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【アルヴィン視点】

エイミーに揶揄われたような気はするが、あと5年いや6年…まあ8年すれば、若い妻でもおかしくはないだろうと自分に言い聞かせて今日もかわいいクリスティアが、エイミーに教わっているのを眺めて、幸せな気分に浸っていると執事が来客を伝えに来た。

「アーノルド殿下がお見えです。」
「帰ってもらっていいよ。」
「ですが…」
「執事を困らせて、何をしているんだい?」
「約束のない来客(あなた)をお断りしているところですが。」

アーノルドは気にした風もなく、目の前に座って、お茶を飲みはじめる。

「エイミーが帰ってこないから、会いに来たんだよ。アルヴィンに約束は必要か?」
「一応、私がこの屋敷の主なんだが。」
「私は君の主人で上司だよね。」
「昔は兄上、兄上ってかわいかったのに…」

そうは言ってもアーノルドは、上司であり自分の主人…そのうち主君だ。
エイミーが、小姑を頑張っているので、王宮で留守番しているのもこちらのせいだし、リチャードがパパを忘れたらかわいそうだしと考える。

「それで、未来の公爵夫人は、どんなだい?」
「頑張っているから、早くエイミーに合格を出してほしいよ。」
「エイミーがいるとクリスティア嬢を構えないからなぁ。」
「そうですよ。アーノルドも寂しいだろうし。」
「あれだけ、人のこと邪魔してたシスコン兄上は、どこへ行ったんだか。」
「さあ?」

どちらからともなく笑いが出る。

「まぁエイミー次第だな。」
「そうだな。」

エイミーがアーノルドとリチャードと過ごす間、クリスティアを部屋に呼び出す。

「アル様?」
「エイミーが家族団欒している間、息抜きをしようと思ってね。」
「エミルフェシア様は、凄いですよね。」
「いまの私の歳で、グレンスティッドのお妃教育を終えて、更に政治や経済の勉強もしたと聞きました。」
「でもティアも頑張っているよ。私はティアの頑張りが嬉しい。」
「アル様に相応しい人になりたいから、がんばれるの。」

あまりのかわいさに膝に座らせ、頭をなでる。
いまはこれだけでも嬉しいが、歯止めが効かなくなったらどうしよう。

アーノルドが帰宅の挨拶に、エイミーと部屋を訪れた時、私はクリスティアを後ろから抱え込むように座っていた。

「お兄様、いくらなんでもその状態で自分の上司を相手するのは、どうかと思うわよ。」
「私が自分の部屋で、好きにくつろいで何が悪いんだ。」

しれっと言った感じになっているだろうか。
内心、このタイミングで入って来んなよ。恥ずかしいだろうが!
と思っていることはバレたくない。

「まあ、仲が良くて何よりだ。エイミー、私達も仲良く…」
「それは、それで…お兄様、クリスティアのお披露目を兼ねて、王宮でお茶会をするわ。私が主催だから、そんなにまずい人は来ないけれど、ターナー伯爵夫人とお姉様も招待するから、クリスティアには頑張ってもらうわよ。」

苦手意識のある義母と義姉が来る場所で立ち回れと言われて、困っているクリスティアを優しく抱きしめた。

「大丈夫。私がついている。」

そう言うと少しだけ安心したようにクリスティアは笑った。
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