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婚約破棄を突き付けられた方の事情 わかってます?
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私がグレモント王立学園の卒業パーティー会場に到着したのは、パーティーも終わりに近い時間だった。用事があったのもあるが、本来エスコートするはずの婚約者でエンデバス公爵家の次男、ウォルトが迎えに来なかったせいだった。
たった1人で社交の場に来ることが、どんなに恥ずかしいことなのか、わかっているのか、いやむしろ嫌がらせかとも思いながらウォルトが男爵令嬢のレイナと仲睦まじくダンスを踊っているのを眺めていると視線に気付いたウォルトがこちらに近づいてきた。
「アストレア!君には幻滅した。レイナに対してずいぶんな仕打ちをしたそうだな。」
ウォルトは、私をエスコートしなかった事を詫びることもなく、責めてきた。
私の今の肩書きは伯爵だ。大事な事なので2回言うが伯爵令嬢ではなく伯爵として母方の祖父から受け継いだ領地経営もちゃんとやっている領主だから、はっきり言って、色恋にかまけているウォルトより何倍も忙しいのであまり興味ない婚約者に粉かける男爵令嬢に構う暇はないですけど。
それに...
ウォルトはさらにレイナを抱きしめ、甘い笑顔をしたが、こちらを睨みながら更に畳み掛けてくる。
「王族に連なり、将来王に最も近い存在だと言われる私の婚約者の立場が脅かされると思ったか?
お前とは、婚約破棄だ!」
ウォルトさん、もしもし?
私とあなたの婚約を決めたのは、陛下ですよね?
今日のパーティーは学園の卒業パーティーで陛下や重鎮の方々は出席していないが、放った言葉を取り消させてなんかあげる気はない。
「わかりましたわ。婚約破棄ですね。」
私が返すとウォルトが冷たい目をこちらに向けた。
「レイナに謝罪はないのか?」
あぁ面倒な男だ。そしてあまりにもお馬鹿さんだ。
私が本気で男爵令嬢を排除するなら、自分の持つ全ての力を使う。そんな指導かいじめか分からない方法なんて取らない。明日には、男爵家ごとなくなってるわ。
呆れつつも親切に現状を教えてあげよう。私って優しいわね。と思う事で気持ちを持ち上げる。
「ところでエンデバス公爵家次男のウォルト様、なぜ公爵家のあなたが王族に連なるものなんでしたっけ?」
「それは私が王に最も近いと皆から言われたから。」
「あなたには、同じ両親から生まれたお兄さまがいるのに、王に最も近い存在だと言われたのかしらねぇ。それと私のフルネーム覚えていらっしゃるかしら?」
「えっと...アストレア・マリア・ファルス・グレモント...グレモンとぉ⁈」
「よく覚えていらっしゃったわね。あまりのことに忘れてると思っていたわ。そうよ。あなたが王に1番近い存在なのは、あなたが私の婚約者、将来の女王の王配になるはずだったからよ。それなのに男爵令嬢にうつつ抜かして、王太子の一人娘に無礼を働いたあなたは、最上の婿入り先をなくしただけでなく、公爵家の信用も揺るがしたのだから、全てを失ったと言うことになるわね。」
ウォルトは放心状態で座り込み、レイナは話が違うと喚いていて邪魔なので、警備の騎士に移動という名の連行をさせた。
「皆さま、お騒がせいたしました。残りわずかな時間ですが、お楽しみくださいませ。」
とりあえず時間をとってしまったことを出席した皆様にお詫びして、立ち去ろうとした私の前に男性陣の列が出来ている⁈
ただの伯爵令嬢なら、婚約破棄されて傷がついたと言われ嫁ぎ先に困るところだが、私は現在、女伯爵。次男三男以降なら婿入りできる!しかも王の孫で王太子の一人娘、王位継承第2位、将来は女王の王配も夢じゃないということで、現金な男達が群がってきたのだ。
「アストレア様、お迎えにあがりました。」
男達から守るようにいつの間にか騎士が立っていた。後ろ姿でも分かる私の大好きな騎士デイルだ。
幼い頃に大人たちの都合でウォルトと婚約させられたけれど、これで片付いたから、もう気持ちは隠さない!
