異世界

PoliteFlower

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【ドラゴンライド】

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「えっと....これに乗るんですか?」



私は声を震わせながら言った。
もはや冷や汗しか出てこない。



「あぁそうだよ。あ、これゴーグル。
すごいスピードだから目に何か入るとおしまいだから。」



完全なる無表情でノアさんは私にゴーグルを手渡してきた。


「あ...ありがとうございます」




もはや頭がくらくらとしてきた。
もっとジェットコースターとか乗って耐性つけとけばよかった...




「じゃ、俺先に乗るわ。」



そう言ってノアさんは座席の前のドラゴンの首元にまたがった。


私はその後ろの座席にまたがり
ベルトを装着する。



だけどベルトが固すぎてはまらない。

そうだ。
そもそもオープンカーならぬオープンエアプレインに乗るわけだから
普通のベルトでは取れてしまう。



「あの、ベルトが固くて...」



するとノアさんは腰をくるっと回転させて
「そういえばそうか。
固いんだった」



そう言うとベルトを掴んでカチッとはめてくれた。


かっこいいなぁでも220歳....
あと200歳若ければ...

いやいやこんなイケメンな人
そもそもいくつだろうと私には無理だろうな。



「何ブツブツ言ってんの?」



ノアさんは怪しそうに言った。



「いえ、独り言です....」


私はちょっと焦りながら答えた。



どうやらまだ完全に信用はされてないらしい。



「じゃ、行くよ。」


そう言うとノアさんは
そっと両手をドラゴンの首元へと置いた。




「よろしくお願いします。」





ガクンっ



さっきまで背中を平にしてくれていたドラゴンが立ち上がった勢いで私は後ろの方へと傾き
体が一瞬後ろ方向へ落ちるような感覚になり
恐怖で鳥肌が立った。


その後ドラゴンはまた背中を平にし、羽を広げた。

勢いよく開かれる羽。



ドラゴンが走り始める。




ズンズンズンとドラゴンが走る度に体が上下に揺れて正直少し気持ち悪い。



横を見るとさっきまで平に広げられていた大きな羽は
徐々に垂直に上へと向けられていく。




そしてドラゴンが最速になった時、
垂直に上に向けられていた羽が一気に下方向へと振り下ろされた。



ドラゴンは同時にジャンプし、私達はあっという間に空中へ舞い上がっていく。

ただの1回の羽ばたきでものすごく高くまで飛んだ。


ドラゴンは空中に舞った後一瞬空気を羽で捉えてバランスを取ってからさらに何度か羽を羽ばたかせ、
その後羽を平にし、角度を調整しながら上へ上へとどんどん高度を上げた。



ただただ吹き付ける凄まじい風に耐えながら
私は気がつけば必死にノアさんの腰にしがみついていた。




吹き付ける突風とその轟音で
もはや何かを思考している暇さえない。



ノアさんはそもそもこんな中座席もベルトもゴーグルもなしでなんで平気なんだろう。


私はゴーグルをしていたにも関わらず
目を開けることもできず

しばらく風に耐えきった。




そして幾分が時間が過ぎ、
ドラゴンが高度を下げ始めた。



高度を下げ始めるとスピードが上がり、
勢いおく地面に突撃していくような感覚になった。



「ひええぇぇええええ!」


私は大声を出したけど
自分ですら聞こえなかった。



そしてガクンと空中で一瞬止まるような感覚がした後、ドラゴンは地面へと着地した。



意外とソフトな着地だった。




「.....」



「あのさ」



「何でしょう!?」



「離してくれない?」



はっと顔を上げるとノアさんが呆れた顔で私の顔を見ていた。



気がつけば私は着地した後もノアさんの腰にがっちりしがみついたままだった。



「す、すみません!!!」



私は赤面してノアさんから離れた。


「ベルト外すから待ってて。」


ノアさんはさっとジャンプして降りると私の横まで来てベルトを外してくれた。


「ありがとうございます!」


私は必死に伝えた。



「どういたしまして。」


ノアさんは少し微笑んで私の方へ振り向いた。



「で...ここは?」
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