36 / 46
34
しおりを挟む
事情が事情なのと私が一人暮らしで、うるさい家族がいない事もあり、婚約と同時にクリスティアは、ギルフォード公爵邸に来ることが決まった。
性急ではあるが、対面から10日後には、婚約証書に私とクリスティアがサインをし、彼女が未成年なので父親のターナー伯爵もサインをして、陛下…正確には貴族省に提出して婚約が成立した。
万が一、婚約破棄するときにはこの証書を返却されて破らなければ認められない。
結婚すればその証書と併せて保管されるだけだし、そんな心配はないと思うが。
私は浮かれているのか?
いい年なのに、まるで初恋の女の子と婚約できたと喜ぶ少年のようだ。
いや、初恋かもしれない。エイミー以外でこんなに自分から惹かれた存在はいなかったのだから。
書類を提出して、ターナー伯爵と別れて2人で自邸に戻った。
「アルヴィン様、今日からよろしくお願いいたします。」
「クリスティア、今日からここがあなたと家だ。気に入らない事があれば何でも言って欲しい。」
「私は、どうすれば良いのかわからないので、色々教えてください。」
「まずは私のことはアルと呼んで欲しい。」
「アル様?」
「ああ、ティアと呼んでも?」
「はい。」
「ティア、あなたの部屋は南側の隅に用意した。気に入ってくれたら嬉しい。」
「アル様、ありがとうございます。」
侍女に案内されて部屋に向かうクリスティアを見送り、息を吐くと後ろから声がした。
「随分にやけているな。ロリコン。」
「何を…」
振り返って文句を言おうとして、相手がアーノルドと気づいた。
「あ、アーノルド。なんでここに?」
「お前が10も下の女の子と婚約したって聞いたから、からかいに来た。最初はターナー伯爵の事情を聞いて同情して引き取ったのかと思ったが、随分メロメロみたいだな。」
アーノルドは、エイミーとの交際中、色々と邪魔した仕返しとばかりにやって来たらしい。
「まだ手を出すつもりはない。確かに私は彼女に惚れているが、今は幸せに過ごせるように保護したつもりだ。」
「そんな顔で言われても、説得力ないぞ。」
「そんな顔?」
「自覚ないのか。重症だな。」
「あんな天使いないぞ。」
「まあ、見た目はかわいいだろうが、内面はどうかな?」
「どういう意味だ?」
「私はエイミーを幼い頃から知っていたし、素のエイミーが好きになったから気にしていなかったが、普通の令嬢は結構猫を被っていただろう。もう8歳だ、それなりに自分を良く見せようとしてもおかしくはないだろう。」
「アーノルド、クリスティアを悪くいうな。」
「しっかりしろ!お前は将来、私の右腕になる男だ。妻にする女はが、国に利がなければ私はお前ごと切らなければならなくなる。ちゃんと見極めて、場合によってはあの子を切るか教育してくれ。」
アーノルドが、言いたいことだけ言って帰っていくのをただ見ていることしか出来なかった。
性急ではあるが、対面から10日後には、婚約証書に私とクリスティアがサインをし、彼女が未成年なので父親のターナー伯爵もサインをして、陛下…正確には貴族省に提出して婚約が成立した。
万が一、婚約破棄するときにはこの証書を返却されて破らなければ認められない。
結婚すればその証書と併せて保管されるだけだし、そんな心配はないと思うが。
私は浮かれているのか?
いい年なのに、まるで初恋の女の子と婚約できたと喜ぶ少年のようだ。
いや、初恋かもしれない。エイミー以外でこんなに自分から惹かれた存在はいなかったのだから。
書類を提出して、ターナー伯爵と別れて2人で自邸に戻った。
「アルヴィン様、今日からよろしくお願いいたします。」
「クリスティア、今日からここがあなたと家だ。気に入らない事があれば何でも言って欲しい。」
「私は、どうすれば良いのかわからないので、色々教えてください。」
「まずは私のことはアルと呼んで欲しい。」
「アル様?」
「ああ、ティアと呼んでも?」
「はい。」
「ティア、あなたの部屋は南側の隅に用意した。気に入ってくれたら嬉しい。」
「アル様、ありがとうございます。」
侍女に案内されて部屋に向かうクリスティアを見送り、息を吐くと後ろから声がした。
「随分にやけているな。ロリコン。」
「何を…」
振り返って文句を言おうとして、相手がアーノルドと気づいた。
「あ、アーノルド。なんでここに?」
「お前が10も下の女の子と婚約したって聞いたから、からかいに来た。最初はターナー伯爵の事情を聞いて同情して引き取ったのかと思ったが、随分メロメロみたいだな。」
アーノルドは、エイミーとの交際中、色々と邪魔した仕返しとばかりにやって来たらしい。
「まだ手を出すつもりはない。確かに私は彼女に惚れているが、今は幸せに過ごせるように保護したつもりだ。」
「そんな顔で言われても、説得力ないぞ。」
「そんな顔?」
「自覚ないのか。重症だな。」
「あんな天使いないぞ。」
「まあ、見た目はかわいいだろうが、内面はどうかな?」
「どういう意味だ?」
「私はエイミーを幼い頃から知っていたし、素のエイミーが好きになったから気にしていなかったが、普通の令嬢は結構猫を被っていただろう。もう8歳だ、それなりに自分を良く見せようとしてもおかしくはないだろう。」
「アーノルド、クリスティアを悪くいうな。」
「しっかりしろ!お前は将来、私の右腕になる男だ。妻にする女はが、国に利がなければ私はお前ごと切らなければならなくなる。ちゃんと見極めて、場合によってはあの子を切るか教育してくれ。」
アーノルドが、言いたいことだけ言って帰っていくのをただ見ていることしか出来なかった。
23
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢に転生したけど、破滅エンドは王子たちに押し付けました
タマ マコト
ファンタジー
27歳の社畜OL・藤咲真帆は、仕事でも恋でも“都合のいい人”として生きてきた。
ある夜、交通事故に遭った瞬間、心の底から叫んだーー「もう我慢なんてしたくない!」
目を覚ますと、乙女ゲームの“悪役令嬢レティシア”に転生していた。
破滅が約束された物語の中で、彼女は決意する。
今度こそ、泣くのは私じゃない。
破滅は“彼ら”に押し付けて、私の人生を取り戻してみせる。
一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
悪役令嬢はモブ化した
F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。
しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す!