「デイル、ラストダンスを私と踊ってくださるかしら?」
周りから「えー」と声が上がった。
卒業パーティーのラストダンスは、婚約者や恋人と踊るもの、それを女性から誘ったのだ。
「私でよろしいのですか?」
デイルににっこりと微笑んで応える。
「デイルがいいの。」
「では、アストレア様、私とラストダンスを踊っていただけますか。」
デイルのこういうちゃんと誘い直してくれるところが好きなのよね。
「よろこんで。」
1年後、ファルス伯爵家に養子に入ったデイルが伯爵となり、アストレア姫の伴侶へと選ばれるのだった。
たった1人で社交の場に来ることが、どんなに恥ずかしいことなのか、わかっているのか、いやむしろ嫌がらせかとも思いながらウォルトが男爵令嬢のレイナと仲睦まじくダンスを踊っているのを眺めていると視線に気付いたウォルトがこちらに近づいてきた。
「アストレア!君には幻滅した。レイナに対してずいぶんな仕打ちをしたそうだな。」
ウォルトは、私をエスコートしなかった事を詫びることもなく、責めてきた。
私の今の肩書きは伯爵だ。大事な事なので2回言うが伯爵令嬢ではなく伯爵として母方の祖父から受け継いだ領地経営もちゃんとやっている領主だから、はっきり言って、色恋にかまけているウォルトより何倍も忙しいのであまり興味ない婚約者に粉かける男爵令嬢に構う暇はないですけど。
それに...
ウォルトはさらにレイナを抱きしめ、甘い笑顔をしたが、こちらを睨みながら更に畳み掛けてくる。
「王族に連なり、将来王に最も近い存在だと言われる私の婚約者の立場が脅かされると思ったか?
お前とは、婚約破棄だ!」
ウォルトさん、もしもし?
私とあなたの婚約を決めたのは、陛下ですよね?
今日のパーティーは学園の卒業パーティーで陛下や重鎮の方々は出席していないが、放った言葉を取り消させてなんかあげる気はない。
「わかりましたわ。婚約破棄ですね。」
私が返すとウォルトが冷たい目をこちらに向けた。
「レイナに謝罪はないのか?」
あぁ面倒な男だ。そしてあまりにもお馬鹿さんだ。
私が本気で男爵令嬢を排除するなら、自分の持つ全ての力を使う。そんな指導かいじめか分からない方法なんて取らない。明日には、男爵家ごとなくなってるわ。
呆れつつも親切に現状を教えてあげよう。私って優しいわね。と思う事で気持ちを持ち上げる。
「ところでエンデバス公爵家次男のウォルト様、なぜ公爵家のあなたが王族に連なるものなんでしたっけ?」
「それは私が王に最も近いと皆から言われたから。」
「あなたには、同じ両親から生まれたお兄さまがいるのに、王に最も近い存在だと言われたのかしらねぇ。それと私のフルネーム覚えていらっしゃるかしら?」
「えっと...アストレア・マリア・ファルス・グレモント...グレモンとぉ⁈」
「よく覚えていらっしゃったわね。あまりのことに忘れてると思っていたわ。そうよ。あなたが王に1番近い存在なのは、あなたが私の婚約者、将来の女王の王配になるはずだったからよ。それなのに男爵令嬢にうつつ抜かして、王太子の一人娘に無礼を働いたあなたは、最上の婿入り先をなくしただけでなく、公爵家の信用も揺るがしたのだから、全てを失ったと言うことになるわね。」
ウォルトは放心状態で座り込み、レイナは話が違うと喚いていて邪魔なので、警備の騎士に移動という名の連行をさせた。
「皆さま、お騒がせいたしました。残りわずかな時間ですが、お楽しみくださいませ。」
とりあえず時間をとってしまったことを出席した皆様にお詫びして、立ち去ろうとした私の前に男性陣の列が出来ている⁈
ただの伯爵令嬢なら、婚約破棄されて傷がついたと言われ嫁ぎ先に困るところだが、私は現在、女伯爵。次男三男以降なら婿入りできる!しかも王の孫で王太子の一人娘、王位継承第2位、将来は女王の王配も夢じゃないということで、現金な男達が群がってきたのだ。
「アストレア様、お迎えにあがりました。」
男達から守るようにいつの間にか騎士が立っていた。後ろ姿でも分かる私の大好きな騎士デイルだ。
幼い頃に大人たちの都合でウォルトと婚約させられたけれど、これで片付いたから、もう気持ちは隠さない!
「デイル、ラストダンスを私と踊ってくださるかしら?」
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「私でよろしいのですか?」
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「デイルがいいの。」
「では、アストレア様、私とラストダンスを踊っていただけますか。」
デイルのこういうちゃんと誘い直してくれるところが好きなのよね。
「よろこんで。」
1年後、ファルス伯爵家に養子に入ったデイルが伯爵となり、アストレア姫の伴侶へと選ばれるのだった。
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