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さすがカーラさん
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クジャはリバーシの製作を頼むとようやく他の娯楽の品にも目を向け始める。多分、すごく好奇心旺盛なのだと思うのだけれど、子どもたちの輪に突撃し「やって見せてくれ」だの「貸してくれ」と話しかけ、あっという間に子どもたちと打ち解け遊んでいる。クジャが動く度にモズさんはハラハラとしている様子だった。そんなモズさんを見たじいやは「分かります」と同意していたのはどういう意味かしら?
「我が国での靴ではやれることが限られるのう」
一通り遊んだクジャは足元を見てそう言う。リーンウン国では木をくり抜いた木の靴のようで、歩く分には問題ないが飛んだり跳ねたりすると爪先が痛いと言う。なのでクジャは裸足になって遊ぼうとしていたが、モズさんに全力で止められていた。それを見て空気を読んだペーターさんが声をかける。
「そろそろ店などを見てみないか?」
すると好奇心旺盛なクジャは反応し、モズさんはほっと胸を撫で下ろしている。私も苦笑いになりながらも「あっちよ」と誘導すると、クジャは子犬がおもちゃを見つけたかのように小走りで着いてきてくれた。
進行方向には数軒のお店が並んでいるが、ハーザルの街から来たのなら見応えはないはずなのに、クジャは自ら自己紹介をし売り物を見て質問したりしている。店主もまさかの人物に驚きながらも喜んで説明をしたりしている。こういう人の心をガッチリ掴む部分は姫らしく、見習いたいと思ってしまう。
「早くうちの店にも来ておくれよ!」
驚きその声の主が誰かも分かってはいるが、一応声の主を確認すると隣の店のカーラさんが手を振っている。クジャもその元気いっぱいなカーラさんを見て笑い、そのままカーラさんの店へと移動した。
「随分と元気の良いご婦人だな」
クジャは笑いながら握手を求める。さっきまで騒いでいたカーラさんはクジャに見惚れて静かになってしまった。ペーターさんが「もう知ってると思うがリーンウン国の姫だ」と紹介すると、カーラさんは驚くべきことを言った。
「……あぁ……ご両親のどちらにも似ておいでですね」
この発言にみんなが驚く。
「なぜカーラが知っている?」
「そなた父上と母上を見たことがあるのか?」
ペーターさんが驚いて質問をすると、続けてクジャも質問をする。するとカーラさんは頬を赤らめもじもじとしながら話し始めた。
「あたしにだってうら若き頃があったんだよ。……新婚旅行でリーンウン国に行ったんだよ。今よりも行き来しやすい時代だったからねぇ。何も知らずに行ったら、まだ王子だった今の王様の御成婚祭をやっていてね。あたしの前をゆっくりと進んで行ったから顔を覚えてるんだよ」
あたしは子どもがいないけどねと笑うカーラさんをクジャは優しく抱き締める。
「我が国以外の者で成婚祭を見た者は少ないはずだ。とても嬉しく思う」
クジャは本当に嬉しそうにカーラさんに話しかけている。
「数日滞在していたんだけどね、あの食べ物にかける、何ていったかねぇ……黒い塩気のある液体と茶色い汁物が美味しくて」
それを聞いたクジャは嬉しそうに顔を綻ばせる。
「それはセウユとミィソだな。ハーザルの街には少しばかり売ってはいるが」
あえて闇市と言わず、むしろ闇市なんて感じさせないようにクジャは言うけれど、それを聞いたカーラさんの目が輝く。
「あぁ、是非ともウチとも取り引きしてもらえないでしょうかねぇ。他にもリーンウン国の物があれば嬉しいんですけど……特にリーンウン国製の薬なんて有名ですし……あぁ、ワガママで失礼なお願いでしたね……」
と、今度はヨヨヨと泣き真似をする。クジャは焦り「そんなことはない」となだめた後、少しだけ考え口を開いた。
「……ペーター殿、スネックの肉はどれほど捕れるのだろうか?」
これには驚いた。さっき食べたスネック料理をどれだけ気に入ったのだろうか?ペーターさんも同じことを思ったのか驚いた表情をしつつも返答する。
「群れでいるから、一匹を見つければ一気にそれなりに捕れるが……」
クジャはさらに繁殖の頻度や生態について詳しく聞いている。このスネックはメスだけでも繁殖することが出来るらしく、一度に産む卵の数も多いとのことだった。それを聞いたクジャが笑顔で頷いた。
「では一度父上に話してみよう。というよりもほぼ決定じゃな。定期的にこの町に物を運ぶとしよう。日にちを決めようではないか。こちらもその日にスネックをいただこう」
クジャとモズさんとカーラさんが話している間にペーターさんに聞いたところ、あのスネックは毒がないので放っているせいでとにかく大量にいるとのことだった。そして生息するのに適した沼地がこの付近には多いので、絶滅するようなことにはならないようだ。
