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嫉妬?やきもち?わからない…
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気になっていたことを話の勢いできくことにする。
「あの。リリーは、私の侍女はレイとのことは…」
「そこはわかっているから、大丈夫よ。」
なんだ。リリーは王妃様も公認の仲なんだ…
心の中がチクッと少し痛む。レイモンドは、婚約破棄を目指しては協力体制だが、家に来るとオレ様で迷惑かけられてばかりいるだけだ。
我が家に来るのもリリー目当てなのか、必ず2人でいなくなる。婚約者でなくなれば、リリーには悪いけど、そうそう家に来なくなる人だ。そうなったら入婿した家とリリーを妾として引き取った家を行き来するんだろうか。
なぜかすごくモヤモヤする。
「ミリアリア。どうしたの?」
「エリーさん。大丈夫です。次はどこへ行きますか?」
「私が設立した女子医師学校の見学よ。」
王妃様が国費で建てられた女子医師学校は、ホーリーウッド王国にある医師学校の女性版になる。
以前は、医療補助しか資格が取れなかった女性がここで学び、医師国家試験に合格して2年間、医師の元で学んで医師から修了証をもらえば医師として開業や病院医師になれる機関だ。授業料は無料、寮費はかかるが、奨学金制度もあり貧しくても賢く、やる気があれば学ぶことができるため毎年希望者が多くいる。医師だけでなく医療補助のコースもあり、そちらは1年で卒業すれば医療補助の試験に合格できるだけのスキルが身につくため、医師は無理でもという女性が在籍している。
おかげで医療水準はあがり、ホーリーウッドとフェルティは医療従事者を近隣諸国に輸出する医療大国になっている。
医師学校の入口から入るとそのまま教室に向かう。
「事務室とか職員室に寄らなくていいのですか?」
「私が来たからと取り繕われないように黙って見学してから寄るわよ。」
「私が着替えさせられたのは、教師以外女性しかいない場所に来るためだったのですか。」
「それもあるけど、かわいいミリアリアを連れてでかけるんだもの。」
はい、はい。王妃様はこういう方でした。
学生の振りをして様々な教室を見て回る。学園で医療の授業をとっているおかげで内容が理解できた。
「学園で医療の授業とってるとここで何をしているか、わかるでしょう。もちろん学園の授業では医師になれないけれど、役人になる人や政策立案には基本を学んでいることは必要よね。だからカリキュラムに入れてあるの。」
「私の場合、興味もありますが、影の皆さんを危険に晒す可能性がありますから、指示する立場として学ぼうと思ったんです。」
「さすがミリアリアね。」
最後に職員と面談し、問題点について話し合い帰宅する。
帰りも王妃様の馬車で家まで送ってもらうといつからいたのか、不機嫌なレイモンドが玄関にいた。
「勝手にどこへ出かけていたんだ?ここのやつら、お嬢様はお帰りは未定だが大丈夫しか言わないんだ。」
「約束していないのに来て、そう言われてもねぇ。」
「お前も帰るだろうと探していたら、知らない馬車に乗ったって聞いたのに誘拐されるとか心配しないのかよ。それとも誰かお前を誘うようなら奴がいるのか?」
「あら、私は誘拐犯かしら?」
馬車から降りた王妃様が私の肩越しにレイモンドに話しかけた。
「は、母上。どうしてミリアリア嬢とご一緒に…」
「さっきまでと随分言葉遣いが違うようだけど、ジャルフ伯爵家やミリアリアへのあなたの対応の仕方がよくわかったわ。」
いつもの猫を被り損ねたレイモンドは少し不貞腐れているようだ。
「母上、こ、これはその…」
「ミリアリア。バカな王子でごめんなさいね。長男はフェルティ、次男はホーリーウッドを継ぐから、レイモンドをジャルフ伯爵家にあげると親たちで盛り上がったけれど再考の必要があると陛下に話そうかしら?ねぇレ・イ・モ・ン・ド?」
レイモンドは王妃様に引きずられて馬車に乗って帰って行った。
「おかえりなさいませ。お嬢様。」
リリーが走りよってきた。
「ただいま。リリー、レイなら王妃様に連れて帰られたわよ。」
「そうですか。今日はもう終わっているので、帰られても大丈夫です。」
そうですか…別室タイムはもう済んでいるのね。なぜかまたモヤモヤする。この気持ちはなんだろう。レイモンドは、わがままだけど幼なじみでリリーは私の侍女で、仲間外れが嫌なのかな。レイモンドなんか好きじゃないはずなのに。婚約破棄の同志なだけなのに。
