に駆り出されるか、もしくは軍需産業で働かされるかのどちらかだった。当時私は戦場にて負傷し、軍管轄の食品工場にて働いていた。今考えても辛い日々だった…」
「ちょ!ちょっと!!…核戦争!?」
「この世界にいる人間には想像つかないだろうが、私のいた世界では二年前にそれが引き起こされた。悲惨な話だよ…日本は核の被害こそまぬがれていたが、世界のあちこちでは核が落とされ凄まじい被害が出ていた。人口が九割減ったなんて国もあるくらいさ。日本は軍の奮戦もあって、なんとか壊滅をしのいでいた。命を懸けて死んでいった人達には、感謝しても足りないくらいだよ」
「う、嘘だろ…別の世界ではそんなんになってんのかよ……ていうか軍って…日本に軍!?自衛隊は?」
「そんなものとっくに廃止されたよ。自衛隊は四年前に軍隊として再編成され、そのための法案もあっという間に通っていった。その頃から世界が緊張状態だったからね。…この世界では未だに自衛隊なんだね。素晴らしいじゃないか」
「自衛隊が軍になって現在戦争状態…凄い世界だな…」
「日本ももちろん無傷じゃなかった。戦争によって国力は疲弊し、今確か残ってるのは七千万人くらいか…」
「七千万人!?あとの五千万人はどこ行ったんだよ!?…ってまさか…」
「死んだに決まっているだろう。当然だ、現在世界に無傷の国などない」
気づけば悠里の顔から微笑みが消え、凄く険しい表情をしていた…今の悠里から感じる雰囲気は、とても一介の女子高生のものとは思えない。まさに地獄を潜り抜けてきた兵士って感じだ。実際人だって殺しかねないような、そんな事を思わせる雰囲気を漂わせていた。…戦場にて負傷って事は、彼女も人を…って!
_いかんいかん。彼女のヨタ話に真剣に付き合うところだった。
俺は元々彼女の話を信じている訳じゃない。最初から妄想、もしくはデマという前提で話を聞いている。そんな認識にもかかわらず何故彼女の話を聞くのかというと、より多くの情報を集める事が真相究明の糸口に繋がると考えたからだ。…だがこれはやり過ぎだろう。設定がブッ飛んでいる。デマにしても、もう少しリアリティを持たせないと誰も聞きやしない。ただこの気迫だけは、まさに迫真の演技と言えるだろう。
…感心してる場合じゃない。俺は改めて、この自称転生者達が陰謀論者扱いされるべくしてされている事実を再確認した。だが今俺がする事は、彼女と議論し打ち負かす事ではない。別にこちらの正当性を主張したい訳でもない。ただ、情報が欲しいだけだ。俺は改めて聞き直す事にした。
「なるほど、大変な世界だったんだな。この世界に生きている俺は恵まれているという事か」
「そうだ。この世界は素晴らしい。以前まであった平和な日常がここにある!私も君も、この世界に大いに感謝すべきだ!私は今とても充実しているよ」
遠い目をしながら悠里が語る。この感情の入りぶりは、正直騙される奴がいてもおかしくないくらいだ。演技だとしたら実に素晴らしい、いい女優になれそうだ。…だが、本当に演技なのだろうか…。
「悠里が元居た世界の話は後でゆっくり聞くとして…元々『この世界』にいた須磨悠理はどうなったんだ?消えてしまったのか?」
「それについては問題ない。何故なら、こちらの世界の私と向こうの世界にいた私は既に融合しているからだ。今の私の体には、二つの世界の須磨悠理が内在している」
「…融合?二重人格者という事か?いまいち話が飲み込みづらいんだけど…」
「別に二重人格という訳じゃない。人格は…そうだな、統合されたというべきか。記憶にしてもそうだ。私がこの世界で目覚めたのはひと月前だが、むしろ記憶として多く残っているのはこの世界の記憶だ。元居た世界の記憶は全て覚えている訳ではなく、断片的にいくつかの記憶が抜けている。最初は半分くらいしか元の世界の記憶がなかったが、今朝多くの記憶を取り戻し八割くらいまでは思い出せた気がする。それと同時にこの世界の須磨悠理が十七年間どうやって生きてきたか、何を記憶していたかは明確に頭の中にある。どうやら記憶に関しては移動先の世界の方がより強く残るらしい。人格は逆に移動元の世界の方が、より色濃く出ているように思う」
