56 / 370
水路建設の難関作業
しおりを挟む
朝食を食べたあと、エビネたちに畑での作業の指示をし、水路建設に行かない者たちにも森の手入れを指示する。この土地に馴染んでしまった植物たちは、この土地の不思議な力も相まってもの凄い早さで成長してしまうからだ。畑の作物は頃合いを見て収穫してもらい、森も間伐をして貰わないと思う通りに育って行かないからだ。ナーの花とクローバーは何も手入れをせずともどんどんと生息域を広げていってるが、これは無害なので放置だ。昨日辺りからイネ科と思われる雑草たちも、クローバーに負けじと生息域の拡大をはかっている。
今日は持って行く荷物が多いのでお父様とじいやにお願いをし荷車に載せてもらう。一番大事なセーメント、そしてリトールの町で貰ってきた雑巾にするしかないほど汚れたシーツを数枚、……何をどうしたらこんなに汚れるのかしら?……それと、同じく貰った雑巾を数枚。その他細々とした道具を積む。さらに葉が付いたままの木の枝を何本か切ってもらい、私たちはカゴを被ってまずは石切り場を目指す。
自然の物で作られたカゴは全部が同じ大きさではなかったので、自分の頭にフィットするカゴを探すところから始まった。端から見たらカゴを被った屈強な男たちはさぞ滑稽だろうけど、私たちはお母様たちからの気持ちの籠もったカゴを笑うことなく被った。
今日は石切り場の辺りにまでクローバーが増えていた。殺風景だった場所に緑があるだけで落ち着く。
今日もスイレンが予定などを話しているが、私は大事なことにふと気付く。『川』も『用水路』も知ってはいるけど、取水口についてはまるで知識がないのだ。身近にありすぎて、当たり前すぎる用水路に疑問を持たずにいたせいで一番大事な部分が分からず困惑してしまう。
昨日の続きを始めようとした時に一度ストップをかけ、スイレンを呼び出し急きょ作戦会議を開く。
「みんなごめんなさい!少しだけ待って!……あのねスイレン」
みんなから少し離れた場所に移動した私はみんなに大きな声で待ってもらうように言い、スイレンに取水口について悩んでいることを話した。
「うーん……最終的に石管に水が流れば良いんだよね?最初の石管の手前に『凵』の形をした誘導口を作ってくっつけるのはどう?」
私たちは地面に文字や絵を書きながら話す。要するにU字溝や側溝と呼ばれる物を作ったらどうかとスイレンは言うのだ。
「あ……良いかも。あと石管の手前を砂とかを沈殿させる為に深くするのはどう?……ねぇ!誰か石を彫れる人はいる?」
そう声をかけると何人かが手を上げて応えてくれた。私とスイレンは今話していたことを伝え、石で側溝を作ってくれるように頼んだ。本来ならある程度の長さのU字溝を連結させるのだろうけど、川の近くにも岩場はあるのでそこで一本の側溝を作ってもらうことに決まった。さらに沈殿の為に一段低い場所を作ってもらうべく、小さなバスタブくらいの物を石をくり抜いて作ってもらうことにした。
そしてようやく作業を開始すべく、昨日作業をした場所に向かう。向かう途中、何ヶ所かは掘った溝に砂が落ち込んでいたが、そこまで酷くはなかったのでそのままにして私たちは進む。
昨日作業をしていた場所に到着し続きを始めてもらい、石を彫る人たちには道具を渡して作業をお願いする。
お父様たちが掘っている姿を見ていたら、何となく砂が土っぽくなっているように感じる。注意深く見ているとやはり「あれ?」と思い、お父様が掘り出した場所に降りた。
「やっぱり……これ乾いているけど粘土よ。これでレンガを作れるわ!」
「本当かカレン!?」
掘っていたお父様も驚いている。でもすぐに作業に取りかかれる訳ではないないし、粘土層があるのも分かったので水路建設を先に進めることにする。
全員が休み休み交代しながら無理なく作業をし、私とスイレンも掘り出された砂を寄せたりするのを手伝う。スイレンは初めて外に出た頃と比べてすごく体力がついたと思う。そんなことを思いながら私が出来る作業をしていると後ろから声をかけられた。
「今からでもお手伝い出来ることはありますか?」
え?と思い振り返るとそこにはタデがいた。
「タデ!寝ていなくて大丈夫なの!?」
「はい、問題ありません。無理もしませんし、やれることをやりますよ」
フッとニヒルに笑うタデは石を掘っている人たちに混ざる。タデを見た人はみんな心配しているが、やはり一緒に作業を出来ることを喜んでいるようで一気に場が明るくなる。
人目につく物ではないので少々手荒く作業をしているが、やはりタデの作業スピードは誰よりも早い。みんなが感心してる中、お父様が大きな声でタデに話しかける。
「おーいタデ!疲れて倒れたらおんぶしてやるからな!」
「……うるさいっ……!」
周りの人たちの大笑いの反応からも、二人は仲良しなんだと再確認させられた。私もいつか友だちが出来るかしら?
