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春待ち祭
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サーディス邸の門の雪が溶け始め、7日後に春待ち祭が催行されることが決まった。
サーディス邸は、庭を開放して酒や食べ物を領民に振る舞うので、みんな準備に忙しく、フェリアもベッドに倒れ込む毎日になった。
カインへのプレゼントは、祭の最終日に書斎へ届けに行くつもりだ。本当はスノーロップの花壇前が良かったのだけれど、まだ雪に埋もれているから仕方ない。
春待ち祭が始まっても毎日サーディス邸に来る領民の接待で食事をする時間以外は、働き詰めでサリーと顔を合わすと
「あと◯日。がんばろう。」
しか言葉が出ないほどだった。
カインやシャルロットは、挨拶に来る商会の代表や村長たちと話したり、雪解けを待って遊びに来た友人の接待をしているらしいが、そちらのは、年配の使用人の担当で若い子は、領民の若者との出会いの場として、配慮されているそうだ。
フェリアがワインを分けているとちょうどトムがやって来た。
「フェリアさん。プレゼント受け取ってくれないか?」
「でも...」
「サリーとお揃いの髪留めなんだ。家族からのプレゼントだと思ってくれればいいから。」
「ありがとう。サリーと一緒に着けて、家に行くわ。」
トム手作りの木彫りの髪留めをポケットに入れて、仕事に戻るのだった。
5日目、祭の最終日は、サーディス邸も最低限の使用人を残して、休暇になる。街へ出かけるもの、家族で過ごすもの、デートするもの、それぞれが楽しそうだ。
サリーも実家へプレゼントを届けに行ったあと、昨日告白された相手と約束しているらしい。
フェリアは、邸に残るので、サリーにトムやサリーの家族へのハンカチを託した。
「みんなお揃いだから、どれを渡しても大丈夫よ」
とフェリアが言ったら、
「トム兄の顔が目に浮かぶ。」
そう言って笑ってくれた。
昼食の時間までシャルロットの部屋の仕事をして、休憩時間になったので、カインの書斎へ向かうことにした。
オルデック公爵も王都へ戻り、今日は書斎でひとりのはずだ。
サーディス邸は、庭を開放して酒や食べ物を領民に振る舞うので、みんな準備に忙しく、フェリアもベッドに倒れ込む毎日になった。
カインへのプレゼントは、祭の最終日に書斎へ届けに行くつもりだ。本当はスノーロップの花壇前が良かったのだけれど、まだ雪に埋もれているから仕方ない。
春待ち祭が始まっても毎日サーディス邸に来る領民の接待で食事をする時間以外は、働き詰めでサリーと顔を合わすと
「あと◯日。がんばろう。」
しか言葉が出ないほどだった。
カインやシャルロットは、挨拶に来る商会の代表や村長たちと話したり、雪解けを待って遊びに来た友人の接待をしているらしいが、そちらのは、年配の使用人の担当で若い子は、領民の若者との出会いの場として、配慮されているそうだ。
フェリアがワインを分けているとちょうどトムがやって来た。
「フェリアさん。プレゼント受け取ってくれないか?」
「でも...」
「サリーとお揃いの髪留めなんだ。家族からのプレゼントだと思ってくれればいいから。」
「ありがとう。サリーと一緒に着けて、家に行くわ。」
トム手作りの木彫りの髪留めをポケットに入れて、仕事に戻るのだった。
5日目、祭の最終日は、サーディス邸も最低限の使用人を残して、休暇になる。街へ出かけるもの、家族で過ごすもの、デートするもの、それぞれが楽しそうだ。
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「トム兄の顔が目に浮かぶ。」
そう言って笑ってくれた。
昼食の時間までシャルロットの部屋の仕事をして、休憩時間になったので、カインの書斎へ向かうことにした。
オルデック公爵も王都へ戻り、今日は書斎でひとりのはずだ。
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