俺は悪役王子様!

水魔沙希

文字の大きさ
13 / 42
1.幼少期!

13.エレーナに事情を話そう!

しおりを挟む
ルシアン王子が、騎士隊に指示している隙にエレーナと『飲み食い処シューリッヒ』に転移して、母上の元へと戻る。


「ただいまー。戻って参りました。」
「グレイシアっ!大丈夫?怪我はない?」


母上は戻ってくるなり、怪我の確認。まぁ、母親としては普通の事か。


グレイはニコッと笑う。


「僕は、女神様の加護を得ているから大丈夫だよっ♪さっ、届けるものは届けたし、帰ろっ♪」


グレイは母上をギューッと抱き締める。それに母上は安心したようです。


ちなみに、母上とアンジュさんは俺達が出ていた間、村長さんの届け物の野球を使った遅めの朝食を取っていたようです。母上も食べても太らない体質みたいです。しかし、大食いという訳ではありませんが。


母上を連れて、店内を出る。暗い路地裏に出ると、俺達は故郷に帰った。






「いや?色々あったねー?」
「まぁ、でもアンジュが元気そうで良かったわ。」
「母さんはあの街に行って、大丈夫だった?」
「グレイシアは優しいのね。少し、戸惑ったかしら?第四王子に会ってしまって。」


「あー。それは僕も予想してなかったなぁ☆」
「ルシアン王子は次の国王になるのですか?」


エレーナはつい疑問を口に出す。エレーナは純粋に知識がないようだ。こういう時、グレイは体の主導権を譲る。説明要員か、俺は!


「ルシアン王子はレイフォルク王国の第四王子だよっ!この国の国王になるには『救世の力』を持つ者が必須条件。でも、国王以外の王族は、誰もこの力を持って生まれていないんだ。そして、『救世の力』を持つ者は男性と決まっている。」


「そうなんですか?」
「そう。でも、『救世の力』を持つ者はこれから生まれる事はない。」
「それは何故?」


防御壁シールドをかけて、周りに聞こえないようにする。エレーナはその俺の様子に緊張感が走る。あー。今、自宅ね!


俺は左手の甲を見せる。偽装スキルは解除する。エレーナはまじまじと見る。


「・・・だって、が『救世の力』を持って生まれてきたのだから。この力を持った者が、子供に引き継げるのは一度きり。だから、もう子供が出来たとしても『救世の力』を持って生まれる事はない。」


「グレイシアが次の国王になるのですか?」
「・・・正直、それも難しいところだね。国は秩序を守る為に、王族関係の者しか婚約を受けてはならない。また、肉体関係を持ってはならない。・・・このままだと、母上が非難を浴びる事になる。それは何としてでも、避けたいんだ!」


エレーナは頭を抱えて、悩む。ちょっと、難しかったかな?母上は俯いてしまう。


「だから、俺は、隠れて過ごすしかないんだ。それか、国王陛下に自分の非を認めさせる!」


強い意志を込めて、宣言する。エレーナは強く頷いてくれる。


「私も、お手伝いします!グレイシアにはお世話になっていますから!」


まだ、エレーナと過ごしてそんなに経っていないけど。でも、心強い。しかし、母上は俯いたまま小さく声を上げる。


「でも、本来は第四王子、ルシアン王子が『救世の力』を持って生まれるかもしれなかった。私が、振り解いていれば、こんな事にはならなかったのに!」


俺は、具現化スキルを使って、ゲーム開始時・・・・・・の姿に変化する。そして、母上を強く掴んで、押し倒す。


「・・・これでも、貴方は振り解けたんですか?」


パッと離れ、元の姿に戻る。


「いえ。難しかったかもしれません。」


ここで、体の主導権を奪われる。


「母さんは何も悪くないよっ☆悪いのは、国王陛下なんだからねー?」
「グレイシア・・・。」
「それにしても、グレイシアは第五王子という事になるのですか?」


「一応は、ルシアン王子より誕生日は一日前なんだ☆だから、第四王子かな?まぁ、知っているのは母さんと僕☆本来の立場は第五王子になる予定だったけど、これには理由があったんだよー?」
「それは・・・?」



「・・・『救世の力』を持って生まれる子供は出産に凄い力が必要なんだ。でも、女神様のおかげか、シアは胎内で自我を確立させた。だから、母さんにとっては、早産にはなるけれど『救世の力』で簡単に産まれてきたの☆本来は・・・第四王子が産まれてから、一ヶ月後、難産になって、母さんが亡くなる・・・そんな未来が見えたから。そんな未来は嫌だったから、シアはその時、初めて『救世の力』を使ったの。」


母上はその事実に驚愕する。それと同時に今度は涙を浮かべたグレイを強く抱き締めた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。

ラム猫
恋愛
 異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。  『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。  しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。  彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。 ※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

【12月末日公開終了】これは裏切りですか?

たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。 だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。 そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?

乙女ゲームの悪役令嬢、ですか

碧井 汐桜香
ファンタジー
王子様って、本当に平民のヒロインに惚れるのだろうか?

処理中です...