そして何よりもリーンウン国の作る薬というのは日本で言う『漢方薬』のような物らしく、とても良く効くが非常に珍しく王都や市場くらいでしか買えない代物らしい。
「……私よりもカーラが町長になるべきか?あの薬が簡単に手に入るなどあり得んことだぞ」
とペーターさんはとても複雑そうな顔をしてカーラさんたちを見ていた。
「我が国での靴ではやれることが限られるのう」
一通り遊んだクジャは足元を見てそう言う。リーンウン国では木をくり抜いた木の靴のようで、歩く分には問題ないが飛んだり跳ねたりすると爪先が痛いと言う。なのでクジャは裸足になって遊ぼうとしていたが、モズさんに全力で止められていた。それを見て空気を読んだペーターさんが声をかける。
「そろそろ店などを見てみないか?」
すると好奇心旺盛なクジャは反応し、モズさんはほっと胸を撫で下ろしている。私も苦笑いになりながらも「あっちよ」と誘導すると、クジャは子犬がおもちゃを見つけたかのように小走りで着いてきてくれた。
進行方向には数軒のお店が並んでいるが、ハーザルの街から来たのなら見応えはないはずなのに、クジャは自ら自己紹介をし売り物を見て質問したりしている。店主もまさかの人物に驚きながらも喜んで説明をしたりしている。こういう人の心をガッチリ掴む部分は姫らしく、見習いたいと思ってしまう。
「早くうちの店にも来ておくれよ!」
驚きその声の主が誰かも分かってはいるが、一応声の主を確認すると隣の店のカーラさんが手を振っている。クジャもその元気いっぱいなカーラさんを見て笑い、そのままカーラさんの店へと移動した。
「随分と元気の良いご婦人だな」
クジャは笑いながら握手を求める。さっきまで騒いでいたカーラさんはクジャに見惚れて静かになってしまった。ペーターさんが「もう知ってると思うがリーンウン国の姫だ」と紹介すると、カーラさんは驚くべきことを言った。
「……あぁ……ご両親のどちらにも似ておいでですね」
この発言にみんなが驚く。
「なぜカーラが知っている?」
「そなた父上と母上を見たことがあるのか?」
ペーターさんが驚いて質問をすると、続けてクジャも質問をする。するとカーラさんは頬を赤らめもじもじとしながら話し始めた。
「あたしにだってうら若き頃があったんだよ。……新婚旅行でリーンウン国に行ったんだよ。今よりも行き来しやすい時代だったからねぇ。何も知らずに行ったら、まだ王子だった今の王様の御成婚祭をやっていてね。あたしの前をゆっくりと進んで行ったから顔を覚えてるんだよ」
あたしは子どもがいないけどねと笑うカーラさんをクジャは優しく抱き締める。
「我が国以外の者で成婚祭を見た者は少ないはずだ。とても嬉しく思う」
クジャは本当に嬉しそうにカーラさんに話しかけている。
「数日滞在していたんだけどね、あの食べ物にかける、何ていったかねぇ……黒い塩気のある液体と茶色い汁物が美味しくて」
それを聞いたクジャは嬉しそうに顔を綻ばせる。
「それはセウユとミィソだな。ハーザルの街には少しばかり売ってはいるが」
あえて闇市と言わず、むしろ闇市なんて感じさせないようにクジャは言うけれど、それを聞いたカーラさんの目が輝く。
「あぁ、是非ともウチとも取り引きしてもらえないでしょうかねぇ。他にもリーンウン国の物があれば嬉しいんですけど……特にリーンウン国製の薬なんて有名ですし……あぁ、ワガママで失礼なお願いでしたね……」
と、今度はヨヨヨと泣き真似をする。クジャは焦り「そんなことはない」となだめた後、少しだけ考え口を開いた。
「……ペーター殿、スネックの肉はどれほど捕れるのだろうか?」
これには驚いた。さっき食べたスネック料理をどれだけ気に入ったのだろうか?ペーターさんも同じことを思ったのか驚いた表情をしつつも返答する。
「群れでいるから、一匹を見つければ一気にそれなりに捕れるが……」
クジャはさらに繁殖の頻度や生態について詳しく聞いている。このスネックはメスだけでも繁殖することが出来るらしく、一度に産む卵の数も多いとのことだった。それを聞いたクジャが笑顔で頷いた。
「では一度父上に話してみよう。というよりもほぼ決定じゃな。定期的にこの町に物を運ぶとしよう。日にちを決めようではないか。こちらもその日にスネックをいただこう」
クジャとモズさんとカーラさんが話している間にペーターさんに聞いたところ、あのスネックは毒がないので放っているせいでとにかく大量にいるとのことだった。そして生息するのに適した沼地がこの付近には多いので、絶滅するようなことにはならないようだ。
そして何よりもリーンウン国の作る薬というのは日本で言う『漢方薬』のような物らしく、とても良く効くが非常に珍しく王都や市場くらいでしか買えない代物らしい。
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とペーターさんはとても複雑そうな顔をしてカーラさんたちを見ていた。
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