今日は持って行く荷物が多いのでお父様とじいやにお願いをし荷車に載せてもらう。一番大事なセーメント、そしてリトールの町で貰ってきた雑巾にするしかないほど汚れたシーツを数枚、……何をどうしたらこんなに汚れるのかしら?……それと、同じく貰った雑巾を数枚。その他細々とした道具を積む。さらに葉が付いたままの木の枝を何本か切ってもらい、私たちはカゴを被ってまずは石切り場を目指す。
自然の物で作られたカゴは全部が同じ大きさではなかったので、自分の頭にフィットするカゴを探すところから始まった。端から見たらカゴを被った屈強な男たちはさぞ滑稽だろうけど、私たちはお母様たちからの気持ちの籠もったカゴを笑うことなく被った。
今日は石切り場の辺りにまでクローバーが増えていた。殺風景だった場所に緑があるだけで落ち着く。
今日もスイレンが予定などを話しているが、私は大事なことにふと気付く。『川』も『用水路』も知ってはいるけど、取水口についてはまるで知識がないのだ。身近にありすぎて、当たり前すぎる用水路に疑問を持たずにいたせいで一番大事な部分が分からず困惑してしまう。
昨日の続きを始めようとした時に一度ストップをかけ、スイレンを呼び出し急きょ作戦会議を開く。
「みんなごめんなさい!少しだけ待って!……あのねスイレン」
みんなから少し離れた場所に移動した私はみんなに大きな声で待ってもらうように言い、スイレンに取水口について悩んでいることを話した。
「うーん……最終的に石管に水が流れば良いんだよね?最初の石管の手前に『凵』の形をした誘導口を作ってくっつけるのはどう?」
私たちは地面に文字や絵を書きながら話す。要するにU字溝や側溝と呼ばれる物を作ったらどうかとスイレンは言うのだ。
「あ……良いかも。あと石管の手前を砂とかを沈殿させる為に深くするのはどう?……ねぇ!誰か石を彫れる人はいる?」
そう声をかけると何人かが手を上げて応えてくれた。私とスイレンは今話していたことを伝え、石で側溝を作ってくれるように頼んだ。本来ならある程度の長さのU字溝を連結させるのだろうけど、川の近くにも岩場はあるのでそこで一本の側溝を作ってもらうことに決まった。さらに沈殿の為に一段低い場所を作ってもらうべく、小さなバスタブくらいの物を石をくり抜いて作ってもらうことにした。
そしてようやく作業を開始すべく、昨日作業をした場所に向かう。向かう途中、何ヶ所かは掘った溝に砂が落ち込んでいたが、そこまで酷くはなかったのでそのままにして私たちは進む。
昨日作業をしていた場所に到着し続きを始めてもらい、石を彫る人たちには道具を渡して作業をお願いする。
お父様たちが掘っている姿を見ていたら、何となく砂が土っぽくなっているように感じる。注意深く見ているとやはり「あれ?」と思い、お父様が掘り出した場所に降りた。
「やっぱり……これ乾いているけど粘土よ。これでレンガを作れるわ!」
「本当かカレン!?」
掘っていたお父様も驚いている。でもすぐに作業に取りかかれる訳ではないないし、粘土層があるのも分かったので水路建設を先に進めることにする。
全員が休み休み交代しながら無理なく作業をし、私とスイレンも掘り出された砂を寄せたりするのを手伝う。スイレンは初めて外に出た頃と比べてすごく体力がついたと思う。そんなことを思いながら私が出来る作業をしていると後ろから声をかけられた。
「今からでもお手伝い出来ることはありますか?」
え?と思い振り返るとそこにはタデがいた。
「タデ!寝ていなくて大丈夫なの!?」
「はい、問題ありません。無理もしませんし、やれることをやりますよ」
フッとニヒルに笑うタデは石を掘っている人たちに混ざる。タデを見た人はみんな心配しているが、やはり一緒に作業を出来ることを喜んでいるようで一気に場が明るくなる。
人目につく物ではないので少々手荒く作業をしているが、やはりタデの作業スピードは誰よりも早い。みんなが感心してる中、お父様が大きな声でタデに話しかける。
「おーいタデ!疲れて倒れたらおんぶしてやるからな!」
「……うるさいっ……!」
周りの人たちの大笑いの反応からも、二人は仲良しなんだと再確認させられた。私もいつか友だちが出来るかしら?
92
あなたにおすすめの小説
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
スキルが農業と豊穣だったので追放されました~辺境伯令嬢はおひとり様を満喫しています~
白雪の雫
ファンタジー
「アールマティ、当主の名において穀潰しのお前を追放する!」
マッスル王国のストロング辺境伯家は【軍神】【武神】【戦神】【剣聖】【剣豪】といった戦闘に関するスキルを神より授かるからなのか、代々優れた軍人・武人を輩出してきた家柄だ。
そんな家に産まれたからなのか、ストロング家の者は【力こそ正義】と言わんばかりに見事なまでに脳筋思考の持ち主だった。
だが、この世には例外というものがある。
ストロング家の次女であるアールマティだ。
実はアールマティ、日本人として生きていた前世の記憶を持っているのだが、その事を話せば病院に送られてしまうという恐怖があるからなのか誰にも打ち明けていない。
そんなアールマティが授かったスキルは【農業】と【豊穣】
戦いに役に立たないスキルという事で、アールマティは父からストロング家追放を宣告されたのだ。
「仰せのままに」
父の言葉に頭を下げた後、屋敷を出て行こうとしているアールマティを母と兄弟姉妹、そして家令と使用人達までもが嘲笑いながら罵っている。
「食糧と食料って人間の生命活動に置いて一番大事なことなのに・・・」
脳筋に何を言っても無駄だと子供の頃から悟っていたアールマティは他国へと亡命する。
アールマティが森の奥でおひとり様を満喫している頃
ストロング領は大飢饉となっていた。
農業系のゲームをやっていた時に思い付いた話です。
主人公のスキルはゲームがベースになっているので、作物が実るのに時間を要しないし、追放された後は現代的な暮らしをしているという実にご都合主義です。
短い話という理由で色々深く考えた話ではないからツッコミどころ満載です。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~
チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!?
魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで!
心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく--
美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる