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17話 お昼ご飯は食堂で
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昼休みの食堂はうるさいし、混雑している。全校生徒が一斉に昼休みになり、食事をするのだから、当たり前だった。
食券を買い、食事と引き替え、席につく。それらを行うための待ち時間が一番長かった。
「食堂、広いわね。けど、席が無くなっちゃいそう、すごーい」
「前の学校もこんな感じじゃなかったのか?」
「前のところはレストランとか喫茶店とか何店舗も入ってたから、ここまで混んでなかったわ」
「お嬢様、庶民はこんな感じだ」
「いやよ、しぐれ。わたし、お嬢様なんかじゃないわ。ふつうの女の子よ。ちなみに、この機械どう使うの? カードは使える? 店員さんは?」
食券の発売機にクレジットカードを取り出しているのは、ふつうの光景なのだろうか。
「美月、現金もってるか?」
「現金だけ使えるのね。ま、まえの学校がクレジットカード使えただけなんだから。……うぇーん。しぐれぇ、お金貸してぇ」
「カバン持ってないからそんなことだろうと思ったよ。なに食う?」
「日替わりA定食。ハンバーグよ」
「俺もそれにするか」
食券を2枚まとめて購入する。千円札を入れて、お釣りが返って来た。
食券購入後、定食と麺類やカレーが分かれている受け取り口へ行き、食堂のひとに食券を渡す。
鮮やかな手つきでお皿に野菜を盛り付けハンバーグをのせてソースをかける。トレイの上にメインディッシュと野菜の小鉢、味噌汁が置かれた後、となりに行きご飯のサイズを注文して受け取る。調味料コーナーで野菜にドレッシングをかけて、お茶を入れてから席を探す。見事な流れ作業だった。
「あっち空いてる」
「あーっ、花恋ちゃんいるわよ」
「うっそ、どこっ?」
「あなたそれ、兄じゃなくてファンの反応よ?」
「食堂で見る花恋なんてレアだろ。雷堂とご飯食べてるじゃん。あそこ行こう」
「ナナエスのふたりじゃない。いいのかしら」
「どうせ雷堂が怖くて誰も近くに座らないだろ」
「ライチさんが恰好よすぎて、おそれ多いだけよ。エリスでも大人気だったんだから」
花恋たち、気が付いたら人気に火が付いて世間的なブームになっている。けれど、俺からすると前から好きだった3人組だから、今さらといった感じだ。ずっとパソコンに映るナナエスに夢中だった。古参ぶるつもりはないけれど。
顔の整った金髪ヤンキーと世界一の美少女かつ妹系アイドルが一緒にご飯を食べている。その様子には姉妹のよう な仲睦まじさがあった。雷堂が優しそうに笑っている様子を見るのは久しぶりだ。
「ここ座るぞ」
「お兄ちゃん、授業おつかれさま。美月さんーっ」
「花恋ちゃんーっ」
数時間ぶりなのに、久しぶりの再会というようなあいさつを交わすのは、女子特有の仲良しあいさつなのかもしれない。
「おそいぞ、時雨」
雷堂がカレーを食いながら言う。
「よく噛めよ、ライライ。クラスのやつらに邪魔されたんだよ」
「ライライゆーな。花恋も似たような感じだった」
「トップアイドルのちやほやと一緒にすんな。俺のはクラスの奴らの妨害だ」
座った先、美月と雷堂が視線を交わす。おたがいに軽く頭を下げていた。
「そっか、会うの初めてか」
「花恋から聞いてる。皇樹 美月でしょ。お嬢様って聞いてたからもっとイヤミなやつかと思ってた」
「俺も、もっと高圧的なやつかと思ってた」
「笑いかたはオホホホ、みたいな?」
「むしろそれ期待してたけど良いやつすぎてビビる」
「たまに時雨の家にいくから、また会うと思う」
「美月でいいわよ、雷堂さん」
「なら、ライチでいい。時雨のちかく、うるさくて疲れるだろ」
「とっても楽しいわよ。ユニークな人がいっぱい。山田くんとか」
口に手を当てながら、柔らかく美月が言った。なにかひっかかった。
「山田?……ヤマダアアアアッ。思い出した、せっかく忘れてたのに」
箸を落とすぐらい衝撃だった。
「そうか、花恋にも言っておかないといけないのか」
「なにかな? なんだか察しちゃったよ。なにかあったのかな?」
「いいか、絶対笑うなよ雷堂」
「なんだよそのフリ。はやく話せよ」
「話せば長いんだが、俺は明日、女装して登校することになった」
少しの間を置いて、雷堂の笑い声が食堂に響いた。何事かと静かになる食堂で雷堂は笑い続ける。俺を指差して、腹を押さえ足でバタバタと地面を叩きながら笑っていた。
花恋は横で頭を抱えていた。美月は雷堂につられて笑っている。
「バッカ、なんでそんなおもしろいこと先に言わないんだよ」
「言ったらテメーが絶対笑うって知ってるからだ、ライライ」
「そんなのアタシじゃなくても笑うだろ、オマエ。はははっ、相変わらず、意味わかんない。あとライライいうなーっ」
「もー……お兄ちゃん、なにがあったのー? なんでそんなことになってるのかな?」
「なんつーか、成り行き」
「バカ、そこが一番おもしろいだろ、話せ」
「ふふふっ、あのね時雨のクラスにはクラス目標っていう暗黙のルールがあってね」
