【完結済】俺の彼女が人として終わっているんだが

Melon

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4章 俺の彼女は幸せを勝ち取りたい

彼女、立ち向かう

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「......でも、こんなんじゃ......」

「......え?」

「......こんなんじゃ、いけないよね」

 燐華さんはゆっくり立ち上がると、突然自分の頬を強く叩いた。
 まるで、自分に喝を入れるように。

「り、燐華さん? 体調は......」

「悪いよ......。でも、みんなが助けてくれる中、私だけ弱気でなんていられないよ......! 夏鈴ちゃんが私とのこれからより、過去のいじめの楽しさを選ぶっていうなら......! 私を徹底的に叩きのめすっていうなら!」

 燐華さんはもう一度、思い切り頬を叩く。

「私決めた! 徹底的に立ち向かって、ガツンと言ってやる!」

「燐華さん......!」

「だから見てて! 夏鈴ちゃんが二度と私に近寄れないようにしてあげるから!」

 燐華さんが凛とした顔つきでそう宣言した。
 こんなに気合が入っている燐華さんは初めてだ。

 今までの燐華さんならここで心が折れてしまっていただろう。
 だが、トラウマを乗り越え、夏鈴さんと仲良くするという経験が、燐華さんの心を強くしたのだ。

「でも......」

「なんですか?」

「もし、それでもダメな時は頼らせてほしいな......」

「......もちろんですよ!」

 そう返事をすると、燐華さんの表情が明るくなる。
 先ほどまでの絶望した燐華さんの面影はない。

 このままうまく物事が進んでくれ。
 そう願うのであった。


 次の日の大学にて。
 講義に向かう俺たちの前に、当然夏鈴さんは現れた。

「あら、おはよう」

 ニヤニヤと笑いながら挨拶してくる。

「ふふふ、今日は平和に過ごせるといいわね......」

 そんなことを言う夏鈴さんの前に、燐華さんが堂々と立つ。

「ふん。やれるもんならやってみれば?」

「......は?」

「やってみればって言ってるの? 小学生みたいな幼稚ないたずらを、恥ずかしげもなくやってみたら? って言ってるの」

「な、何よ!」

 夏鈴さんが大声で言い返す。
 その声に反応し、周りの人々が注目し始めた。

「突然そんな大声出したら、ヒステリックだと思われて印象ガタ落ちだよ?」

 そんな中でも、態度を変えずグイグイ攻める。

「だ、誰がヒステリックよ! この......!」

 夏鈴さんの怒りが限界に達し、手が出そうになる。
 そこへ俺が間に入る。

「やめてください」

 俺は夏鈴さんを睨む。
 すると夏鈴さんは悔しそうな顔をし、どこかへ行ってしまった。

「はああああ,,,,,,」

 修羅場から解放され、安心感から大きなため息が出た。
 咄嗟に出たはいいものの、心臓はバクバクだった。

「どうなるかと思ったけど......」

「でもやりましたね......!」

「そうだね......!」

 俺と燐華さんはハイタッチした。


 そんな二人の様子を夏鈴は見ていた。
 殺す気でもあるかのような、殺気がある目つきで。
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