十二支vs十二星座

ビッグバン

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慈愛

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氷狼を手にしたホロケウカムイはまるで別人の様に表情が変わった。

どこか虚ろで目の焦点が合わず光が消えていた目からは闘志に燃える炎が宿り迷いのない直ぐな視線でこちらを見つめている。顔もさっきまで死人の様な顔だったのに。今では生気に満ち溢れ思わず、こちらまで闘志が湧き上がる様ほどの熱意が伝わってきた。

その顔。その武器。その構え。ようやく本来のあなたに戻ったのですね。

ホロケウカムイの本来の構えそれは一撃で相手を倒す慈愛の構え。相手に敬意を払い必要以上に苦しめず急所に全力の一撃で勝負を決めるホロケウカムイの性格を主張する技。

ヴァルノはその姿をじっと見てこう言った。
この技を使うには目の前の相手に敬意を払い、的確に急所をつく心の余裕。そして、技を使っている時は無防備になるため相手の攻撃を全て受ける度胸と痛みを受け入れる愛も必要なまさしく慈愛の技。さっきまでの自身が傷つく事を恐れて、必要以上に相手を傷つける様な戦いをしていた貴方が仲間の言葉でここまで変わるとは。

ヴァルノはホロケウカムイの方を見てこう言った。

なるほど。それがあなたの愛ですか。いいでしょう。私も全力で答えましょう。

ヴァルノはホロケウカムイから奪った餓狼を構えた。その構えも慈愛の構えだった。その瞬間、大剣だった餓狼は刀へと姿を変えた。
その刀からは禍々しく尖っていたトゲがとるてなくなり黒ずみ汚れていた血で汚れていた刀身がまるで打ち直したかの様に綺麗になり月に照らされ輝いていた。

それを見たホロケウカムイはこう言った。

ほう。餓狼がお前を主と認めた事で飢えが満たされて。聖剣になった様だな。それに。その構え。面白い。俺にその構えで挑んだ奴は過去に1人もいなかった。さあ。こい。もう出し惜しみはしない全力で決めてやるだからお前全力で向かっこい。全部受け止めて俺が勝つ。

最初からそのつもりです。では、この餓狼のトゲを投げますからそれが落ちた時に斬り合う。それでいいですね。

ああそれでいい。早く始めろ。

ふん。見事。
勝負は一瞬だった。

両者は地面を蹴り宙に飛び上がりお互いの攻撃がすれ違う時に的確に急所に当たった。

そして、着地の瞬間立っていたのはヴァルノだった。







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