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自分の結婚話をゆっくり考えている暇を与えてくれるほど、仕事に余裕があるわけではなく、山のような仕事を処理していくアーノルドの補佐をしながら…
いや、ほんとコイツ有能すぎる。
ついていくのがやっとの自分が情けなくなる。アーノルドの兄貴ぶっていた過去の自分を殴りたくなるくらいに恥ずかしい。

顔合わせ当日になってしまった。

事前に執事に指示を出して庭にティーセットを用意させてある。

まぁ、庭でのお茶なら緊張せずに話せるだろう。

「旦那様、ターナー伯爵がお見えになりました。」

執事が来訪を伝えたので案内を頼む。
少ししてニコニコ顔のターナー伯爵が現れた。
隣にいる少女がクリスティアか…

一目見て、私は固まった。

ふわふわなくせのある淡い金髪に空のような青い瞳。
幼さが残る笑顔は、とても愛らしい。天使か⁈天使が舞い降りた!

自分の顔が赤くなったことに気づいたが、誤魔化すようにお辞儀をした。

「ようこそ。クリスティア嬢。私はアルヴィン・ギルフォードです。あなたの手にキスをしてもよろしいですか。」
「…はい。」

許可をもらい、そっと彼女の柔らかな手の甲にキスを落とす。

2人に椅子を勧め、お茶を飲んで話をしたはずなのだが、何を話したのかほとんど覚えていない。

「それでは、そろそろ。」

ターナー伯爵の言葉にハッとする。

「クリスティア嬢、良ければまたお会いしたい。ゆくゆくは私の妻に…」

まだ帰って欲しくなくて、次の約束が欲しくて口走っていた。

彼女は、花が開くような笑顔を見せてうなづいてくれた。

2人が帰り、自室のソファーに座って、頭を抱えた。

私は何をやっているんだ⁈
グレンスティッドにいた時も自分で言うのもなんだが、この顔と公爵子息という肩書きと学年首席の成績で女性が向こうからやって来て、それなりの付き合いもあったし、なにより一番はエイミーだったから、そのうち家名を継承させるために結婚もするだろうくらいに思っていた。
そ・れ・が…だ!
初めて会った10歳も下の少女に一目惚れして、会ったその日に求婚した⁈

髪を掻き毟り、ため息をついた。

とりあえずターナー伯爵の希望通り、この家に引き取ろう。
そう思いながら、顔が緩むのを自覚して首を振った。

いや、断じて私はロリコンじゃない!
彼女が天使だっただけだ!



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