「なるほど、同時に二つの世界の記憶ってのはややこしいな…混乱しないか?」
「正直たまに混乱する。あれ、この思い出はどちらの世界の記憶だったけ…と。まあそこら辺の記憶の齟齬や混濁は仕方がない。世界を移動するというのはそういうものなんだろうと思っている」
「あと、人格が統合されるってのはどういう感じなんだろう?」
「私としてもどうにも説明しづらいが、世界線が違うとはいえ基本的には同一人物だ。その人間が本来持ってる先天的要素に関しては共通している。違うのは世界線の違いによる後天的要素だ。例えば元の世界での私はもっと気性が荒かったように思うが、この世界の悠里と統合する事で非常に穏やかな性格になった。これは実感として断言できる」
「…穏やか?お前が…?」
「何か言ったか」
なんかすごい睨んできた!怖!!
「い、いや何でも!ま、まあなんとなくだけど少しわかってきたよ。…そういや平行世界って事は、悠里だけじゃなく俺を含めた他の人間も元居た世界には存在してるんだよな。何か覚えている事ある?」
「すまないが、全く記憶にない。元の世界では私は福岡在住で、この土地の事は知らないんだ。私の統合された記憶によると、この世界の私は中学の時に現在地である埼玉県に引っ越してきたようだ。父親の転勤でね。元の世界の私は、中学の時父が言った転勤するかもしれない、という言葉はよく覚えている。その後転勤はなくなったけどね。だから私には元の世界での皆の記憶がない」
なるほど、元の世界では福岡にいたと…さえちゃんに聞けば、悠里が中学の時本当に福岡から転校してきたかどうか確認できるだろうから、今度聞いてみよう。…さて、もう少しツッコんだ話題を振ってみようか。
「ネット上でも転生者ってたまに見かけるけどさ、書き込みのどこまでが本当なんだろうな。悠里的にはどう思う?」
「私もネットでの転生者情報は収集するようにしている。私の実感では…半々と言ったところか。中には明らかなデマやなりすましの連中がいて、中々たちが悪い。我々転生者にとってはその情報がデマかどうかはすぐにわかるのだが、この世界の人間にはわからないだろう。例えば『元の世界では回復魔法が存在し、従来の医者は皆消えた』とか『元の世界では日本が世界を支配している』とか『元の世界では犬や猫と普通に会話ができる』など、ありえない書き込みをする奴らが後を絶たない」
「あー確かに、どれも見たことあるような…」
「無論ここまで非現実的な事例なら、さすがにこの世界の人間でもそれがふざけた書き込みだとわかるだろうが、問題はさもありそうなデマを流す奴だ。これが非常にやっかいだ。『元の世界では日本の首相は女性が務めている』とか『元の世界では高校が四年制になっている』とか『元の世界では人体用マイクロチップとそれに付随する各種デバイスが広く普及し、電子決済や通信、認識システムなどが全世帯で当たり前のように使われている』など、一見この世界の人間であっても、信じてしまいそうな事を書き込んでくる。無論、今言った例も当然デマだ」
悠里が神妙な面持ちで語る。今ケーキを食べ終わったのにまだ足りないのか、メニューをパラパラとやっている。
「なるほど、確かにマイクロチップなんかはこっちの世界でも現在進行形で使われ始めてるし。向こうの世界で広く普及している…と言われても疑わないだろうな」
「迷惑な話だよ。微妙なところをついて巧みに誘導し、我々をデマに見せかける。…まさか闇の組織が何らかの工作を…」
「さあ、それはさすがにどうかな…」
あちゃー、闇の組織ときたよ。こういう事言い出す奴は、大抵妄想大好き陰謀論者と相場が決まってる。何か間尺に合わない事が出てくるとすぐに『闇の組織』とか『政府の陰謀』と言い出す。
…しかしここまで聞いてて何か引っかかる。さえちゃんによると悠里はごく普通の少女で、常識人とのことだ。そんな彼女が、急変した理由…正直、そこのところが気になる。何かきっかけとなる出来事があったのか…今の俺には知る由もない。とにかく、一番聞きたかった話題を振ってみよう。
「そういば、転生者と最近よく出ている行方不明者との間に、何らかの関連性がある…という書き込みを見たんだが」
その話題を振った途端、彼女の顔色が急変した。
顔は強張り、何か言いたくても言えないような表情で、口を半開きにしたまま動きを止めている。彼女のこの反応は正直意外だった。何か気まずいような、怯えたような…そんな感じを漂わせている。
「あ、知らないなら別にいいんだけど、なんとなく気になったから…」
俺がまだしゃべり終わらないうちに、彼女は口を開いた。
「…違う、たぶん違う、絶対違う!転生者とは何の関係もない!!」
な、なんだ!?一体なんだよ!?急に叫ぶような口調で彼女がまくしたてた。意味が分からない。自分でも背筋が凍る感覚がはっきりとわかった。…関係あるのか、やっぱり………。
…彼女は、何者なんだ。この事件と、何の関係があるんだ!
「無論だ。何を今さら。もっとも私のいた世界とこの世界では、だいぶ違うけどね」
俺たちはファミレスにて、とりあえずのような会話を繰り出す。しかしここのファミレスあんま冷房効いてないな…まあ学校にいるよりは全然快適だし頭も回る。よし、話を進めよう。
「ある日突然この世界で目覚めるのか?その予兆は?あとこの世界にいた須磨悠理の人格はどこにいった?」
とりあえず聞きたい事を聞いておく。俺はメモの用意をしながら彼女の話を待った。悠理は咳ばらいをした後、語り始めた。
「そうだ。私の場合は仕事中に突然めまいがした後目の前が真っ暗になってな、気づいたらこの世界にいたという訳だ。予兆みたいなものはない。最初は何が何やら分からなかったがね」
「…ちょっと待ってくれ、仕事中に?仕事って…バイト?」
「ああ、私のいた世界では核戦争真っ只中でな。とてもじゃないが学生とて学業に打ち込んでいる余裕などなかった。ある程度年齢がいけば男女とも戦場に駆り出されるか、もしくは軍需産業で働かされるかのどちらかだった。当時私は戦場にて負傷し、軍管轄の食品工場にて働いていた。今考えても辛い日々だった…」
「ちょ!ちょっと!!…核戦争!?」
「この世界にいる人間には想像つかないだろうが、私のいた世界では二年前にそれが引き起こされた。悲惨な話だよ…日本は核の被害こそまぬがれていたが、世界のあちこちでは核が落とされ凄まじい被害が出ていた。人口が九割減ったなんて国もあるくらいさ。日本は軍の奮戦もあって、なんとか壊滅をしのいでいた。命を懸けて死んでいった人達には、感謝しても足りないくらいだよ」
「う、嘘だろ…別の世界ではそんなんになってんのかよ……ていうか軍って…日本に軍!?自衛隊は?」
「そんなものとっくに廃止されたよ。自衛隊は四年前に軍隊として再編成され、そのための法案もあっという間に通っていった。その頃から世界が緊張状態だったからね。…この世界では未だに自衛隊なんだね。素晴らしいじゃないか」
「自衛隊が軍になって現在戦争状態…凄い世界だな…」
「日本ももちろん無傷じゃなかった。戦争によって国力は疲弊し、今確か残ってるのは七千万人くらいか…」
「七千万人!?あとの五千万人はどこ行ったんだよ!?…ってまさか…」
「死んだに決まっているだろう。当然だ、現在世界に無傷の国などない」
気づけば悠里の顔から微笑みが消え、凄く険しい表情をしていた…今の悠里から感じる雰囲気は、とても一介の女子高生のものとは思えない。まさに地獄を潜り抜けてきた兵士って感じだ。実際人だって殺しかねないような、そんな事を思わせる雰囲気を漂わせていた。…戦場にて負傷って事は、彼女も人を…って!
