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○月×日『壊したくない』
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将平くんが目覚めたことで、色々と事が進展するかと思ったけど、そうもいかなかった。
将平くんは“あの人”の話が出ると、急に人が変わったように取り乱し、自傷行為をした。
元々、自殺未遂をした将平くんの病室には当然、殺傷できるようなものは置いてない。
だから、髪をかき乱したり、体を掻きむしるような行為だったが、それでも見ていて普通じゃないのはわかるレベルだった。
手首の傷が癒えても、心の傷は癒えてはいない。
それに“あの人”が原因で将平くんが今のような状態になっているっていうのも、僕らの憶測に過ぎない。
何が原因かわからなければ、対処も、対策もできない。
けど、原因は明らかだった。
将平くんを見てればわかる。
けど、今、将平くんに必要なのは安息だ。
それは間違いない。
「兄貴、これ好きだったろ」
「よく覚えてるなぁ。昂平はほんと、俺のことが大好きだな」
「は?バカ言うなよ……」
他愛もない話で、将平くんが笑う。
将平くんは、矢野くんと話すのが1番落ち着いて見える。
僕でも、ルーカスさんでも、青池さんでもなく、矢野くんといる時が1番……
単純に、兄弟だからかもしれないけど。
「将平、美味しいの買ってきたよ」
そう言って病室に入ってきたのはルーカスさんだった。
ルーカスさんは、先日のうっかりで日本語が話せることが将平くんにバレてしまったので、今は開き直っているようだ。
「将平の好きなものばかりだから、これを食べたら元気になってすぐに退院できるさ」
「ありがとう、リュカ。けど、やっぱりなれないな。リュカが日本語話してるの」
流暢な日本語を話すルーカスさんに、将平くんが苦笑いする。
「それは、ごめん。何度でも謝る。ずっと将平といたかったんだ」
ルーカスさんは本当に申し訳なさそうに将平くんを見る。
けど、辛辣な雰囲気というわけではなく、なんだか……あれだ、ご主人様に叱られた犬みたいな……
そんな雰囲気だ。
「はは、俺怒ってないよ?」
その証拠に、将平くんはションボリした犬のようなルーカスさんに笑顔を向けてる。
「嬉しいんだよ」
蒼い綺麗な瞳を細めて微笑む将平くんに、なんでか安堵した。
僕は、取り乱した将平くんなんて、見たことなかったから、こういう将平くんしか知らない。
ずっと、笑ってて欲しい……
傷ついてほしくない。
矢野くんとも、すごく楽しそう……
壊したくない。
将平くんは“あの人”の話が出ると、急に人が変わったように取り乱し、自傷行為をした。
元々、自殺未遂をした将平くんの病室には当然、殺傷できるようなものは置いてない。
だから、髪をかき乱したり、体を掻きむしるような行為だったが、それでも見ていて普通じゃないのはわかるレベルだった。
手首の傷が癒えても、心の傷は癒えてはいない。
それに“あの人”が原因で将平くんが今のような状態になっているっていうのも、僕らの憶測に過ぎない。
何が原因かわからなければ、対処も、対策もできない。
けど、原因は明らかだった。
将平くんを見てればわかる。
けど、今、将平くんに必要なのは安息だ。
それは間違いない。
「兄貴、これ好きだったろ」
「よく覚えてるなぁ。昂平はほんと、俺のことが大好きだな」
「は?バカ言うなよ……」
他愛もない話で、将平くんが笑う。
将平くんは、矢野くんと話すのが1番落ち着いて見える。
僕でも、ルーカスさんでも、青池さんでもなく、矢野くんといる時が1番……
単純に、兄弟だからかもしれないけど。
「将平、美味しいの買ってきたよ」
そう言って病室に入ってきたのはルーカスさんだった。
ルーカスさんは、先日のうっかりで日本語が話せることが将平くんにバレてしまったので、今は開き直っているようだ。
「将平の好きなものばかりだから、これを食べたら元気になってすぐに退院できるさ」
「ありがとう、リュカ。けど、やっぱりなれないな。リュカが日本語話してるの」
流暢な日本語を話すルーカスさんに、将平くんが苦笑いする。
「それは、ごめん。何度でも謝る。ずっと将平といたかったんだ」
ルーカスさんは本当に申し訳なさそうに将平くんを見る。
けど、辛辣な雰囲気というわけではなく、なんだか……あれだ、ご主人様に叱られた犬みたいな……
そんな雰囲気だ。
「はは、俺怒ってないよ?」
その証拠に、将平くんはションボリした犬のようなルーカスさんに笑顔を向けてる。
「嬉しいんだよ」
蒼い綺麗な瞳を細めて微笑む将平くんに、なんでか安堵した。
僕は、取り乱した将平くんなんて、見たことなかったから、こういう将平くんしか知らない。
ずっと、笑ってて欲しい……
傷ついてほしくない。
矢野くんとも、すごく楽しそう……
壊したくない。
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