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独楽遊び
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まずは廃材を手に入れようと思い、ブルーノさんに聞くと外にあるから好きなだけ使っても良いと言う。売り物にするのでお金を払うと言っても、ブルーノさんはいつものように首を横に振り頑なにお金を受け取ろうとしない。何回かの押し問答の後やはり今回も根負けしてしまい、素直に廃材をいただくことになってしまった。
いつもの廃材置き場から様々な大きさの角材等を工房に運び入れ、ノコギリ等の道具をお借りしてある程度の大きさに切ってもらう。その間に黒板とチョークンをお借りし、さらさらと作りたいものを描く。
この町の小さな子どもたちがドングーリコマに夢中になっていると聞いたので、最初に描いたのはひねり独楽だ。コマではなく独楽、ジャパニーズスタイルの独楽を描き、もう一つは投げ独楽を描いた。
美樹の住んでいた地域はお年寄りが多かったので、お年寄りに子どもの頃の遊び道具を聞いた時に仕舞ってあった独楽を出してくれ遊び方を教えてくれたのだ。特におじいちゃんたちは「懐かしい」と美樹そっちのけで夢中になっていたほどだ。
角材を切り終えたじいやたちを呼び、独楽について語る。ひねり独楽は指で回す為に軸がある程度長いこと、地面に当たる先端はほんの少しだけ突出させ、胴の部分の形は各々が好きな形にしても良いと言ってもピンと来ないようで、とりあえず絵の通りに作ってもらうことにした。この作業はイチビとハマスゲに頼む。
そしてもう一つの投げ独楽についてはひねり独楽と基本は同じだが、美樹が得意としていた大人の男性の握りこぶし大かそれ以上の大きさの大ぶりの独楽を作ってもらうことにした。これはじいや、シャガ、オヒシバに頼んだ。
私はというと胴部分がピンと来ないであろうひねり独楽のほうに参加し、ドングリ型や薄い円盤型のものを作っていく。軸と先端部分があれば良いと理解したイチビとハマスゲも、段々と遊び心を活かした独楽を作っていく。
数時間後、私たちの目の前にはたくさんの独楽が出来上がっている。じいやたちは完成を喜んでいるが、やはり私には物足りない部分があった。
「ブルーノさん、塗料って余ってないかしら?」
近くで作業をしていたブルーノさんに声をかけるとどれ位必要なのかを聞かれる。少しで良いと言うと、工房の奥から小皿に塗料を数種類入れて持ってきてくれた。原料が気になり聞いてみると、にかわに顔料を混ぜ合わせていると言っている。赤、白、黒とシンプルな色ではあったが丁寧にお礼を言い、私は筆も借りて元の場所へと戻る。
筆の先を塗料に浸し、日本の独楽のように胴の部分に線を描く。
「みんなも好きなように塗ってみて」
私の手元を真剣に見ていたじいやたちにも筆を渡し、思い思いに線を描いてもらった。みんなの独楽を見ると線の細いもの、太いもの、全て同じ色を使うもの、私のようにカラフルなものとまさに十人十色の独楽が出来上がった。塗料を乾かしている間に一度休憩時間とさせていただき、おやつにアポーの実という日本で言うリンゴのような果物をいただいたが、やはりヒーズル王国のものよりも酸味が強く味が違った。じいやは酸味がある方が好みのようで、あっという間に平らげていた。
「まずは遊んでみましょう!」
塗料が乾いたのを確認しそう言うと、ブルーノさんもお弟子さんも集まってくる。まずはひねり独楽を回してみる。くるくると回る独楽に描かれた模様が美しいと思ってくれたらしく、ブルーノさんたちは「綺麗だね」と見とれていた。
だが私が見せたいのはこの投げ独楽だ。床に傷を付けたくないのでみんなで外に出て、細めの縄をもらい独楽に巻き付けていくとみんなが少年のような顔でワクワクと独楽を見ている。胴の部分にギッチリと巻かれた独楽ごと縄を持ち立ち上がる。そして私は草の生えていない地面へと独楽を投げた。
「よし!成功!」
カレンの体では初めての投げ独楽ではあったが、美樹の時のように独楽は回る。みんなにもやってみるように手渡すが、縄ごと独楽を投げてしまったり勢いがつかずすぐに倒れてしまったりと散々だ。だが一番最初にコツを掴んだのはシャガで、上手く独楽が回ると私以外のみんなに無言のドヤ顔をするとみんなも躍起になってコツを掴もうとしている。
やはりというか、森の民は全員が回すことに成功したが、ブルーノさんたちは苦戦していた。丁寧にコツを教えるとようやく独楽を回すことに成功し、それは少年のように喜んで遊んでくれた。そこで私は口を開く。
「ねぇみんな、売れると思う?」
そう聞けば全員が「間違いない」と太鼓判を押してくれた為、私たちは木箱に独楽を入れて早速広場に売りに行くことにした。ニコライさんを待つ間もコツコツと稼がせてもらうわよ!
