指名手配ヒーローマスクハンズの苦悩 マスクのむこうがわ

ビッグバン

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序章後編

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マスクハンズは説得を諦めたのか、ため息をつきこう言った。

「なら、仕方ない。力づくは嫌いなんだがそのマスク剥がさせてもらうぞ。」
 
そう言うとマスクハンズはマキシマムに向かって突進した。

マキシマムはそれを見ると豪快に笑い、こう言った。

「ガハハハ。力自慢のこの俺相手に接近戦を挑もうとするとはよっぽど死にたいらしいな。こんな馬鹿は久しぶりだな。その心意気に免じて一発で終わらせてやろう。」

マキシマムは突進して来るマスクハンズに向かって必殺のパンチを放った。

「マキシマムボンバー」

放たれたパンチはマスクハンズの脇腹に見事に当たった。さらに、当たったこぶしが光り輝き爆発し、だだでさえ強力なマキシマムのパンチの威力を何倍にも引きあげた。
 
爆発の影響で辺り一面には土煙が舞い、マキシマムは勝ち誇った笑みを浮かべ、その場を去ろうとした。なぜなら、この技を受け立っていた者はいないからだ。

マキシマムが帰ろうと土煙に背を向けようとしたその時だった。

土煙の中からマスクハンズの手が伸びマキシマムの仮面を剥ぎ取ろとした。
マキシマムは慌てて手を掴み、地面に叩きつけた。

しかし、マスクハンズは何事もなかった様に立ち上がり懐から柔らかそうなプニプニのトラの仮面を取り出してこう言った。

「危ねぇ。このあらゆる衝撃を吸収してくれる衝撃ヒーローインパクトタイガーのマスク奪って置いてよかった。」

そして、マスクハンズはそのマスクをさらに付け、こう言った。

「さあ、反撃開始だ。」

マスクハンズはマキシマムに向かって必殺のキックを放ち、マキシマムもマスクハンズに向かって必殺のキックを放った。
「マキシマムフアイイャ。」
「スカルインパクトスティング」
そして、それぞれの必殺技が相手の顔面に同時に当たった。

凄まじい土煙が辺り一面を覆った。
そして、土煙が収まるとマスクがマキシマムの仮面を持ち立っていた。

マスクハンズは立ち上がろうともがき苦しんでいるマキシマムに向かってこう言った。

「無駄だ。このインパクトタイガーの能力は衝撃吸収だけじゃない。受けた攻撃をそのまま返せるんだよ。さらに、スカルビーの能力で身体が麻痺する毒を打ってあるからしばらくは動けない。」

マスクハンズはマキシマムのズボンのポケットから財布を取り出してこう言った。

「それに、長年のヒーロー生活で身体はボロボロで立てるのも不思議な位だったぞ。スカルビーの能力で透視して診察したが、よくあんだけ動けたな。たいしたもんだ。」

マスクハンズは財布の中を確認しながらマキシマムに向かってこう言った。

「あのままだと余命半年もなかったぞ。
だがもう大丈夫だ。スカルビーの能力で治療しといたからもう普通に生活できるぞ。」

マスクハンズは財布から金を取り出してこう言った。

「治療費として、この金とマスクを貰うぞ。 
じゃあな マキシマム お大事に。」

そう言うとマスクハンズは去って行った。

その後、マキシマムはヒーローを引退し、ヒーロー活動ばかりで疎遠になってしまった家族の家に帰った。マキシマムとしてではなくありのままの父親として。

マキシマムは家族の喜ぶ顔を見てマスクハンズに感謝してこう思った。

「俺は今まで他人を守る事に必死になりすぎて家族や自分を守る父親としての顔を失っていたんだな。世界を守るヒーローにはもう慣れないが家族を守る立派な父親になろう。ありがとう。マスクハンズお前は自分では外せなかったヒーローの呪いのマスクを外してくれたんだな。」
こうして、一人のヒーローがマスクハンズの犠牲になった。

マスク狩りヒーローマスクハンズ彼は今日も暗闇に潜み、今日もマスクを狩っていく。
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