宝かごみかは、君しだい

七草すずめ

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終わらない魔法

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 アッコちゃんのコンパクトが
 セーラームーンのロッドが
 プリキュアたちのアイテムが
 ここにいるよとわたしを呼ぶから

 サリーちゃんの魔法も
 さくらちゃんの魔術も
 どれみちゃんの呪文も
 リクエスト曲のように流れ出す

 あの子たちのまとうフリルだけは
 いつだって強く輝き続ける


   *


 頭にこびりついて離れない、読んで字のごとく「呪文」のような言葉を、誰もが持っているはずだ。わたしの心にも、いつか覚えた無数の呪文が刻まれていて、ときどき無性に唱えたくなる。たとえばこんな言葉たち。

【プルルンプルンファミファミファ】
 アニメ「おジャ魔女どれみ」に出てきた、瀬川おんぷちゃんの呪文。おんぷちゃんが一番好きだったが、もちろん他の子たちの呪文も忘れていない。

【バルシェ、肉買ったべか】
 劇場版名探偵コナンの三作目に登場する呪文のような言い伝え。謎を解くためのとても重要な言葉だという意味では、本当に呪文であると言える。実はロシア語。

【ありおりはべりいますがり】
 高校生のとき、古典のテスト前に友達と唱え続けた呪文。意味は一切覚えていないあたりに、より呪文らしさを感じる。

【千九百八十円、じいちゃん】
 おじいちゃんにミニゲーム機を買ってもらい「高かったんだから忘れるなよ~」と言われたので、忘れないよう呪文のように唱え続けていた言葉。二十年経っても覚えているなんて誰も思っていなかった。

 しみついていてすらすら言えてしまう、魔法の言葉。他の人は、いったいどんな呪文を隠しているのだろう。想像するととてもわくわくする。こんな呪文たちを集めた魔法書があれば、絶対買うのに。
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