49 / 370
買い物行脚2
しおりを挟む
エルザさんの店の隣の店も店頭にたくさんの苗が売られていた。このお店では黒板にチョークンで植物名が書かれているけど、名前を読めても日本名とは違うので分からなくて戸惑ってしまう。するとタイミングよくナズナさんが口を開いた。
「このお店は香草がほとんどのようね。ここで売っている香草はさっき森で採取したわよ。たくさんね」
そう言ってナズナさんはニシシと笑う。
「本当?じゃあ香草以外の売り物はどんな植物なの?……名前が違うから分からなくて」
語尾を小声で言うとナズナさんは察してくれたようだ。名前を言ってくれ、ナズナさんでも分からない植物はお店の人にどんな風に育つのかも聞いてくれたおかげでいくつか気になる物があった。
「コートンの木って……こうフワフワに包まれた種が出来るやつ?」
「うん。森にもあったにはあったけど、ほとんど見かけることがなかったなぁ」
ナズナさんは記憶を呼び起こすように顎に手をあて上を向いて語る。
「じゃあ買っちゃいましょ!あと『緑のペパー』ってもしかして細長くて辛い実が成る?」
ナズナさんに問いかけていると店員さんが話に入ってくる。
「いらっしゃい!こっちはお嬢ちゃんが言ったように細長い物が実るよ。そしてこっちは丸っこい物が出来るんだ」
指をさして説明してくれるけど、丸っこいのはピーマンかな?うーん……いろいろと育ててみよう!
「じゃあどちらもください!あとね、『緑の』ってことは普通のペパーもあるの?」
「あぁ、これだよ」
『普通のペパー』というのが存在するのかという意味で聞いたら、目の前にその普通のペパーが売られていた。苗というよりはそこそこ育った状態のようだ。
「残り一個しかなくて悪いね。これはね、ツル性で上に伸びるから支柱が必要だよ。種が香辛料になるけどその種はほとんど発芽しないから、ツルを切って土に植えると簡単に増やせるよ」
ナズナさんはペパーを知らないらしく小首を傾げている。あれ?葉っぱを見てもピンと来なかったけど、説明を聞く限りもしかしてこれって胡椒?だとしたらお料理の幅が広がるわ!
「買います!買います!ぜひ買います!」
前のめりでそう言うとナズナさんにも店員さんにも笑われてしまった。ここの店でも買ったものは麻袋に入れてくれ、私たちはリーモンの木と一緒に荷車に積むために戻った。
「おかえり。ちょうど私たちも終わったところだよ」
荷車に物を積み込んでいる男性陣たちだったが、ヒイラギが私たちに気付いて私、というよりはナズナさんに微笑みながら声をかけた。……羨ましいくらいラブラブね!あ、お父様とお母様も実は負けないくらいラブラブだったわ!
「最後に大きな買い物をして帰りましょう。荷車を二つ買ってもまだお金は余る?」
「充分余りますぞ」
じいやの言葉に嬉しさが溢れ、みんな揃ってジョーイさんの店へと向かう。
「ジョーイさーん!荷車を売ってくださーい!」
そんな大声を出しながらジョーイさんの店へと入ると、ジョーイさんは奥で作業していた。私たちに気付くとジョーイさんはパタパタと走って来る。
「聞いてくれ!リバーシの予約がたくさん入ってるんだ!今それをまとめていたところだ」
「良かったわね!ブルーノさんも本当は大工さんなのに違う意味で大忙しね」
私の発言で場は笑いに包まれる。
「で、荷車だったな。好きなのを持って行ってくれ」
ジョーイさんのお店の向かい側は少し開けていて、広場とは言えないけれど少し広くなっている。そこに荷車など大きな物が置かれている。私以外のみんなは一台一台確認し、頑丈そうな物を選んでいるようだ。私はというと一番の目当てのセーメントを大量に買ったり、鍬やスコップなどこれから必要になるであろう道具を買い足したり、気になる道具を買い漁る。
全部の買い物を済ませ代金を支払ってもまだ金貨は余っていた。
「そうだ!忘れてた!」
金貨を見てニヤついている私に気付かずジョーイさんは声を上げる。
「前に来た時に湿地の泥を欲しがっていただろう?だから湿地の近くに畑がある人に少しずつ持って来てもらって貯めてたんだよ。君たちがいつ来るか分からなかったから、腐らせるといけないと思って乾燥させていたんだけど……それでも良いなら持って行くかい?」
「えー!本当に助かるわ!嬉しい!」
ジョーイさんは「これはお金はいらないからね」と言い、荷車を置いている場所の奥に歩いて行く。私も着いて行くと土の山が出来ており、ジョーイさんは近くにあった樽にスコップでそれを入れてくれた。
じいやたちはそれを受け取ると荷台に載せ、荷車三台の荷物の重さが平均となるように積み降ろしをする。
「今度はね、二十日後に来るわ」
「また何か作って来るのかい!?」
「……うーん……考えておくわね」
そしてジョーイさんと別れ私たちは町の入り口に向かう。
「今日はもう帰るのかい?」
私たちに気付いたペーターさんが寂しそうに呟く。
「二十日後にまた来るわ。森から拾って来たあのうるさい人と約束なの!」
拾って来たという発言に笑いが止まらなくなるペーターさん。
「……あぁ笑った。では二十日後だな?待っているからな。私も町の者も」
優しく微笑むペーターさんにさよならを告げて私たちはヒーズル王国に帰ることにした。
ちなみにじいやラブのジェイソンさんは国境警備の仕事を放棄して、じいやにプレゼントしようと木を切り倒しているところに道中遭遇し「助かるが何をしておる!」と喝を入れられ喜んでいた。
「このお店は香草がほとんどのようね。ここで売っている香草はさっき森で採取したわよ。たくさんね」
そう言ってナズナさんはニシシと笑う。
「本当?じゃあ香草以外の売り物はどんな植物なの?……名前が違うから分からなくて」
語尾を小声で言うとナズナさんは察してくれたようだ。名前を言ってくれ、ナズナさんでも分からない植物はお店の人にどんな風に育つのかも聞いてくれたおかげでいくつか気になる物があった。
「コートンの木って……こうフワフワに包まれた種が出来るやつ?」
「うん。森にもあったにはあったけど、ほとんど見かけることがなかったなぁ」
ナズナさんは記憶を呼び起こすように顎に手をあて上を向いて語る。
「じゃあ買っちゃいましょ!あと『緑のペパー』ってもしかして細長くて辛い実が成る?」
ナズナさんに問いかけていると店員さんが話に入ってくる。
「いらっしゃい!こっちはお嬢ちゃんが言ったように細長い物が実るよ。そしてこっちは丸っこい物が出来るんだ」
指をさして説明してくれるけど、丸っこいのはピーマンかな?うーん……いろいろと育ててみよう!