「あの。リリーは、私の侍女はレイとのことは…」
「そこはわかっているから、大丈夫よ。」
なんだ。リリーは王妃様も公認の仲なんだ…
心の中がチクッと少し痛む。レイモンドは、婚約破棄を目指しては協力体制だが、家に来るとオレ様で迷惑かけられてばかりいるだけだ。
我が家に来るのもリリー目当てなのか、必ず2人でいなくなる。婚約者でなくなれば、リリーには悪いけど、そうそう家に来なくなる人だ。そうなったら入婿した家とリリーを妾として引き取った家を行き来するんだろうか。
なぜかすごくモヤモヤする。
「ミリアリア。どうしたの?」
「エリーさん。大丈夫です。次はどこへ行きますか?」
「私が設立した女子医師学校の見学よ。」
王妃様が国費で建てられた女子医師学校は、ホーリーウッド王国にある医師学校の女性版になる。
以前は、医療補助しか資格が取れなかった女性がここで学び、医師国家試験に合格して2年間、医師の元で学んで医師から修了証をもらえば医師として開業や病院医師になれる機関だ。授業料は無料、寮費はかかるが、奨学金制度もあり貧しくても賢く、やる気があれば学ぶことができるため毎年希望者が多くいる。医師だけでなく医療補助のコースもあり、そちらは1年で卒業すれば医療補助の試験に合格できるだけのスキルが身につくため、医師は無理でもという女性が在籍している。
おかげで医療水準はあがり、ホーリーウッドとフェルティは医療従事者を近隣諸国に輸出する医療大国になっている。
医師学校の入口から入るとそのまま教室に向かう。
「事務室とか職員室に寄らなくていいのですか?」
「私が来たからと取り繕われないように黙って見学してから寄るわよ。」
「私が着替えさせられたのは、教師以外女性しかいない場所に来るためだったのですか。」
「それもあるけど、かわいいミリアリアを連れてでかけるんだもの。」
はい、はい。王妃様はこういう方でした。
学生の振りをして様々な教室を見て回る。学園で医療の授業をとっているおかげで内容が理解できた。
「学園で医療の授業とってるとここで何をしているか、わかるでしょう。もちろん学園の授業では医師になれないけれど、役人になる人や政策立案には基本を学んでいることは必要よね。だからカリキュラムに入れてあるの。」
「私の場合、興味もありますが、影の皆さんを危険に晒す可能性がありますから、指示する立場として学ぼうと思ったんです。」
「さすがミリアリアね。」
最後に職員と面談し、問題点について話し合い帰宅する。
帰りも王妃様の馬車で家まで送ってもらうといつからいたのか、不機嫌なレイモンドが玄関にいた。
「勝手にどこへ出かけていたんだ?ここのやつら、お嬢様はお帰りは未定だが大丈夫しか言わないんだ。」
「約束していないのに来て、そう言われてもねぇ。」
「お前も帰るだろうと探していたら、知らない馬車に乗ったって聞いたのに誘拐されるとか心配しないのかよ。それとも誰かお前を誘うようなら奴がいるのか?」
「あら、私は誘拐犯かしら?」
馬車から降りた王妃様が私の肩越しにレイモンドに話しかけた。
「は、母上。どうしてミリアリア嬢とご一緒に…」
「さっきまでと随分言葉遣いが違うようだけど、ジャルフ伯爵家やミリアリアへのあなたの対応の仕方がよくわかったわ。」
いつもの猫を被り損ねたレイモンドは少し不貞腐れているようだ。
「母上、こ、これはその…」
「ミリアリア。バカな王子でごめんなさいね。長男はフェルティ、次男はホーリーウッドを継ぐから、レイモンドをジャルフ伯爵家にあげると親たちで盛り上がったけれど再考の必要があると陛下に話そうかしら?ねぇレ・イ・モ・ン・ド?」
レイモンドは王妃様に引きずられて馬車に乗って帰って行った。
「おかえりなさいませ。お嬢様。」
リリーが走りよってきた。
「ただいま。リリー、レイなら王妃様に連れて帰られたわよ。」
「そうですか。今日はもう終わっているので、帰られても大丈夫です。」
そうですか…別室タイムはもう済んでいるのね。なぜかまたモヤモヤする。この気持ちはなんだろう。レイモンドは、わがままだけど幼なじみでリリーは私の侍女で、仲間外れが嫌なのかな。レイモンドなんか好きじゃないはずなのに。婚約破棄の同志なだけなのに。
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