濁った私淑

出雲

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道化の日々

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他人との違いを確かに感じた私は、更に強く人間に対して恐怖心を抱くようになりました。


私だけが違う。


それだけで、集団にいる時には脈が早くなるほど緊張をしました。


他人とのズレを感じ、なぜ悲しむことが出来るのか、なぜ喜ぶことが出来るのか、なぜ〝感じる〟ことが出来るのかを考えれば考えるほど分からなくなり、年を重ねるごとに他人とのズレは明確になっていきました。



私だけが違うイキモノのような不安と恐怖が募る一方でした。



そんな生活を抜け出すために、やはり私は〝演技〟をしました。


初めは先生の言うことを聞く、とても真面目な大人の求める〝良い子〟でいましたが、その〝良い子〟を快く思わない同級生がいることを感じました。


子供の求める〝良い子〟と、大人の求める〝良い子〟は別物なのです。


その時に学校では〝良い子〟だけでは生きていくことができないと悟り、親の期待、周りのも求める〝明るくひょうきんな優等生〟という私を作り上げました。



先生の質問や授業には真面目に答え、尊敬され



時折、周りが驚くような珍回答をだし、笑われ



先生にも生徒にも明るく応じる。




それでも、分かりやすいドジを踏む。



さしずめ〝お茶目〟とでも表すべきだろうか。


こうして私は家でも学校でも、休むことなく、異端児である本性を隠すために、明るくひょうきんな優等生を演じる〝道化〟として、小学校生活を乗り切って生きました。
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