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1章 俺の彼女は終わっている
彼女、同級生と会う~彼女、苦手を告白~彼女、復活
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「よーし今回は早く着いたぞー!」
本日は、志永と燐華がデートをする日だった。
昨日に適当な場所で酒を飲み、警察に介抱されてたどり着いたホテルが偶然集合場所の近くだったため、早く着いたのだった。
「あれ? 燐華ちゃんじゃん! 久しぶりー!」
「んー?」
背後から自分の名前を呼ばれ、振り向いた。
(あー燐華さん時間通りに来るかなー......)
俺は集合場所に向かっていた。
このペースなら十分ほど前には到着しそうだ。
集合場所の近くまで来たところで、燐華さんが先にたどり着いていることに気が付いた。
(あれ、珍しいな......)
いつも時間に遅れるどころか集合場所にたどり着けない状況であることが多かったので、驚いてしまった。
(......ん? 誰かと一緒にいるな......?)
燐華さんは、茶髪のちょっとギャルっぽい服装の女性と話していた。
道でも聞かれたのか、それとも友達と偶然出会ったのか。
そんなことを考えながら燐華さんの元へ近づいていく。
次の瞬間、燐華さんは膝から崩れ落ち、地面に手をつく。
手で口を押え、地面にうずくまってしまう。
「り、燐華さん!」
俺は全力で燐華さんの元へ駆け寄った。
「......燐華さん!」
俺は燐華さんを軽くゆすり、様子を確認する。
「き、君は!?」
女性が俺に声をかけてきた。
「こ、この人の彼氏です! 一体どうしたんですか!」
「わ、私にもわかんない......! 急に体調が悪くなったのかうずくまって......!」
女性も突然のことで驚き戸惑っていた。
「燐華さん! 大丈夫ですか!?」
「......うん。いつもと同じでお酒......。うぷっ......!」
口から嘔吐物が出てしまい、地面を汚す。
「うっ......! うぅ......」
燐華さんはいつもこんなに苦しそうに吐いたりしない。
明らかに様子がおかしかった。
「と、とりあえず私水とかティッシュとか買ってくる!」
「はい! お願いします!」
女性は走って水などを買いに行った。
その間俺は燐華さんを落ち着けるためにそばにいた。
数分後、燐華さんの調子が歩ける程度まで回復したので、近くのベンチに座らせた。
「助かりました。ありがとうございます」
俺は女性にお礼する。
「い、いえ......。友達として当然のことをしただけだし......」
「え、友達?」
「私、燐華の同級生の菜月夏鈴って言うんだ。で、お兄さんは燐華ちゃんの彼氏さんだよね? 名前は?」
「あ、俺は志永翔って名前です」
「そーなんだ。今後よろしくね。それじゃ、私用事があるので、燐華ちゃんをお願いね」
「は、はい......」
「燐華ちゃんお大事に。......今度ゆっくりお話ししようね」
夏鈴さんは手を振ると走ってどこかへ行ってしまった。
姿が見えなくなり、俺は燐華さんの隣に座った。
「......いい友達ですね」
「......うん」
返事は肯定的なものだった。
しかし、燐華さんの様子が明らかにおかしい。
何かにおびえるように震え、恐怖している。
「......燐華さん。もう少し休んだら一旦俺の家に移動してしっかり休みましょう。もし歩くのが大変でしたら、おぶっていきますよ」
「......わかった」
俺はしばらくの間、燐華さんの体調が戻るのを待った。
燐華さんの体調が回復してきた頃に、俺たちは移動を開始し、俺の家に場を移した。
燐華さんはベッドに横向きに寝転がり、休憩を始めた。
「ごめんね......。志永くんに迷惑かけちゃって......」
「何言ってるんですか。いつも吐いて介抱してるので慣れっこですよ」
「はは......それもそうだね......」
いつもと比べ、やけにテンションが低い。
もしかして、夏鈴という名のあの子と何かあったのだろうか。
「......燐華さん。もしかして夏鈴さんのこと......」
「うっ......な、何......」
燐華さんが口に手を当てて返事をする。
「......ギャルっぽくて苦手だったりします?」
「......え? あ、あぁまあね......! う、うん! どうしても私と合わなくて......。えへへ......」
「そ、そうですか......」
笑いながら回答しているが、顔が少しこわばっているようなした。
「うん......。苦手なんだよね、どうしても......」
苦手なだけで本当にここまで疲弊してしまうのか。
そう思ったが、こんな状態の燐華さんに質問しても、心身共に燐華さんを追い詰めてしまうだけだ。
俺はこれ以上聞くことをやめることにし、燐華さんの介抱を最優先にすることにした。
「それじゃ、お水持ってきますね。飲めそうだったら少しずつ飲んでください」
「う、うん......」
吐いてばかりでは脱水状態になってしまうので、水を用意するために台所へと向かった。
食器棚からコップを取り出し、水を入れる。
「おっ......えほっ! えっ......!」
突然嗚咽の声が聞こえてきて、咄嗟に燐華さんの元へと戻る。
「り、燐華さん!」
ベッドの上で右手で口を押え、うずくまっている燐華さんの背中をさする。
しばらくさすると、燐華さんは落ち着き、再び横になった。
「ごめんね......ごめんね......」
泣きそうになりながら、ひたすら謝罪する燐華さん。
「......大丈夫ですよ。......気にしないでください」
俺は燐華さんの近くに座り、安心させるために声をかけ続けた。
「......志永くん。膝枕して......」
「.....それで気が晴れるならいいですよ」
俺は受け入れ、膝に燐華さんの頭を乗せる。
「......やっぱ、安心感あるね」
俺の腹に顔をうずくめながら燐華さんが言う。
「......落ち着いてきましたか?」
「うん......。ありがとね......」
燐華さんは落ち着いたのか、それからしばらく寝てしまった。
「んぅ......! ふわぁぁ......」
数時間後、大きなあくびと共に燐華さんは目を覚ました。
「あ、おはようございます。......夕方ですけど」
「えっ、あっ、お、おはよう!」
燐華さんが慌てて飛び起きたので、俺の顎と燐華さんのおでこが衝突してしまう。
あまりの痛さに、二人で悶え苦しむ。
「り、燐華さんが元気になって......よかったです......」
「あ、ありがと......ね......」
二人して数十秒ほどベッドで倒れ、痛みが引くのを待つ。
ある程度痛みが引いてきたところで、俺たちは起き上がる。
「......喉乾いちゃったな」
「あ、それなら水......」
水を持ってこようとしたが、燐華さんは足元の鞄からビール缶を取り出し、右手だけで機用に蓋を開け、一気飲みする。
そして、缶をテーブルに叩きつける。
「ふわあぁぁ......! 格別......!」
燐華さんの顔が赤く染まり始める。
どうやら燐華さんは立ち直れたようだ。
「燐華復活! いやー、志永くんにはいつも以上に迷惑かけちゃったなー......。お出かけもできなかったし、本っ当にごめんねー」
「いえ、元気になってなによりです」
「よーし! 今夜は飲むぞー!」
燐華さんはもう一つビール缶を開け、飲み干す。
四本目を飲み終えたところで嘔吐してしまったが、その顔は苦しそうな顔ではなく、笑顔だった。
いつもの燐華さんに戻ったのだと、俺は心の底から安心した。
本日は、志永と燐華がデートをする日だった。
昨日に適当な場所で酒を飲み、警察に介抱されてたどり着いたホテルが偶然集合場所の近くだったため、早く着いたのだった。
「あれ? 燐華ちゃんじゃん! 久しぶりー!」
「んー?」
背後から自分の名前を呼ばれ、振り向いた。
(あー燐華さん時間通りに来るかなー......)
俺は集合場所に向かっていた。
このペースなら十分ほど前には到着しそうだ。
集合場所の近くまで来たところで、燐華さんが先にたどり着いていることに気が付いた。
(あれ、珍しいな......)
いつも時間に遅れるどころか集合場所にたどり着けない状況であることが多かったので、驚いてしまった。
(......ん? 誰かと一緒にいるな......?)
燐華さんは、茶髪のちょっとギャルっぽい服装の女性と話していた。
道でも聞かれたのか、それとも友達と偶然出会ったのか。
そんなことを考えながら燐華さんの元へ近づいていく。
次の瞬間、燐華さんは膝から崩れ落ち、地面に手をつく。
手で口を押え、地面にうずくまってしまう。
「り、燐華さん!」
俺は全力で燐華さんの元へ駆け寄った。
「......燐華さん!」
俺は燐華さんを軽くゆすり、様子を確認する。
「き、君は!?」
女性が俺に声をかけてきた。
「こ、この人の彼氏です! 一体どうしたんですか!」
「わ、私にもわかんない......! 急に体調が悪くなったのかうずくまって......!」
女性も突然のことで驚き戸惑っていた。
「燐華さん! 大丈夫ですか!?」
「......うん。いつもと同じでお酒......。うぷっ......!」
口から嘔吐物が出てしまい、地面を汚す。
「うっ......! うぅ......」
燐華さんはいつもこんなに苦しそうに吐いたりしない。
明らかに様子がおかしかった。
「と、とりあえず私水とかティッシュとか買ってくる!」
「はい! お願いします!」
女性は走って水などを買いに行った。
その間俺は燐華さんを落ち着けるためにそばにいた。
数分後、燐華さんの調子が歩ける程度まで回復したので、近くのベンチに座らせた。
「助かりました。ありがとうございます」
俺は女性にお礼する。
「い、いえ......。友達として当然のことをしただけだし......」