_いかんいかん。彼女のヨタ話に真剣に付き合うところだった。
俺は元々彼女の話を信じている訳じゃない。最初から妄想、もしくはデマという前提で話を聞いている。そんな認識にもかかわらず何故彼女の話を聞くのかというと、より多くの情報を集める事が真相究明の糸口に繋がると考えたからだ。…だがこれはやり過ぎだろう。設定がブッ飛んでいる。デマにしても、もう少しリアリティを持たせないと誰も聞きやしない。ただこの気迫だけは、まさに迫真の演技と言えるだろう。
…感心してる場合じゃない。俺は改めて、この自称転生者達が陰謀論者扱いされるべくしてされている事実を再確認した。だが今俺がする事は、彼女と議論し打ち負かす事ではない。別にこちらの正当性を主張したい訳でもない。ただ、情報が欲しいだけだ。俺は改めて聞き直す事にした。
「なるほど、大変な世界だったんだな。この世界に生きている俺は恵まれているという事か」
「そうだ。この世界は素晴らしい。以前まであった平和な日常がここにある!私も君も、この世界に大いに感謝すべきだ!私は今とても充実しているよ」
遠い目をしながら悠里が語る。この感情の入りぶりは、正直騙される奴がいてもおかしくないくらいだ。演技だとしたら実に素晴らしい、いい女優になれそうだ。…だが、本当に演技なのだろうか…。
「悠里が元居た世界の話は後でゆっくり聞くとして…元々『この世界』にいた須磨悠理はどうなったんだ?消えてしまったのか?」
「それについては問題ない。何故なら、こちらの世界の私と向こうの世界にいた私は既に融合しているからだ。今の私の体には、二つの世界の須磨悠理が内在している」
「…融合?二重人格者という事か?いまいち話が飲み込みづらいんだけど…」
「別に二重人格という訳じゃない。人格は…そうだな、統合されたというべきか。記憶にしてもそうだ。私がこの世界で目覚めたのはひと月前だが、むしろ記憶として多く残っているのはこの世界の記憶だ。元居た世界の記憶は全て覚えている訳ではなく、断片的にいくつかの記憶が抜けている。最初は半分くらいしか元の世界の記憶がなかったが、今朝多くの記憶を取り戻し八割くらいまでは思い出せた気がする。それと同時にこの世界の須磨悠理が十七年間どうやって生きてきたか、何を記憶していたかは明確に頭の中にある。どうやら記憶に関しては移動先の世界の方がより強く残るらしい。人格は逆に移動元の世界の方が、より色濃く出ているように思う」
「なるほど、同時に二つの世界の記憶ってのはややこしいな…混乱しないか?」
「正直たまに混乱する。あれ、この思い出はどちらの世界の記憶だったけ…と。まあそこら辺の記憶の齟齬や混濁は仕方がない。世界を移動するというのはそういうものなんだろうと思っている」
「あと、人格が統合されるってのはどういう感じなんだろう?」
「私としてもどうにも説明しづらいが、世界線が違うとはいえ基本的には同一人物だ。その人間が本来持ってる先天的要素に関しては共通している。違うのは世界線の違いによる後天的要素だ。例えば元の世界での私はもっと気性が荒かったように思うが、この世界の悠里と統合する事で非常に穏やかな性格になった。これは実感として断言できる」
「…穏やか?お前が…?」
「何か言ったか」
なんかすごい睨んできた!怖!!
