骸の守神

東方守人

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プロローグ

謎多きこの世界

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世界には、人では決して手を出せない物がある。

命を食らい、大地を廃し、世界を蝕む。

災害、と呼ばれる物がある。




難しい顔をして本を睨め付ける、銀髪の男。

「また読んでるのか、それ」

ふと、声がかかり顔を向ける。
そこには、真っ赤な髪の毛の男がいる。

「ああ、やはり何かが隠されている気がするんだ」

それだけ言って視線を本へと戻す。
文字を眺め、文章を何度も読み返す。本に隠された何かを求め。

「あれだけ探したんだぞ?そもそも災害が魔獣の力で起こっているなんて、根拠もないじゃないか」

少し呆れた様に、それでいて笑いながら赤髪の男は返す、もう諦めろと、そんな言葉を。

もっとも、そんな言葉をかけても意味はない。
銀髪の彼はすでに60年もの年月をこの研究に費やしている。
そんな彼が最後に頼りにしたのが、古い文献でも、古代の遺跡でもなく。青年向けの本。

しかし、実際の所これしか方法がないのも事実である。
なにせかの一連の出来事は、文献としてしっかり残されていない。

故に銀髪の男は返事をせず、本を睨みつける。
もう話は終わったと態度で示しながら。

しかし、赤髪の男が続ける。


「本題はそこじゃねえ、見つかったらしいぜ、石が」

その言葉に、銀髪の男は素早く顔を上げる。
興奮を隠しきれず、早口で話す。

「どこで?誰が見つけた!やはり南か?帝国にあったのか?!」



彼らはいよいよ見つける事になる。歴史に隠された謎、500年に渡り人類が追い求めた物を。













ー呼ばれたー

そんな気がした。




ふと、意識を揺らす。




誰かが呼んでいる、そんな気がする。




自分を求めている。




もう誰も求めない、力もそれほど残ってない。

そんな私を。


誰かが呼んでいる。












日本、某所。

住民の反対を押し切り、リゾート開発のために山が切り崩された。
それだけ聞けば良くある話だ、反対していた住民もやがては、リゾートがもたらす利益に目が行くだろうし、実際そこまで問題は起こっていなかった。

強いて言うのであれば、山の中腹にある、この地の守り神とされていた土地神が祀られている祠。

その中にある岩が、妙な形で砕けていたことくらいだ。

その岩は、まるで中から突き破ったかのように、まるで卵から雛が孵るかのように突き破られていた。
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