貧乏育ちの私が転生したらお姫様になっていましたが、貧乏王国だったのでスローライフをしながらお金を稼ぐべく姫が自らキリキリ働きます!

Levi

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漁師カレン

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 昨夜は晩御飯が豪勢だったおかげでいつもより体調が良い。何かお祝いごとがあったわけではないが、昨日見つけたものはやはりせいろだったようでたくさんの野菜を蒸し料理にして食べたのだ。中でもパンキプンは好評で、切る時にあんなに固くて苦労したものがこんなに柔らかくなるのかと驚かれ、さらにはほのかな甘みが口の中に広がるのが好まれた。
 日本で言う自然薯こと『モリノイモ』も蒸し、それに少々の塩と完成したばかりのペパーの粉末をかけたものは老若男女問わず大好評だった。

 今日は水路建設チームの他に、水汲み、オッヒョイの樹皮加工、粘土採取とたくさんの民たちが川の方へ向かうことになった。もちろん私は昨日作った仕掛け網を持ち、粘土採取に向かうイチビとシャガが使う荷車にそっと載せる。そしてさぁ出発だと言っているところにヒイラギが走ってきた。

「姫、昨日の設計図の物が完成しそうだよ。帰りは遅くなりそう?」

 最近私にフランクに接するようになったヒイラギはそう話す。

「多分……遅くなると思うわ。そうだ!完成したなら、さらに作ってほしい物があるの。そろそろリトールの町に行くでしょう?テックノン王国のニコライさんに納品するリバーシを作ってほしいのよ。ただ今回は金貨一枚では買えない物を作って」

 今回は盤面の脇にコマを収納する溝を作ってもらい、蓋付きの豪華なリバーシセットを作ってほしいとお願いする。その話を聞いたヒイラギは「腕がなるね」とやる気満々になっている。まずは織機と糸車を作ってしまうと言い残し作業場へ戻って行った。

 ぞろぞろと大人数で川へ向かい、途中で水路建設チームと別れる。数日ここには来ていなかったが、かなりハイペースで建設が進んでいるようで驚いた。それを言葉に出せば、スイレンとお父様は揃って自慢気に胸を張る。
 そして川へと到着すると、川岸も道中もほぼ緑の絨毯に覆われ、今ではクローバー以外の雑草も生えていた。ヒーズル王国は日々刻一刻と豊かな大地へと変貌を遂げているようだ。

 川岸で一度みんなから離れ、仕掛け網を持って川へと向かう。靴を脱ぎ裸足で水の中に入れば、日本で水遊びをした記憶が甦る。水中は思ったよりも石や岩が多く、魚が隠れそうなポイントはたくさんあった。しばらく採取していないクレソンは広範囲に広がり、水中にもいくらか別の水草を確認できた。
 仕掛け網の開口部の網の片側を川岸のクレソンの群生地に設置し、服が濡れるのも構わず仕掛け網の中に大きめの石を入れ流されないように固定する。もう片方の開口部の網は紐で括り、一度川から上がる。

   イチビたちの粘土採取を手伝い時間を潰すことにしたが、この場所は思った以上に粘土が豊富らしく、また岩盤から逸れているようで露天掘りのように地下へ地下へと深く掘り進めていた。私もバケツのような物に粘土を詰め荷車に載せることを繰り返し、荷車がいっぱいになったところでイチビたちに協力をお願いした。

「川底は滑るから気を付けてね。この網の部分を持って、あの仕掛けに入るように生き物を誘導する感じよ」

 そうまで説明して気付いたが、開口部の網を大きく作った為に三人では少し人手が足りないのだ。なので急きょ水路の向こう側で樹皮を煮ている者たちに声をかける。手の空いていた数名が駆け付けてくれ手伝ってくれることになった。先程と同じ説明をし、さらに付け加える。

「みんなには見慣れない生き物だろうけれど、驚かず怯えずにいてね。あと網の隙間から逃げないように足の親指に網を引っ掛けましょう」

 もし魚がいたとすれば、川底と網の隙間を縫って逃げる可能性がある。それを防止しようとの思いだ。
 私自身初めての作業であり、民たちは川に入ったこともない者がほとんどであろうに、水深が浅いおかげか皆好奇心が勝り、「冷たい!」と騒ぎながらも川に入ってくれる。そして片足の親指に網を引っ掛け、すり足のような感じで仕掛け網から離れた場所から大きく網を広げ、少しずつ仕掛け部分に向かう。
   網の一番端を持っていたイチビだけ陸に上がるように言い、私たちは少しずつ移動する。水中を注意深く見てみれば魚影の姿が確認出来た。最初はそっと移動していた私たちだが、仕掛けが近付くにつれ水面を叩いて仕掛けに入るように追い立てる。仕掛け部分に一番近いイチビは「動くものが入りました!」と大きく声を上げる。それを合図に一気に仕掛け網まで移動した。魚たちは私たちから逃れようと仕掛け網に入るが、もんどりのおかげで出て来れなくなっている。
   大人たちの力を借りて仕掛け網を引き上げれば、中には大小様々な魚が入っている。明らかに小さなものや食べられないものは逃し、オッヒョイの樹皮を入れてきた樽を借りて生け簀のようにする。

 漁を手伝ってくれた者たちは化物でも見るかのような目をして魚を見るが、やはり気にはなるようで恐る恐るといった感じで近付いて来る。私は気にせず樽の中に魚を入れていくが、ウグイやアブラハヤと思われる美味しくなさそうな魚などは放流する。当然コイも放流する。 天敵もおらず魚たちはスレていなかったのか、驚くべきことにイワナやヤマメ、アユ、そしてニジマスのような魚がそこそこの数を獲ることが出来た。ニジマスはかなり大きく、切り分ければ民たちに行き渡ることだろう。エビやカニもそれなりに網に入っており、私はホクホクとした気分になりながらイチビたちと広場へ戻ることにした。

 その日の夕食はこれまでで一番豪華だった。イワナ、ヤマメ、アユは口から木の枝を刺し塩焼きにした。エビとカニはたくさんの野菜と煮込み出汁の効いたスープにし、ニジマスはハコベさんから聞いたオススメの香草を使った蒸し焼きにした。塩コショウをたっぷりとし、数種類の香草を使ったおかげで臭みが抜け、逆に香草の香りが移り食欲のそそる香りがする。それに収穫したばかりのリーモンを絞りみんなに配った。
 あんなに不気味だ気持ち悪いだと言っていた民たちだったが、一口食べると美味しさにノックダウンしたようである。出汁の効いたスープにもだ。

 みんな食わず嫌いをせずに貴重なタンパク源を摂取できて良かったわ。
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