「え、友達?」
「私、燐華の同級生の菜月夏鈴って言うんだ。で、お兄さんは燐華ちゃんの彼氏さんだよね? 名前は?」
「あ、俺は志永翔って名前です」
「そーなんだ。今後よろしくね。それじゃ、私用事があるので、燐華ちゃんをお願いね」
「は、はい......」
「燐華ちゃんお大事に。......今度ゆっくりお話ししようね」
夏鈴さんは手を振ると走ってどこかへ行ってしまった。
姿が見えなくなり、俺は燐華さんの隣に座った。
「......いい友達ですね」
「......うん」
返事は肯定的なものだった。
しかし、燐華さんの様子が明らかにおかしい。
何かにおびえるように震え、恐怖している。
「......燐華さん。もう少し休んだら一旦俺の家に移動してしっかり休みましょう。もし歩くのが大変でしたら、おぶっていきますよ」
「......わかった」
俺はしばらくの間、燐華さんの体調が戻るのを待った。
燐華さんの体調が回復してきた頃に、俺たちは移動を開始し、俺の家に場を移した。
燐華さんはベッドに横向きに寝転がり、休憩を始めた。
「ごめんね......。志永くんに迷惑かけちゃって......」
「何言ってるんですか。いつも吐いて介抱してるので慣れっこですよ」
「はは......それもそうだね......」
いつもと比べ、やけにテンションが低い。
もしかして、夏鈴という名のあの子と何かあったのだろうか。
「......燐華さん。もしかして夏鈴さんのこと......」
「うっ......な、何......」
燐華さんが口に手を当てて返事をする。
「......ギャルっぽくて苦手だったりします?」
「......え? あ、あぁまあね......! う、うん! どうしても私と合わなくて......。えへへ......」
「そ、そうですか......」
笑いながら回答しているが、顔が少しこわばっているようなした。
「うん......。苦手なんだよね、どうしても......」
苦手なだけで本当にここまで疲弊してしまうのか。
そう思ったが、こんな状態の燐華さんに質問しても、心身共に燐華さんを追い詰めてしまうだけだ。
俺はこれ以上聞くことをやめることにし、燐華さんの介抱を最優先にすることにした。
「それじゃ、お水持ってきますね。飲めそうだったら少しずつ飲んでください」
「う、うん......」
吐いてばかりでは脱水状態になってしまうので、水を用意するために台所へと向かった。
食器棚からコップを取り出し、水を入れる。
「おっ......えほっ! えっ......!」
突然嗚咽の声が聞こえてきて、咄嗟に燐華さんの元へと戻る。
「り、燐華さん!」
ベッドの上で右手で口を押え、うずくまっている燐華さんの背中をさする。
しばらくさすると、燐華さんは落ち着き、再び横になった。
「ごめんね......ごめんね......」
泣きそうになりながら、ひたすら謝罪する燐華さん。
「......大丈夫ですよ。......気にしないでください」
俺は燐華さんの近くに座り、安心させるために声をかけ続けた。
「......志永くん。膝枕して......」
「.....それで気が晴れるならいいですよ」
俺は受け入れ、膝に燐華さんの頭を乗せる。
「......やっぱ、安心感あるね」
俺の腹に顔をうずくめながら燐華さんが言う。
「......落ち着いてきましたか?」
「うん......。ありがとね......」
燐華さんは落ち着いたのか、それからしばらく寝てしまった。
「んぅ......! ふわぁぁ......」
数時間後、大きなあくびと共に燐華さんは目を覚ました。
「あ、おはようございます。......夕方ですけど」
「えっ、あっ、お、おはよう!」
燐華さんが慌てて飛び起きたので、俺の顎と燐華さんのおでこが衝突してしまう。
あまりの痛さに、二人で悶え苦しむ。
「り、燐華さんが元気になって......よかったです......」
「あ、ありがと......ね......」
二人して数十秒ほどベッドで倒れ、痛みが引くのを待つ。
ある程度痛みが引いてきたところで、俺たちは起き上がる。
「......喉乾いちゃったな」
「あ、それなら水......」
水を持ってこようとしたが、燐華さんは足元の鞄からビール缶を取り出し、右手だけで機用に蓋を開け、一気飲みする。
そして、缶をテーブルに叩きつける。
「ふわあぁぁ......! 格別......!」
燐華さんの顔が赤く染まり始める。
どうやら燐華さんは立ち直れたようだ。
「燐華復活! いやー、志永くんにはいつも以上に迷惑かけちゃったなー......。お出かけもできなかったし、本っ当にごめんねー」
「いえ、元気になってなによりです」
「よーし! 今夜は飲むぞー!」
燐華さんはもう一つビール缶を開け、飲み干す。
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