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正君

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VIVA

04.Psc

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 彼が私を隠す場所が、地下室から、彼の住む屋敷全ての部屋へと変わった。
 彼の話によると、今の私と昔の彼が似ているらしく「昔の私も君みたいに幼かった」と困ったように笑う彼の目尻が、どこか私のお父様に似ているな、と思った。
 お父様と違って、彼は私を叱らないけれど。
 
 彼が用意してくれる食事はどれも美味しく、昔は大嫌いだった食事の時間が、彼のおかげで、彼との会話の次に私にとってのお気に入りの時間になった。

「あの家に居る時は、ご飯をあまり食べなかったの?」
 彼のご飯に大喜びしている私を見て、彼がそう尋ねた。私は答えようとしたが、喉が遣えて声が出なかった。
「そっか、変なことを聞いてごめんね」
 彼の言葉に首を横に振ると、彼はゆっくりと数回頷いてから、自分の分のご飯を口に運んだ。

 ふと気になった。彼はどうして私をここに連れてきたのか。
「どうして私はここにいるの」
 彼にそう尋ねると、彼はグッと黙り込み、先程の私と同じように何も答えなかった。
「……変なことを聞いてごめんなさい」
 先程の彼のようにそう言うと、彼は困ったように笑い、席から立ち上がった。

「置いていかないで」
 私の言葉に彼は肩を震わせて笑った。
「安心して、私は君を置いていったりしないよ、少しお手洗いに行くだけだから、ついてこないでね」
 彼の大きな手が私の髪を撫でた。
「今度髪を切ろうか、その髪は、今の君には似合わない」
 私は彼が話し終わるより先に頷いた。
「貴方くらい、短く、切りたい」
 彼は嬉しそうに頷いてくれた。
「きっと似合うよ」


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