美月に自分の周りで起こったことを説明してもらって、改めて理不尽を感じた。
あと山田だけは許さねえ。
食券を買い、食事と引き替え、席につく。それらを行うための待ち時間が一番長かった。
「食堂、広いわね。けど、席が無くなっちゃいそう、すごーい」
「前の学校もこんな感じじゃなかったのか?」
「前のところはレストランとか喫茶店とか何店舗も入ってたから、ここまで混んでなかったわ」
「お嬢様、庶民はこんな感じだ」
「いやよ、しぐれ。わたし、お嬢様なんかじゃないわ。ふつうの女の子よ。ちなみに、この機械どう使うの? カードは使える? 店員さんは?」
食券の発売機にクレジットカードを取り出しているのは、ふつうの光景なのだろうか。
「美月、現金もってるか?」
「現金だけ使えるのね。ま、まえの学校がクレジットカード使えただけなんだから。……うぇーん。しぐれぇ、お金貸してぇ」
「カバン持ってないからそんなことだろうと思ったよ。なに食う?」
「日替わりA定食。ハンバーグよ」
「俺もそれにするか」
食券を2枚まとめて購入する。千円札を入れて、お釣りが返って来た。
食券購入後、定食と麺類やカレーが分かれている受け取り口へ行き、食堂のひとに食券を渡す。
鮮やかな手つきでお皿に野菜を盛り付けハンバーグをのせてソースをかける。トレイの上にメインディッシュと野菜の小鉢、味噌汁が置かれた後、となりに行きご飯のサイズを注文して受け取る。調味料コーナーで野菜にドレッシングをかけて、お茶を入れてから席を探す。見事な流れ作業だった。
「あっち空いてる」
「あーっ、花恋ちゃんいるわよ」
「うっそ、どこっ?」
「あなたそれ、兄じゃなくてファンの反応よ?」
「食堂で見る花恋なんてレアだろ。雷堂とご飯食べてるじゃん。あそこ行こう」
「ナナエスのふたりじゃない。いいのかしら」
「どうせ雷堂が怖くて誰も近くに座らないだろ」
「ライチさんが恰好よすぎて、おそれ多いだけよ。エリスでも大人気だったんだから」
花恋たち、気が付いたら人気に火が付いて世間的なブームになっている。けれど、俺からすると前から好きだった3人組だから、今さらといった感じだ。ずっとパソコンに映るナナエスに夢中だった。古参ぶるつもりはないけれど。
顔の整った金髪ヤンキーと世界一の美少女かつ妹系アイドルが一緒にご飯を食べている。その様子には姉妹のよう な仲睦まじさがあった。雷堂が優しそうに笑っている様子を見るのは久しぶりだ。
「ここ座るぞ」
「お兄ちゃん、授業おつかれさま。美月さんーっ」
「花恋ちゃんーっ」
数時間ぶりなのに、久しぶりの再会というようなあいさつを交わすのは、女子特有の仲良しあいさつなのかもしれない。
「おそいぞ、時雨」
雷堂がカレーを食いながら言う。
「よく噛めよ、ライライ。クラスのやつらに邪魔されたんだよ」
「ライライゆーな。花恋も似たような感じだった」
「トップアイドルのちやほやと一緒にすんな。俺のはクラスの奴らの妨害だ」
座った先、美月と雷堂が視線を交わす。おたがいに軽く頭を下げていた。
「そっか、会うの初めてか」
「花恋から聞いてる。皇樹 美月でしょ。お嬢様って聞いてたからもっとイヤミなやつかと思ってた」
「俺も、もっと高圧的なやつかと思ってた」
「笑いかたはオホホホ、みたいな?」
「むしろそれ期待してたけど良いやつすぎてビビる」
「たまに時雨の家にいくから、また会うと思う」
「美月でいいわよ、雷堂さん」
「なら、ライチでいい。時雨のちかく、うるさくて疲れるだろ」
「とっても楽しいわよ。ユニークな人がいっぱい。山田くんとか」
口に手を当てながら、柔らかく美月が言った。なにかひっかかった。
「山田?……ヤマダアアアアッ。思い出した、せっかく忘れてたのに」
箸を落とすぐらい衝撃だった。
「そうか、花恋にも言っておかないといけないのか」
「なにかな? なんだか察しちゃったよ。なにかあったのかな?」
「いいか、絶対笑うなよ雷堂」
「なんだよそのフリ。はやく話せよ」
「話せば長いんだが、俺は明日、女装して登校することになった」
少しの間を置いて、雷堂の笑い声が食堂に響いた。何事かと静かになる食堂で雷堂は笑い続ける。俺を指差して、腹を押さえ足でバタバタと地面を叩きながら笑っていた。
花恋は横で頭を抱えていた。美月は雷堂につられて笑っている。
「バッカ、なんでそんなおもしろいこと先に言わないんだよ」
「言ったらテメーが絶対笑うって知ってるからだ、ライライ」
「そんなのアタシじゃなくても笑うだろ、オマエ。はははっ、相変わらず、意味わかんない。あとライライいうなーっ」
「もー……お兄ちゃん、なにがあったのー? なんでそんなことになってるのかな?」
「なんつーか、成り行き」
「バカ、そこが一番おもしろいだろ、話せ」
「ふふふっ、あのね時雨のクラスにはクラス目標っていう暗黙のルールがあってね」
美月に自分の周りで起こったことを説明してもらって、改めて理不尽を感じた。
あと山田だけは許さねえ。
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