一瞬の永遠を

朱雀

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白熱のカーレース

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山田が真剣な眼差しで見つめる先には、

可愛らしいぬいぐるみが宙ぶらりんに吊るされて

落下した。




「ああああ!!」

山田がクレーンゲームの前で崩れ落ちた。

「陸、諦めよう?」

一部始終を見えいた八神が山田の肩を叩く。

「諦めろ、センスねぇんだって」

景品を沢山詰めた大きな袋を持った辻がニヤニヤしている。

「嫌だ!」

そう言って山田は立ち上がると百円玉をつぎ込んだ。

愉快な音楽が鳴り出して、ボタンが押してくれと光る。

山田はまた、真剣にクレーンを見つめ始める。

「あれ?まだやってるの?陸くん」

河本がクレーンゲームにへばりつく山田をみて聞いた。

「これで何回目?」

河本の後ろから立花が現れ、呆れ顔の八神の隣へ。

「17回目」

山田の財布を広げて、八神が答えた。

「ああああー!!」

ザンネン、マタアソンデネ!の機械音と山田の叫びが共鳴した。

「諦めろって」 

ニヤニヤと笑う辻の言葉に山田がもう一回!と歯向かうが、

「いい加減にしろ」

ずっと近くで見ていた八神に止められた。

納得いかないと顔で主張しながらも、山田はクレーンゲームから手を離した。

もうそろそろ帰ろうかと八神と立花が先頭になり出口へ向かう。



「あ!これしたい!」

帰り際、出口はもう目の前という所で河本がある機械に飛びついた。

四つ赤い椅子が並び、画面には赤い帽子のおじさんが車を運転している。

「おー、懐かしいね」

意外にも八神がくいついた。

「やろーよ!」

一番後ろにいた山田に河本が声をかけると 
 
「絶対負けないからな!」

やる気満々に席についた。

その隣に河本が座り、八神においでと手招きした。

「辻ちゃんショーブだ!」

「やってやるよ」

山田の煽りにノった辻が隣に座る。

百円玉を入れると愉快な音楽と聞いたことある声が聞こえた。

「頑張れ~」

八神の座る椅子にもたれかかりながら4人のバトルを見守る。


てん。てん。てーん!

「あ!ミスった!」

「うえーい!トップー!」

「させるかっ」

「あー!バナナ!」

「コウラ投げないで!」

「落ちた~」

「おらっ」

「ちょっ!辻ちゃん俺だけ狙ってない?!」

「大輔くん?!」

「ごめんね。竜也。」






自動ドアが開き、帰り道に五人の影が伸びる。

あの後誰が、あと5回もレースすると思うだろうか。

遊びのスイッチが入りきってしまった五人は、

家の近くの公園に寄り道して、肉まんを頬張る。



明日の小テストで悪夢を見ることになることを知らずに。

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