「い、いや何でも!ま、まあなんとなくだけど少しわかってきたよ。…そういや平行世界って事は、悠里だけじゃなく俺を含めた他の人間も元居た世界には存在してるんだよな。何か覚えている事ある?」
「すまないが、全く記憶にない。元の世界では私は福岡在住で、この土地の事は知らないんだ。私の統合された記憶によると、この世界の私は中学の時に現在地である埼玉県に引っ越してきたようだ。父親の転勤でね。元の世界の私は、中学の時父が言った転勤するかもしれない、という言葉はよく覚えている。その後転勤はなくなったけどね。だから私には元の世界での皆の記憶がない」
なるほど、元の世界では福岡にいたと…さえちゃんに聞けば、悠里が中学の時本当に福岡から転校してきたかどうか確認できるだろうから、今度聞いてみよう。…さて、もう少しツッコんだ話題を振ってみようか。
「ネット上でも転生者ってたまに見かけるけどさ、書き込みのどこまでが本当なんだろうな。悠里的にはどう思う?」
「私もネットでの転生者情報は収集するようにしている。私の実感では…半々と言ったところか。中には明らかなデマやなりすましの連中がいて、中々たちが悪い。我々転生者にとってはその情報がデマかどうかはすぐにわかるのだが、この世界の人間にはわからないだろう。例えば『元の世界では回復魔法が存在し、従来の医者は皆消えた』とか『元の世界では日本が世界を支配している』とか『元の世界では犬や猫と普通に会話ができる』など、ありえない書き込みをする奴らが後を絶たない」
「あー確かに、どれも見たことあるような…」
「無論ここまで非現実的な事例なら、さすがにこの世界の人間でもそれがふざけた書き込みだとわかるだろうが、問題はさもありそうなデマを流す奴だ。これが非常にやっかいだ。『元の世界では日本の首相は女性が務めている』とか『元の世界では高校が四年制になっている』とか『元の世界では人体用マイクロチップとそれに付随する各種デバイスが広く普及し、電子決済や通信、認識システムなどが全世帯で当たり前のように使われている』など、一見この世界の人間であっても、信じてしまいそうな事を書き込んでくる。無論、今言った例も当然デマだ」
悠里が神妙な面持ちで語る。今ケーキを食べ終わったのにまだ足りないのか、メニューをパラパラとやっている。
「なるほど、確かにマイクロチップなんかはこっちの世界でも現在進行形で使われ始めてるし。向こうの世界で広く普及している…と言われても疑わないだろうな」
「迷惑な話だよ。微妙なところをついて巧みに誘導し、我々をデマに見せかける。…まさか闇の組織が何らかの工作を…」
「さあ、それはさすがにどうかな…」
あちゃー、闇の組織ときたよ。こういう事言い出す奴は、大抵妄想大好き陰謀論者と相場が決まってる。何か間尺に合わない事が出てくるとすぐに『闇の組織』とか『政府の陰謀』と言い出す。
…しかしここまで聞いてて何か引っかかる。さえちゃんによると悠里はごく普通の少女で、常識人とのことだ。そんな彼女が、急変した理由…正直、そこのところが気になる。何かきっかけとなる出来事があったのか…今の俺には知る由もない。とにかく、一番聞きたかった話題を振ってみよう。
「そういば、転生者と最近よく出ている行方不明者との間に、何らかの関連性がある…という書き込みを見たんだが」
その話題を振った途端、彼女の顔色が急変した。
顔は強張り、何か言いたくても言えないような表情で、口を半開きにしたまま動きを止めている。彼女のこの反応は正直意外だった。何か気まずいような、怯えたような…そんな感じを漂わせている。
「あ、知らないなら別にいいんだけど、なんとなく気になったから…」
俺がまだしゃべり終わらないうちに、彼女は口を開いた。
「…違う、たぶん違う、絶対違う!転生者とは何の関係もない!!」
な、なんだ!?一体なんだよ!?急に叫ぶような口調で彼女がまくしたてた。意味が分からない。自分でも背筋が凍る感覚がはっきりとわかった。…関係あるのか、やっぱり………。
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