領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。
「……なんなのこれは。意味がわからないわ」
乙女ゲームのシナリオはこわい。
*注*誰にも前世の記憶はありません。
ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。
性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。
作者の趣味100%でダンジョンが出ました。
乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど何もしなかったらヒロインがイジメを自演し始めたのでお望み通りにしてあげました。魔法で(°∀°)
ラララキヲ
ファンタジー
乙女ゲームのラスボスになって死ぬ悪役令嬢に転生したけれど、中身が転生者な時点で既に乙女ゲームは破綻していると思うの。だからわたくしはわたくしのままに生きるわ。
……それなのにヒロインさんがイジメを自演し始めた。ゲームのストーリーを展開したいと言う事はヒロインさんはわたくしが死ぬ事をお望みね?なら、わたくしも戦いますわ。
でも、わたくしも暇じゃないので魔法でね。
ヒロイン「私はホラー映画の主人公か?!」
『見えない何か』に襲われるヒロインは────
※作中『イジメ』という表現が出てきますがこの作品はイジメを肯定するものではありません※
※作中、『イジメ』は、していません。生死をかけた戦いです※
◇テンプレ乙女ゲーム舞台転生。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
【完結】悪役令嬢の妹に転生しちゃったけど推しはお姉様だから全力で断罪破滅から守らせていただきます!
くま
恋愛
え?死ぬ間際に前世の記憶が戻った、マリア。
ここは前世でハマった乙女ゲームの世界だった。
マリアが一番好きなキャラクターは悪役令嬢のマリエ!
悪役令嬢マリエの妹として転生したマリアは、姉マリエを守ろうと空回り。王子や執事、騎士などはマリアにアプローチするものの、まったく鈍感でアホな主人公に周りは振り回されるばかり。
少しずつ成長をしていくなか、残念ヒロインちゃんが現る!!
ほんの少しシリアスもある!かもです。
気ままに書いてますので誤字脱字ありましたら、すいませんっ。
月に一回、二回ほどゆっくりペースで更新です(*≧∀≦*)
『悪役』のイメージが違うことで起きた悲しい事故
ラララキヲ
ファンタジー
ある男爵が手を出していたメイドが密かに娘を産んでいた。それを知った男爵は平民として生きていた娘を探し出して養子とした。
娘の名前はルーニー。
とても可愛い外見をしていた。
彼女は人を惹き付ける特別な外見をしていたが、特別なのはそれだけではなかった。
彼女は前世の記憶を持っていたのだ。
そして彼女はこの世界が前世で遊んだ乙女ゲームが舞台なのだと気付く。
格好良い攻略対象たちに意地悪な悪役令嬢。
しかしその悪役令嬢がどうもおかしい。何もしてこないどころか性格さえも設定と違うようだ。
乙女ゲームのヒロインであるルーニーは腹を立てた。
“悪役令嬢が悪役をちゃんとしないからゲームのストーリーが進まないじゃない!”と。
怒ったルーニーは悪役令嬢を責める。
そして物語は動き出した…………──
※!!※細かい描写などはありませんが女性が酷い目に遭った展開となるので嫌な方はお気をつけ下さい。
※!!※『子供が絵本のシンデレラ読んでと頼んだらヤバイ方のシンデレラを読まれた』みたいな話です。
◇テンプレ乙女ゲームの世界。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇なろうにも上げる予定です。
悪役令嬢エリザベート物語
kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ
公爵令嬢である。
前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。
ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。
父はアフレイド・ノイズ公爵。
ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。
魔法騎士団の総団長でもある。
母はマーガレット。
隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。
兄の名前はリアム。
前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。
そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。
王太子と婚約なんてするものか。
国外追放になどなるものか。
乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。
私は人生をあきらめない。
エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。
⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです
悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。
槙村まき
恋愛
スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。
それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。
挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。
そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……!
第二章以降は、11時と23時に更新予定です。
他サイトにも掲載しています。
よろしくお願いします。
25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる