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クリスは、薬が効いたようで昼にはまだベッドから出れないが、起き上がれるようになった。
「ごめん。リアを守るとか言っておきながら、迷惑かけて。」
「そうですよ。おかげで私、医療補助資格違反しちゃいましたから。」
「まぁもう医療補助の仕事はしないだろうから…私と一緒になれば王太子妃になるんだし。」
「えっ⁈フェルティに帰れば、私はただの侍女に戻ろうと…」
「やっと見つかったリアを私が手放すと思っていたのか。」
クリスのことは、幼い頃のことは思い出していないが、フェルティで再会してからずっと恋人のように接しているなかで少しずつ惹かれて、今ではあえて目的を考えて想いに蓋をしようと努力していたのに、そんなことを言われてしまうなんて…
「あのークリストファー様もリアーナ様も盛り上がっているところ申し訳ないのですが…」
ニーナの声で我に返って慌てる。
「な、何?」
「ゼルド王がクリストファー様の体調が悪いとお聞きしたので、侍医を連れて来たとおっしゃっておりますが、いかがいたしますか。」
「通してくれ。」
クリスが応えるとすぐにゼルドが入ってきた。
「王太子殿、どうされた?念のため我が王宮が誇る侍医を連れて来たが。」
「ゼルド王、お気遣いありがとうございます。頑張り過ぎて少し疲れてしまったのだと思います。」
「ルパート、診察を。リアーナ嬢は診察中はあちらで話でもして待ちましょう。」
そっちが目的だろうと言わんばかりに私の肩を抱きエスコートされてしまう。
隣の部屋には、お茶が用意されていたので、向かい合わせで座る。
「リアーナ嬢、どうかな?私は王太子と違い丈夫だぞ。」
「私はクリストファー様をお慕いしております。そのお話はしないでくださいませんか。」
「我が国から王太子殿には側妃が生んだ姫との縁組を打診している。そうなるとあなたは正妃にはなれないだろう。私は、王妃と離縁してあなたを正妃にすることを考えておるぞ。」
なんということを言うんだろう。自分にはなんでも思い通りに出来ると思っている傲慢さがみてとれた。
呆れつつ、お茶を一口飲んだ。瞬間、失敗したと気がついた。お茶にかすかな苦味を感じたのだ。身体がだるい、即効性の睡眠薬だろうか、そのまま意識を手放してしまった。
「ごめん。リアを守るとか言っておきながら、迷惑かけて。」
「そうですよ。おかげで私、医療補助資格違反しちゃいましたから。」
「まぁもう医療補助の仕事はしないだろうから…私と一緒になれば王太子妃になるんだし。」
「えっ⁈フェルティに帰れば、私はただの侍女に戻ろうと…」
「やっと見つかったリアを私が手放すと思っていたのか。」
クリスのことは、幼い頃のことは思い出していないが、フェルティで再会してからずっと恋人のように接しているなかで少しずつ惹かれて、今ではあえて目的を考えて想いに蓋をしようと努力していたのに、そんなことを言われてしまうなんて…
「あのークリストファー様もリアーナ様も盛り上がっているところ申し訳ないのですが…」
ニーナの声で我に返って慌てる。
「な、何?」
「ゼルド王がクリストファー様の体調が悪いとお聞きしたので、侍医を連れて来たとおっしゃっておりますが、いかがいたしますか。」
「通してくれ。」
クリスが応えるとすぐにゼルドが入ってきた。
「王太子殿、どうされた?念のため我が王宮が誇る侍医を連れて来たが。」
「ゼルド王、お気遣いありがとうございます。頑張り過ぎて少し疲れてしまったのだと思います。」
「ルパート、診察を。リアーナ嬢は診察中はあちらで話でもして待ちましょう。」
そっちが目的だろうと言わんばかりに私の肩を抱きエスコートされてしまう。
隣の部屋には、お茶が用意されていたので、向かい合わせで座る。
「リアーナ嬢、どうかな?私は王太子と違い丈夫だぞ。」
「私はクリストファー様をお慕いしております。そのお話はしないでくださいませんか。」
「我が国から王太子殿には側妃が生んだ姫との縁組を打診している。そうなるとあなたは正妃にはなれないだろう。私は、王妃と離縁してあなたを正妃にすることを考えておるぞ。」
なんということを言うんだろう。自分にはなんでも思い通りに出来ると思っている傲慢さがみてとれた。
呆れつつ、お茶を一口飲んだ。瞬間、失敗したと気がついた。お茶にかすかな苦味を感じたのだ。身体がだるい、即効性の睡眠薬だろうか、そのまま意識を手放してしまった。
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