「じゃあどちらもください!あとね、『緑の』ってことは普通のペパーもあるの?」
「あぁ、これだよ」
『普通のペパー』というのが存在するのかという意味で聞いたら、目の前にその普通のペパーが売られていた。苗というよりはそこそこ育った状態のようだ。
「残り一個しかなくて悪いね。これはね、ツル性で上に伸びるから支柱が必要だよ。種が香辛料になるけどその種はほとんど発芽しないから、ツルを切って土に植えると簡単に増やせるよ」
ナズナさんはペパーを知らないらしく小首を傾げている。あれ?葉っぱを見てもピンと来なかったけど、説明を聞く限りもしかしてこれって胡椒?だとしたらお料理の幅が広がるわ!
「買います!買います!ぜひ買います!」
前のめりでそう言うとナズナさんにも店員さんにも笑われてしまった。ここの店でも買ったものは麻袋に入れてくれ、私たちはリーモンの木と一緒に荷車に積むために戻った。
「おかえり。ちょうど私たちも終わったところだよ」
荷車に物を積み込んでいる男性陣たちだったが、ヒイラギが私たちに気付いて私、というよりはナズナさんに微笑みながら声をかけた。……羨ましいくらいラブラブね!あ、お父様とお母様も実は負けないくらいラブラブだったわ!
「最後に大きな買い物をして帰りましょう。荷車を二つ買ってもまだお金は余る?」
「充分余りますぞ」
じいやの言葉に嬉しさが溢れ、みんな揃ってジョーイさんの店へと向かう。
「ジョーイさーん!荷車を売ってくださーい!」
そんな大声を出しながらジョーイさんの店へと入ると、ジョーイさんは奥で作業していた。私たちに気付くとジョーイさんはパタパタと走って来る。
「聞いてくれ!リバーシの予約がたくさん入ってるんだ!今それをまとめていたところだ」
「良かったわね!ブルーノさんも本当は大工さんなのに違う意味で大忙しね」
私の発言で場は笑いに包まれる。
「で、荷車だったな。好きなのを持って行ってくれ」
ジョーイさんのお店の向かい側は少し開けていて、広場とは言えないけれど少し広くなっている。そこに荷車など大きな物が置かれている。私以外のみんなは一台一台確認し、頑丈そうな物を選んでいるようだ。私はというと一番の目当てのセーメントを大量に買ったり、鍬やスコップなどこれから必要になるであろう道具を買い足したり、気になる道具を買い漁る。
全部の買い物を済ませ代金を支払ってもまだ金貨は余っていた。
「そうだ!忘れてた!」
金貨を見てニヤついている私に気付かずジョーイさんは声を上げる。
「前に来た時に湿地の泥を欲しがっていただろう?だから湿地の近くに畑がある人に少しずつ持って来てもらって貯めてたんだよ。君たちがいつ来るか分からなかったから、腐らせるといけないと思って乾燥させていたんだけど……それでも良いなら持って行くかい?」
「えー!本当に助かるわ!嬉しい!」
ジョーイさんは「これはお金はいらないからね」と言い、荷車を置いている場所の奥に歩いて行く。私も着いて行くと土の山が出来ており、ジョーイさんは近くにあった樽にスコップでそれを入れてくれた。
じいやたちはそれを受け取ると荷台に載せ、荷車三台の荷物の重さが平均となるように積み降ろしをする。
「今度はね、二十日後に来るわ」
「また何か作って来るのかい!?」
「……うーん……考えておくわね」
そしてジョーイさんと別れ私たちは町の入り口に向かう。
「今日はもう帰るのかい?」
私たちに気付いたペーターさんが寂しそうに呟く。
「二十日後にまた来るわ。森から拾って来たあのうるさい人と約束なの!」
拾って来たという発言に笑いが止まらなくなるペーターさん。
「……あぁ笑った。では二十日後だな?待っているからな。私も町の者も」
優しく微笑むペーターさんにさよならを告げて私たちはヒーズル王国に帰ることにした。
ちなみにじいやラブのジェイソンさんは国境警備の仕事を放棄して、じいやにプレゼントしようと木を切り倒しているところに道中遭遇し「助かるが何をしておる!」と喝を入れられ喜んでいた。
96
あなたにおすすめの小説
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる