王妃候補は、留守番中

里中一叶

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王宮に行くまでアイリス様の部屋を使って、それらしくふるまうことになった。部屋は白を主にサーモンピンクを挿し色に使う落ち着いた雰囲気だ。
椅子に座り、アイリス様になる為のレクチャーを専属メイドのマリーとリリアに始めてもらう。

「妃候補はアイリス様以外に4人いて、公爵家は、ティーダ家のアリア様、侯爵家がサンド家のナタリー様とルシエン家のシンシア様、ストルト辺境伯のアリス様です。アリア様は、癖のある金髪に青い瞳、ナタリー様がストレートの栗色の髪に緑色の瞳、シンシアさんは淡い金髪ストレートに茶色の瞳、アリス様は赤毛に黒い瞳が特徴です。性格は、きつい順にアリア様、アリス様、シンシア様、ナタリー様。アリス様は、辺境伯の娘らしい自分でも剣を使う方でナタリー様は、今回数合わせで呼ばれたらしく実はお相手がいるらしいとのことです。」
「詳しいのですね。」
「皆さま、お茶会に幼い頃から何回も参加されて、アイリス様と一緒に会っていますから。」

「アイリス様じゃないとばれませんか?」
「それは大丈夫だと思います。アイリス様は、基本黙って座っているだけであまり積極的に仲良くなりませんでした。目の前で、色々やっているのを見ているだけで、都合が悪ければ本を読んでいたから気がつかなかったわと言っておられましたから。アイリス様には、他に特に親しい令嬢もいらっしゃらなかったですね。」

「マリー、リリア。頼りにしています。」
「アイリス様付きとして、一緒に王宮に行くので困ったら、なんでもおっしゃってください。この屋敷内で今回のことを知っているのは、アイリス様付き全員と執事長、メイド長以外は、旦那様付きのオリバーくらいです。
だから、セリーナ様がいない間は、伯爵家には、アイリス様の依頼で領地を訪ねているということにしておきます。弟さんが訪ねてきたときは、アイリス様付きのメイドが対応するから大丈夫です。」

「アイリス様の趣味は読書なんですね。どういったものがお好きなんですか?」
「アイリス様はなんでも読みますよ。ジャンルに縛られていないから、何か聞かれたらその本はまだ読んでなかったので、詳しく教えてくださいって言っておけばなんとかなります。食べ物の好き嫌いはないし、色は白が好きですね。」

「それで王太子様は…」 
「アイリス様は、幼い頃から何回か会ったことはあるけれど、好みじゃないから付かず離れずの距離で、まさか候補にされるとは思わなかったようです。」
「アイリス様は、なぜ執事の方と?」
「チャーリーは、アイリス様の乳母の子で、ずっと一緒に育ってきたそうです。いくつか縁談が舞い込んできたことで、チャーリーを旦那様がアイリス様付きから外そうとしたから、駆け落ちしたようなんです。結果的にセリーナ様には迷惑かけてしまいましたけど。」
「皆さんは、アイリス様に協力したんですね。」
「最初は反対しましたよ。世間知らずのお嬢様ができるはずないと。でもアイリス様を見ていたら応援したくなりました。」
「私、頑張って王太子妃候補の留守番してきます。」
「留守番ですか。」
「えぇ。アイリス様が帰るまでのお留守番です。」

こうして私は王宮へ向かう日まで、令嬢としてのマナーやダンスレッスンやアイリス様についてのレクチャーに明け暮れた。
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