6 / 27
5.
しおりを挟む
夜遅くに家に着いたが、まだ灯りがついていない。やはり父さんたちはまだ帰って来ていない。
帰ってきて「おめでとう」と言って欲しかった。少し寂しくなってしまう。それにしても父さんは、王都に何日も何をしに行ったのだろう?
結局、父さんたちは出かけてから、半月後に帰って来た。
「ただいま。エリー、試験どうだった?」
「おかえりなさい。父さん、いつになったら帰ってくるのか?心配したわよ。試験はちゃんと合格しました。」
「おめでとう、おみやげがお祝いになっちゃったわね。」
母さんに渡されたおみやげは王都で人気のお菓子ときれいな紫色の石がついた髪留めだった。
「ありがとう。」
「母さんがエリーの瞳と同じ色だから、これがいいって選んだんだぞ。」
「嬉しいけど、一体何しに王都へ何日も行ってたのよ。患者さんやお客さんがみんな困っていたのよ。」
「悪かったな。ちょっとのはずが、知り合いに会うことになったりしたから。」
「そう言えば、父さんたちが出かけた日からずっと待っているお客さんがいるわよ。」
「客?患者さんじゃないのか?」
「うん。話聞きたいとか言ってた。フェルティ王国から来たっていう、私くらいの年の男の人。」父さんはしばらく誰だろう?と考えていた。
「ガイルの店に行って来るから、2人は先に寝ていてくれ。」
「父さんたら、帰ってすぐに飲みに行くのね。」
そう言って、母さんが呆れていた。
明日のパンの仕込みを2人でして、久しぶりに母さんの美味しい夕ごはんを食べて、ひと息ついた。
「やっぱり母さんのごはんは美味しいわね。自分で作るとあまり美味しくないのよね。」
「エリーも好きな人が出来れば、がんばって美味しく作れるようになるんじゃないの?」
「うーん。当分無理かなぁ、好きな人とかいないし。」
「いままでに1人もいないの?」
「うん。17歳になって初等学校の同級生も結婚した子はたくさんいるし、医療補助の試験で仲良くなった子たちも合格したら旦那様になる人の手助けするために試験受けてるんだけどねー。」
「エリーは、そういう人もいないし、どこか別の場所で1人でやるつもりがない、父さんっ子なのね。」
「母さんにそう言われちゃうとね。」
「ところで、母さんと父さんってどこで知り合ったの?」
「父さんと母さんは、幼なじみでね。父さんが医師学校に行ってしばらく会わなかったんだけど、たまたま私が働いていた場所で再開して結婚したの。」
「いいなぁ、私にも幼なじみいたら良かったのに…」
なんとなく自分で言って引っかかったのだが、なんだか分からなかった。
帰ってきて「おめでとう」と言って欲しかった。少し寂しくなってしまう。それにしても父さんは、王都に何日も何をしに行ったのだろう?
結局、父さんたちは出かけてから、半月後に帰って来た。
「ただいま。エリー、試験どうだった?」
「おかえりなさい。父さん、いつになったら帰ってくるのか?心配したわよ。試験はちゃんと合格しました。」
「おめでとう、おみやげがお祝いになっちゃったわね。」
母さんに渡されたおみやげは王都で人気のお菓子ときれいな紫色の石がついた髪留めだった。
「ありがとう。」
「母さんがエリーの瞳と同じ色だから、これがいいって選んだんだぞ。」
「嬉しいけど、一体何しに王都へ何日も行ってたのよ。患者さんやお客さんがみんな困っていたのよ。」
「悪かったな。ちょっとのはずが、知り合いに会うことになったりしたから。」
「そう言えば、父さんたちが出かけた日からずっと待っているお客さんがいるわよ。」
「客?患者さんじゃないのか?」
「うん。話聞きたいとか言ってた。フェルティ王国から来たっていう、私くらいの年の男の人。」父さんはしばらく誰だろう?と考えていた。
「ガイルの店に行って来るから、2人は先に寝ていてくれ。」
「父さんたら、帰ってすぐに飲みに行くのね。」
そう言って、母さんが呆れていた。
明日のパンの仕込みを2人でして、久しぶりに母さんの美味しい夕ごはんを食べて、ひと息ついた。
「やっぱり母さんのごはんは美味しいわね。自分で作るとあまり美味しくないのよね。」
「エリーも好きな人が出来れば、がんばって美味しく作れるようになるんじゃないの?」
「うーん。当分無理かなぁ、好きな人とかいないし。」
「いままでに1人もいないの?」
「うん。17歳になって初等学校の同級生も結婚した子はたくさんいるし、医療補助の試験で仲良くなった子たちも合格したら旦那様になる人の手助けするために試験受けてるんだけどねー。」
「エリーは、そういう人もいないし、どこか別の場所で1人でやるつもりがない、父さんっ子なのね。」
「母さんにそう言われちゃうとね。」
「ところで、母さんと父さんってどこで知り合ったの?」
「父さんと母さんは、幼なじみでね。父さんが医師学校に行ってしばらく会わなかったんだけど、たまたま私が働いていた場所で再開して結婚したの。」
「いいなぁ、私にも幼なじみいたら良かったのに…」
なんとなく自分で言って引っかかったのだが、なんだか分からなかった。
0
あなたにおすすめの小説
ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく
犬野きらり
恋愛
リディア・ガルドニ(14)、本日誕生日で転生者として気付きました。私がつい先程までやっていた行動…それは、自分の婚約者に対して重い愛ではなく、ストーカー行為。
「絶対駄目ーー」
と前世の私が気づかせてくれ、そもそも何故こんな男にこだわっていたのかと目が覚めました。
何の物語かも乙女ゲームの中の人になったのかもわかりませんが、私の黒歴史は証拠隠滅、慰謝料ガッポリ、新たな出会い新たな人生に進みます。
募集 婿入り希望者
対象外は、嫡男、後継者、王族
目指せハッピーエンド(?)!!
全23話で完結です。
この作品を気に留めて下さりありがとうございます。感謝を込めて、その後(直後)2話追加しました。25話になりました。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
私の存在
戒月冷音
恋愛
私は、一生懸命生きてきた。
何故か相手にされない親は、放置し姉に顎で使われてきた。
しかし15の時、小学生の事故現場に遭遇した結果、私の生が終わった。
しかし、別の世界で目覚め、前世の知識を元に私は生まれ変わる…
私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?
きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。
しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……
王宮に薬を届けに行ったなら
佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。
カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。
この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。
慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。
弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。
「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」
驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。
「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」
※ベリーズカフェにも掲載中です。そちらではラナの設定が変わっています。(貴族→庶民)それにより、内容も少し変更しておりますのであわせてお楽しみください。
【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。
絶望?いえいえ、余裕です! 10年にも及ぶ婚約を解消されても化物令嬢はモフモフに夢中ですので
ハートリオ
恋愛
伯爵令嬢ステラは6才の時に隣国の公爵令息ディングに見初められて婚約し、10才から婚約者ディングの公爵邸の別邸で暮らしていた。
しかし、ステラを呼び寄せてすぐにディングは婚約を後悔し、ステラを放置する事となる。
異様な姿で異臭を放つ『化物令嬢』となったステラを嫌った為だ。
異国の公爵邸の別邸で一人放置される事となった10才の少女ステラだが。
公爵邸別邸は森の中にあり、その森には白いモフモフがいたので。
『ツン』だけど優しい白クマさんがいたので耐えられた。
更にある事件をきっかけに自分を取り戻した後は、ディングの執事カロンと共に公爵家の仕事をこなすなどして暮らして来た。
だがステラが16才、王立高等学校卒業一ヶ月前にとうとう婚約解消され、ステラは公爵邸を出て行く。
ステラを厄介払い出来たはずの公爵令息ディングはなぜかモヤモヤする。
モヤモヤの理由が分からないまま、ステラが出て行った後の公爵邸では次々と不具合が起こり始めて――
奇跡的に出会い、優しい時を過ごして愛を育んだ一人と一頭(?)の愛の物語です。
異世界、魔法のある世界です。
色々ゆるゆるです。
【完結】地味な私と公爵様
ベル
恋愛
ラエル公爵。この学園でこの名を知らない人はいないでしょう。
端正な顔立ちに甘く低い声、時折見せる少年のような笑顔。誰もがその美しさに魅了され、女性なら誰もがラエル様との結婚を夢見てしまう。
そんな方が、平凡...いや、かなり地味で目立たない伯爵令嬢である私の婚約者だなんて一体誰が信じるでしょうか。
...正直私も信じていません。
ラエル様が、私を溺愛しているなんて。
きっと、きっと、夢に違いありません。
お読みいただきありがとうございます。短編のつもりで書き始めましたが、意外と話が増えて長編に変更し、無事完結しました(*´-`)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる