捨てられ第二王子は、神に愛される!

水魔沙希

文字の大きさ
5 / 12

5.

しおりを挟む
グレイシアが自分がしでかした事の大きさに驚いている間に、身体の主導権を奪った。ギルドマスターから魔石の買い取り価格を受け取ると俺は鼻歌を歌いながら、ギルドを出ていったのであった。







いやぁ、たんまりと頂きました。これなら、盛大にグレイシアの誕生日をお祝い出来るね。そう、思い商店街にて今晩の夕食のメニューを考えていると、俺の進行方向の反対側からフードを被った5歳位の子供がやってきて、俺とぶつかりそうになった。でも、直前で躱した。


だがしかし、なんとなくその子供の事が気になったので、尾行してみる事にした。







フード付きのマントを着ている子供は街の外に出ると、街の外にあり、少しだけ歩くところに湖に赴いたのだ。そうすると、近くにあった岩に座り込むと一呼吸を入れる。


「んー!!やっぱりここは落ち着くなぁ!!」


この子供は休みに来ただけだったのだ。でも、今日に限って街を出るっておかしい気がする。街はアディエル王子の誕生日をお祝いする雰囲気が高まっているにも関わらずね?そして、最悪な事に怪しい気配が後方からする。


そして、気配を消している俺の目の前を通り過ぎると、その怪しい気配を纏っている男達は子供に襲い掛かっていったのだ。



「ふぐぅ!?」


子供の悲鳴が聞こえると、俺は子供をつかんでいる奴らを遠距離操作の魔法で攻撃する。


「オーバー・グラヴィティ!!」


ちなみに、土属性の魔法である。過度な重力をかけて、敵を地にひれ伏させる。俺は魔法が効いているのを確認するとともに子供の様子を見ていた。子供の顔は恐怖でいっぱいのようだった。


俺は子供を捕まえようとしていた連中を捕縛魔法で捕縛すると、子供に尋ねる。


「・・・こいつら、君の知り合い?」



子供はふるふると首を横に振る。・・・あぁ、よく見ればこいつら、ギルドのお尋ね者の張り紙に描かれている連中だなぁとふと思った。


「まぁ、こんなお尋ね者達と知り合いだったら、君も遠慮なく警吏に突き出しているところだけどね。」


「・・・その人達、お尋ね者なんですか?」


子供は俺の顔をじっと見つめて尋ねる。子供は・・・どうやら少年のようだった。しかも、どこか見覚えのある感じ。どこで見たんだっけ?でも、質問には答えないとな。


「うん。ギルドの一角にお尋ね者の張り紙にこいつらが載っているよ。こいつらは俺が警吏に突き出してくるから君はさっさと帰った方がいいよ。」


少年はじっとこちらを見てくる。そして、口を開いた。


「一緒についていってもいいですか?」


・・・?それはいいけれど、どこかで会った気がする。どこなんだろうね?目線が合わないから、どうにも言えない。


「まぁ、いいけど。でも、早く家に帰った方がいいよ。どこで怪しい動きをしているかなんて、分からないから。」


「ありがとうございます。」


そう言えば、目線が合わないから、違和感が払拭出来ないんだよね。せめて、瞳でもみれば、正体が分かったりするのかな。俺は興味ないのを装って風を発生させ・・・ようとしたけど、グレイシアが嫌がりそうな感じがしたので却下した。


捕縛魔法で連中を街まで、王都まで連れ帰ると警吏に突き出した。


「シアさん。お疲れ様です。せっかくのめでたい日だと言うのに、罪人を捕まえてしまうんですから。かっこいいですよねぇ。‟疾風迅雷のシア”の名も伊達じゃないって事ですね。」


「へぇ・・・。二つ名がついているんですね。カッコイイです。」


少年はこんな時でもフードを強く握りしめている。つまりは、よほど姿は人目につく存在と言う事なのだろう。そんな人、多くはいないはずだよねぇ?


それを確認するのは今じゃないよね。






少年を街の、比較的人気のない場所まで案内すると、少年はお礼を言った。


「ここまで連れてきてもらい、ありがとうございます。」


俺は核心をつく言葉を選ぶ。


「・・・ここにしたのは、ちょっとはっきりとさせたい事があったから。そうでしょ、アディエル王子。」


「!?」


それ以上の言葉はアディエル王子からは発せられなかった。でも、その態度で分かる。君はアディエル王子なんでしょ?


「まぁ、ただの勘だけどね。でも、これ以上詮索しない。俺だって、隠したい事はあるからな。それに、仮にも王子相手にこんな態度許されるはずがない。・・・だから、今度は変な奴に捕まらないでね?じゃあね。」


後ろを振り返らずに、さよならした。今日は、グレイシアの誕生日なんだ。俺がなんか、祝ってあげたい。祝ってくれる人なんてそうはいないんだから。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

脅迫して意中の相手と一夜を共にしたところ、逆にとっ捕まった挙げ句に逃げられなくなりました。

石河 翠
恋愛
失恋した女騎士のミリセントは、不眠症に陥っていた。 ある日彼女は、お気に入りの毛布によく似た大型犬を見かけ、偶然隠れ家的酒場を発見する。お目当てのわんこには出会えないものの、話の合う店長との時間は、彼女の心を少しずつ癒していく。 そんなある日、ミリセントは酒場からの帰り道、元カレから復縁を求められる。きっぱりと断るものの、引き下がらない元カレ。大好きな店長さんを巻き込むわけにはいかないと、ミリセントは覚悟を決める。実は店長さんにはとある秘密があって……。 真っ直ぐでちょっと思い込みの激しいヒロインと、わんこ系と見せかけて実は用意周到で腹黒なヒーローの恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 表紙絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真のID:4274932)をお借りしております。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ 

さくら
恋愛
 会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。  ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。  けれど、測定された“能力値”は最低。  「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。  そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。  優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。  彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。  人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。  やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。  不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件

言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」 ──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。 だが彼は思った。 「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」 そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら…… 気づけば村が巨大都市になっていた。 農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。 「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」 一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前! 慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが…… 「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」 もはや世界最強の領主となったレオンは、 「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、 今日ものんびり温泉につかるのだった。 ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!

あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?

水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが… 私が平民だとどこで知ったのですか?

処理中です...