7 / 370
ヒーズル王国
しおりを挟む
建物から外に出ると久しぶりに感じる日の光を眩しく感じる。一瞬目が眩み目を瞑ると、お父様に肩を抱かれた。そしてゆっくりと目を開ける。
「カレン様!」「スイレン様!」「大きくなられて……」
そんな声が聞こえ声の主を探そうと思うも、目の前に既に数百人の国民がいた。いたけれど、どの人も痩せこけボロをまとい、明らかに健康そうな人はいなかった。子供の数も極端に少ない。その国民の後ろにはバラックのような建物が点々とし、あまりの光景に私は涙を流してしまった。それを拭うことなく空を見上げれば雲一つない真っ青な空、そして周囲を見回せば日本ではほとんど見ることのない赤い土の大地には草木一本も生えずどこまでも広がっていた。
「……どうして……どうして私とスイレンはぬくぬくと何も困らずに生きて、どうしてみんなはこんなに痩せているの!?」
気付いてしまった。私とスイレンは痩せ型ではあるけど標準体型。よく見ればお父様もお母様もじいやもかなり痩せていた。私が声を荒らげると一人の老婆が一歩踏み出した。
「泣かないでくだされ。大きくなられましたなカレン様、スイレン様。お二人の未来を占いましたおババでございます」
占いおババさんは私たちに一礼をし話し始めた。
「どうか泣かずに怒らずに。私たちは今この時のためにお二人を大事に大事に守ってまいりました。これは私たち民の真意でございます」
「……食べ物も衣服も私たちにくれたのね……?あなたたちは食べ物はどうしているの……?動物は……?」
「……私とモクレン様とで狩り尽くしました。目に見える範囲に生えていた少しばかりの草は全て食べ尽くしました。エサがなければ動物も参りません。そもそもまだいるのかどうか……」
じいやの言葉にまた涙がこぼれた。どれだけひもじい思いをしてこの人たちは暮らしているんだろう。
「私は……ヒック……ただの小さな子供で……えぐっ……みんなを救う力はない……!……グスッ……けれどみんなにはない知恵がある……だからその知恵を……グスン……みんなの為に使う!今日明日に幸せになれる訳じゃない……一年先、二年先、そしてみんなの子孫のために……この国を発展させよう……だからみんな……力を貸して……」
泣きながらではあるけど、思ったことを口にした。貧乏ほど辛いものはないんだ。私とスイレンの為にこんな生活を強いられてきたみんなの為に、私は恩返しをしなければならない。
「……じいや、国民の数は?」
「はい。こちらに来た時は三百人はいたかと思いますが、今は二百人いるかどうか……」
あぁ……きっと病死だったり餓死したりしたんだろう……。前世の私と一緒だ。あんなに苦しい死に方はない……。もう餓死者は出したくない……。
「……今の食糧の調達方法は?」
「はい。見様見真似で畑を作ってみましたが……上手くいかず……」
元々森の恵みをいただいて生活していた森の民は一般的な暮らしが分からないらしく、ましてやこの何も生えていない土地に来て相当苦労したのだろう。畑を見せてもらうと、バラックの陰に小さな畑が数個あった。
「栄養があると言われるトウモロコーンという野菜でございます。ですが年々実を付けなくなってまいりました」
近付いてその野菜を確認すると、トウモロコーンは間違いなくトウモロコシだった。けれど背丈は大人の腰ほどの高さしかなく、土の表面は見るからに乾き、土自体にも栄養はなさそうで茎や葉はどう見ても乾燥している。
「……水は?みんな水はどうしているの?」
乾燥から連想した、生きる為に必要な水のことについて聞いた。
「ここから西へ数キロほど歩きますと川がございます。動ける者は毎日水を汲みに行っております」
「汲みに?川は洪水になったり氾濫しないの?雨は?」
「そのようなことはありませんでした。一定の水量を保ち雄大に流れております。雨は降らないこともないですが、森に比べると少ないですな」
やること、考えることが多すぎて頭が追い付かなくなってきた頃、ずっと静かだったスイレンが口を開いた。
「……僕……なんとなくだけどカレンの考えていることが分かる。あと……ここが緑でいっぱいになる未来が見えた……気がする……。カレン、僕も頑張るからみんなでここを変えよう」
国民たちは口々に「預言だ!」と騒ぐ。今は村人にしか見えないこの人たちを立派な王国民にする為に、私とスイレンは家に戻り作戦会議を開くことにした。
「みんな!もう少し我慢して!絶対に私たちが幸せにしてみせる!」
子供の戯れ言だと本気にしないだろうと思ったけど、国民たちは涙を流して喜んでくれた。今この時から、私とスイレンは救世主になろうと誓い合った。