いつもの廃材置き場から様々な大きさの角材等を工房に運び入れ、ノコギリ等の道具をお借りしてある程度の大きさに切ってもらう。その間に黒板とチョークンをお借りし、さらさらと作りたいものを描く。
この町の小さな子どもたちがドングーリコマに夢中になっていると聞いたので、最初に描いたのはひねり独楽だ。コマではなく独楽、ジャパニーズスタイルの独楽を描き、もう一つは投げ独楽を描いた。
美樹の住んでいた地域はお年寄りが多かったので、お年寄りに子どもの頃の遊び道具を聞いた時に仕舞ってあった独楽を出してくれ遊び方を教えてくれたのだ。特におじいちゃんたちは「懐かしい」と美樹そっちのけで夢中になっていたほどだ。
角材を切り終えたじいやたちを呼び、独楽について語る。ひねり独楽は指で回す為に軸がある程度長いこと、地面に当たる先端はほんの少しだけ突出させ、胴の部分の形は各々が好きな形にしても良いと言ってもピンと来ないようで、とりあえず絵の通りに作ってもらうことにした。この作業はイチビとハマスゲに頼む。
そしてもう一つの投げ独楽についてはひねり独楽と基本は同じだが、美樹が得意としていた大人の男性の握りこぶし大かそれ以上の大きさの大ぶりの独楽を作ってもらうことにした。これはじいや、シャガ、オヒシバに頼んだ。
私はというと胴部分がピンと来ないであろうひねり独楽のほうに参加し、ドングリ型や薄い円盤型のものを作っていく。軸と先端部分があれば良いと理解したイチビとハマスゲも、段々と遊び心を活かした独楽を作っていく。
数時間後、私たちの目の前にはたくさんの独楽が出来上がっている。じいやたちは完成を喜んでいるが、やはり私には物足りない部分があった。
「ブルーノさん、塗料って余ってないかしら?」
近くで作業をしていたブルーノさんに声をかけるとどれ位必要なのかを聞かれる。少しで良いと言うと、工房の奥から小皿に塗料を数種類入れて持ってきてくれた。原料が気になり聞いてみると、にかわに顔料を混ぜ合わせていると言っている。赤、白、黒とシンプルな色ではあったが丁寧にお礼を言い、私は筆も借りて元の場所へと戻る。
筆の先を塗料に浸し、日本の独楽のように胴の部分に線を描く。
「みんなも好きなように塗ってみて」
私の手元を真剣に見ていたじいやたちにも筆を渡し、思い思いに線を描いてもらった。みんなの独楽を見ると線の細いもの、太いもの、全て同じ色を使うもの、私のようにカラフルなものとまさに十人十色の独楽が出来上がった。塗料を乾かしている間に一度休憩時間とさせていただき、おやつにアポーの実という日本で言うリンゴのような果物をいただいたが、やはりヒーズル王国のものよりも酸味が強く味が違った。じいやは酸味がある方が好みのようで、あっという間に平らげていた。
「まずは遊んでみましょう!」
塗料が乾いたのを確認しそう言うと、ブルーノさんもお弟子さんも集まってくる。まずはひねり独楽を回してみる。くるくると回る独楽に描かれた模様が美しいと思ってくれたらしく、ブルーノさんたちは「綺麗だね」と見とれていた。
だが私が見せたいのはこの投げ独楽だ。床に傷を付けたくないのでみんなで外に出て、細めの縄をもらい独楽に巻き付けていくとみんなが少年のような顔でワクワクと独楽を見ている。胴の部分にギッチリと巻かれた独楽ごと縄を持ち立ち上がる。そして私は草の生えていない地面へと独楽を投げた。
「よし!成功!」
カレンの体では初めての投げ独楽ではあったが、美樹の時のように独楽は回る。みんなにもやってみるように手渡すが、縄ごと独楽を投げてしまったり勢いがつかずすぐに倒れてしまったりと散々だ。だが一番最初にコツを掴んだのはシャガで、上手く独楽が回ると私以外のみんなに無言のドヤ顔をするとみんなも躍起になってコツを掴もうとしている。
やはりというか、森の民は全員が回すことに成功したが、ブルーノさんたちは苦戦していた。丁寧にコツを教えるとようやく独楽を回すことに成功し、それは少年のように喜んで遊んでくれた。そこで私は口を開く。
「ねぇみんな、売れると思う?」
そう聞けば全員が「間違いない」と太鼓判を押してくれた為、私たちは木箱に独楽を入れて早速広場に売りに行くことにした。ニコライさんを待つ間もコツコツと稼がせてもらうわよ!
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