ヤノユズ

Ash.

文字の大きさ
161 / 205

○月×日『隠蔽』★

しおりを挟む

布ズレの音と、肌の音、矢野くんの息遣いと僕の声。
矢野くんの汗ばむ裸体を抱きしめながら僕は矢野くんに抱かれてた。

「はぁ、ちょっと休憩」

矢野くんが僕の腕から抜けると、ゴムをゴミ箱に投げ捨てて、ベッドから下りる。
全裸のままソファに腰掛けて、ミネラルウォーターを飲むと、まだベッドの上で息の荒い僕を見る。

「飲むか?」

自分が飲んでるミネラルウォーターのことだろう。
僕はまだ体を起こす気にはなれなくて「うん」と小さく返事だけ返した。

結局、学校でエッチを避けてた理由を話した日には何事もなく、家まで送られた。
てっきり学校からラブホテルに直行するんだと思ってヒヤヒヤしてたから助かったけど、今日という休日、矢野くんと買い物デートに出かけて、荷物もそのままにラブホテルに連れ込まれた。
確かに、休日の方がゆっくりできる。
けど、これはやりすぎだと思う。
ホテルに入ってから3時間以上はヤりっぱなしだ。
ベッドに上がるまでに服着たままバックで2回、お風呂で1回、ベッドで…………もう回数なんて覚えてない。
やっと終わったかと思ったら今はどうやら"休憩"らしい。

「ん、」

矢野くんがソファからベッドに乗り上げる。
仰向けに寝転んだままの僕に覆いかぶさって、キスをする。

「んっ、ふ…」

口内にミネラルウォーターが流し込まれて、むせそうになりながら飲み込んだ。

「……ぬるいよ」

文句を言うと、矢野くんが笑う。

「欲しいって言ったろ」

また矢野くんが唇を重ねてくる。
今度はミネラルウォーター抜きで。
舌を絡めあってると、矢野くんが僕の体を抱きしめて、また僕の中に入ってくる。

「あぁ、」

声が漏れると、塞ぐように唇が重なる。

奥まで矢野くんが入ってきて、そのまま体を揺さぶられる。

「んっ、」

お腹の奥を突かれた感覚に、体が仰け反る。
浮いた腰を、矢野くんの腕が支えてくれる。
ピッタリと矢野くんの下半身とくっつく。
矢野くんが抜き差しせずに揺さぶるから、いいとこにずっと矢野くんが当たってて、僕はずっとィきっぱなしだった。
揺れる僕の性器から精液が飛び散って、胸まで垂れてくる。
それを矢野くんが舌で舐めて、乳首も一緒に舐められる。

「あっ、昂平くんっ」

「ゆずっ、出すぞ、っ」

さっきからずっと矢野くんが同じとこばっかり突くからわかる。
そこに出したいんだって。

「いいよっ、いい……っ、出して……っ」

矢野くんの腰に脚を絡めてホールドすると、矢野くんが小さく呻いた。
瞬間、お腹の中で爆ぜた。

「ぁ……ぁ、出てる…」

「っ、馬鹿、言うなよ…」

矢野くんが恥ずかしそうに頬を染める。
額をくっつけて、至近距離で見つめ合う。
どちらからともなく、キスして抱きしめあった。

帰り道、フラフラの僕を支えながら、矢野くんはゆっくり歩いてくれた。

「……荷物、おもくない?」

買い物で買った荷物は矢野くんが全部もってくれてる。

「気にすんな。それより、おぶるか?」

「ううん、」

まだ日が落ちきってない。
街から離れて、あと少しで家というとこまできてる。
周りに人は居ないけど、おんぶしてもらうなんて恥ずかしい。

「ごめん。調子乗りすぎたな」

矢野くんが本当に申し訳なさそうな顔をして謝ってくれる。

「大丈夫だよ」

確かに、支えてもらわないと踏み出す一歩一歩が辛い。そのくらい下半身がガクガクしてる。
けど全然嫌じゃない。

…………黙ってちゃダメかな。

将平くんとのことは、なんの証拠も無いことだ。
言わなきゃバレないし、もしかしたら今の矢野くんは言ったって信じないかもしれない。
僕と、将平くん以外にも知っている人はいるけど、僕さえ口を噤んだら、なかったことに出来るかもしれない。

こんなこと、駄目だって分かってる。

でも、今の関係を壊したくないよ……。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

どうせ全部、知ってるくせに。

楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】 親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。 飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。 ※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。

甘々彼氏

すずかけあおい
BL
15歳の年の差のせいか、敦朗さんは俺をやたら甘やかす。 攻めに甘やかされる受けの話です。 〔攻め〕敦朗(あつろう)34歳・社会人 〔受け〕多希(たき)19歳・大学一年

心からの愛してる

マツユキ
BL
転入生が来た事により一人になってしまった結良。仕事に追われる日々が続く中、ついに体力の限界で倒れてしまう。過労がたたり数日入院している間にリコールされてしまい、あろうことか仕事をしていなかったのは結良だと噂で学園中に広まってしまっていた。 全寮制男子校 嫌われから固定で溺愛目指して頑張ります ※話の内容は全てフィクションになります。現実世界ではありえない設定等ありますのでご了承ください

握るのはおにぎりだけじゃない

箱月 透
BL
完結済みです。 芝崎康介は大学の入学試験のとき、落とした参考書を拾ってくれた男子生徒に一目惚れをした。想いを募らせつつ迎えた春休み、新居となるアパートに引っ越した康介が隣人を訪ねると、そこにいたのは一目惚れした彼だった。 彼こと高倉涼は「仲良くしてくれる?」と康介に言う。けれど涼はどこか訳アリな雰囲気で……。 少しずつ距離が縮まるたび、ふわりと膨れていく想い。こんなに知りたいと思うのは、近づきたいと思うのは、全部ぜんぶ────。 もどかしくてあたたかい、純粋な愛の物語。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。 漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。 陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。 漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。 漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。 養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。 陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。 漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。 仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。 沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。 日本の漁師の多くがこの形態なのだ。 沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。 遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。 内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。 漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。 出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。 休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。 個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。 漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。 専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。 資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。 漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。 食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。 地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。 この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。 もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。 翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。 この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

処理中です...