「カレン様!」「スイレン様!」「大きくなられて……」
そんな声が聞こえ声の主を探そうと思うも、目の前に既に数百人の国民がいた。いたけれど、どの人も痩せこけボロをまとい、明らかに健康そうな人はいなかった。子供の数も極端に少ない。その国民の後ろにはバラックのような建物が点々とし、あまりの光景に私は涙を流してしまった。それを拭うことなく空を見上げれば雲一つない真っ青な空、そして周囲を見回せば日本ではほとんど見ることのない赤い土の大地には草木一本も生えずどこまでも広がっていた。
「……どうして……どうして私とスイレンはぬくぬくと何も困らずに生きて、どうしてみんなはこんなに痩せているの!?」
気付いてしまった。私とスイレンは痩せ型ではあるけど標準体型。よく見ればお父様もお母様もじいやもかなり痩せていた。私が声を荒らげると一人の老婆が一歩踏み出した。
「泣かないでくだされ。大きくなられましたなカレン様、スイレン様。お二人の未来を占いましたおババでございます」
占いおババさんは私たちに一礼をし話し始めた。
「どうか泣かずに怒らずに。私たちは今この時のためにお二人を大事に大事に守ってまいりました。これは私たち民の真意でございます」
「……食べ物も衣服も私たちにくれたのね……?あなたたちは食べ物はどうしているの……?動物は……?」
「……私とモクレン様とで狩り尽くしました。目に見える範囲に生えていた少しばかりの草は全て食べ尽くしました。エサがなければ動物も参りません。そもそもまだいるのかどうか……」
じいやの言葉にまた涙がこぼれた。どれだけひもじい思いをしてこの人たちは暮らしているんだろう。
「私は……ヒック……ただの小さな子供で……えぐっ……みんなを救う力はない……!……グスッ……けれどみんなにはない知恵がある……だからその知恵を……グスン……みんなの為に使う!今日明日に幸せになれる訳じゃない……一年先、二年先、そしてみんなの子孫のために……この国を発展させよう……だからみんな……力を貸して……」
泣きながらではあるけど、思ったことを口にした。貧乏ほど辛いものはないんだ。私とスイレンの為にこんな生活を強いられてきたみんなの為に、私は恩返しをしなければならない。
「……じいや、国民の数は?」
「はい。こちらに来た時は三百人はいたかと思いますが、今は二百人いるかどうか……」
あぁ……きっと病死だったり餓死したりしたんだろう……。前世の私と一緒だ。あんなに苦しい死に方はない……。もう餓死者は出したくない……。
「……今の食糧の調達方法は?」
「はい。見様見真似で畑を作ってみましたが……上手くいかず……」
元々森の恵みをいただいて生活していた森の民は一般的な暮らしが分からないらしく、ましてやこの何も生えていない土地に来て相当苦労したのだろう。畑を見せてもらうと、バラックの陰に小さな畑が数個あった。
「栄養があると言われるトウモロコーンという野菜でございます。ですが年々実を付けなくなってまいりました」
近付いてその野菜を確認すると、トウモロコーンは間違いなくトウモロコシだった。けれど背丈は大人の腰ほどの高さしかなく、土の表面は見るからに乾き、土自体にも栄養はなさそうで茎や葉はどう見ても乾燥している。
「……水は?みんな水はどうしているの?」
乾燥から連想した、生きる為に必要な水のことについて聞いた。
「ここから西へ数キロほど歩きますと川がございます。動ける者は毎日水を汲みに行っております」
「汲みに?川は洪水になったり氾濫しないの?雨は?」
「そのようなことはありませんでした。一定の水量を保ち雄大に流れております。雨は降らないこともないですが、森に比べると少ないですな」
やること、考えることが多すぎて頭が追い付かなくなってきた頃、ずっと静かだったスイレンが口を開いた。
「……僕……なんとなくだけどカレンの考えていることが分かる。あと……ここが緑でいっぱいになる未来が見えた……気がする……。カレン、僕も頑張るからみんなでここを変えよう」
国民たちは口々に「預言だ!」と騒ぐ。今は村人にしか見えないこの人たちを立派な王国民にする為に、私とスイレンは家に戻り作戦会議を開くことにした。
「みんな!もう少し我慢して!絶対に私たちが幸せにしてみせる!」
子供の戯れ言だと本気にしないだろうと思ったけど、国民たちは涙を流して喜んでくれた。今この時から、私とスイレンは救世主になろうと誓い合った。
151
あなたにおすすめの小説
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる