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二日目
9 * 物語のあつまるところ
しおりを挟むあ、思ったより小さい。
早々にアウトレットの中を一周し終えてしまい、そう思った。Kマートは想像より遥かに大きかったが、ここは日本の大きいアウトレットに比べ、同じかそれより小さいくらいだった。
店舗の数も、あまり多くない。いや、というよりも、わたし好みの店がなかったという方が正しいかもしれない。ブランドの店舗はたくさんあったのだが、わたしのすきな、気軽に買える小物の店はなかった。
ここでの自由行動も、先ほどと同じ、一時間近く取るということだった。タピオカが飲みたいと呟いていた羽斗はおそらくタピオカ屋に行き、ひばりはしまむらを五倍くらいの広さにしたような服屋に行った。つぐみと彼氏はおそらくブランドショップを見てまわり、父と母はわからないけど多分休憩してるんじゃないかと思う。
じゃあ、わたしはどうやって時間を潰そう。奥まで店をざっと見て歩いたが、気軽にちょこっと買い物ができるようなお店はないようだった。だからといって、買いもしないヴィトンの財布を見るのも面白くない。
まあ、まずはトイレにでも行って、じっくり考えるか……、と向かったトイレの横が本屋だったので、わたしの心は一瞬にして天を突破した。無限に時間をつぶせる場所ランキングで三本の指に入るのが本屋だ。ちなみに堂々の一位は自宅である。
当然売っている本は全て洋書だったが、中学レベルの英語しかままならないわたしでも、絵本や図鑑なら楽しめる。
何か買っていこうと思い、マザーグースの詩が書かれた絵本を手に取った。絵がディズニーで、いろんな作品のキャラクターが描かれており楽しい。それからお土産用にスターウォーズの絵本と、サメの生態が書かれているらしき絵本も買うことにする。グアムじゃなくても買えるだろ、ということは考えない。
財布を開くと、ドルがなくなりかけていた。仕方がないのでカードで決済しようと思い、頭の中で三十回くらい「Can I use a credit card?」を練習してからレジに向かったが、決済に必要な暗証番号がわからず「あい……ふぉーげっと! さいん!」とあたふたしてサインでの決済にしてもらった。せめて「ふぉーがっと」だろうと今なら思う。
「わたし……わすれる!」と叫んだ女にも優しく対応し、最後に「Hafa adai!」と言ってくれた店員さんには感謝しかない。
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