120 / 370
カレンの冒険〜川の中〜
しおりを挟む
改めて対岸を見ると結構な川幅なので無事に着けるのかと思ってしまう。いや、王国の未来の為になるかもしれないので着かなければいけないのだ。
「イチビ、まず手前の中州を目指すわよ。滑らないように気を付けましょう」
すっかり忘れていたイチビの脱いだ服をタッケが入っている麻袋にしまう。そして川の中を進んで行く。手前の中州までかなり川は浅く、滑らないように気を付ければ難なく到着することが出来た。続いてこの中州の直線上にある二つ目の中州へと進む。出発した川岸地点から一つ目の中州まではだいたい足首ほどの水量だったが、二つ目まではふくらはぎを超えるくらいの水深だ。
「イチビ、大丈夫!?」
「はい!問題ありません!」
お互いに声を掛け合いながらゆっくりと進み、無事に二つ目の中州に到着する。このまま順調に三つ目の中州にと思い川を確認すると、ちょうど川の真ん中部分にあたる二つ目と三つ目の中州の間の水の色が違う。あそこは足がつかないくらい深いのだろう。
「ねぇイチビ、あそこの水の色が違うでしょう?多分あそこは足がつかないわ。このまま少し上流に向かって歩いてから、流されるように泳いであの中州に行きましょう。足がつかなくても冷静にね」
「……!はい!分かりました!」
私たちは向きを変え上流に向かって慎重に歩く。この辺は川岸に比べ流れも速いうえに私の膝を超える水量だ。危険なのは分かっているがかなり慎重に亀の歩みで少しずつ上流に向かう。この無駄に長いタッケさえなく一人であれば構わず泳ぐがそうもいかない。どうにか歩を進め、川遊びの頃の経験を思い出しながら程よい場所で足を止める。
「まず先に私が行くわ。ここからあの中州を目指せば流れに乗ってイチビでも着くはずよ。ただ川底を見ると潜在的な恐怖に襲われるかもしれないわ。それでも冷静に力を抜いて小刻みに足を動かしてね」
頷くイチビをその場に残し水中に体を入れる。うっかり得意だったクロールをしそうになったがイチビにはバタ足しか教えていない。変な動きをして混乱させないように私もバタ足で進む。一番深い場所を横切る時にあえて水中を観察する。透明度が高いおかげで見通しが良く、川底に枯れ木と思われる横たわったものを見つけた。魚礁になっているのか魚の姿もたくさん見える。木は水の中にあれば腐らないと聞く。昔はこの辺りも緑溢れる場所だったのかもしれない。
そんなことを考えているうちに中州の手前まで進んでいた。この辺はもう足がつくので立って振り返る。
「イチビー!この辺は足がつくわ!深い場所には大きな枯れ木があったわよ!魚もたくさん!」
あえて先に情報を伝えて驚かないようにしようと叫ぶ。イチビは怯える様子もなく大きく息を吸い込み水中へと入った。ここまで巻き込んでしまって、万が一イチビが……と思うと祈らずにはいられない。両手を胸の前で組みイチビの動きを見ていた。途中イチビの動きが止まり、驚いて名前を叫ぶとバタ足を始めて無事にこちらに着いた。
「イチビ!大丈夫!?」
「はい、問題ありません。川底にあった木を見て、この土地にも木があったんだなと思ったら泳ぎ忘れていました」
イチビに駆け寄り心配すると笑顔でイチビは答えた。私と同じようなことを思い、そして見入ってしまったようだ。バタ足で泳ぐことに関してはもう大丈夫そうではある。ホッと一安心し先に進むことにした。途中に中州があるがわざわざ寄らなくても大丈夫そうな水深であったので、ゆっくりと慎重に歩きついに私たちは未踏の地に到着した。振り向いて向こうを見るとシャガたちが大きく手を振っているのが見えた。こちらも手を振り返し、そしてこの上の大地に進む方法を考える。
向こうからは崖のようにも見えたが、いざ近くで見るとかなり急な岩場の斜面になっており、その一部からは水が滲んでいるようだ。
「もしかしたらあちらよりも水が豊富なのかもしれませんね」
イチビも私と同じことを思ったのかその斜面を見て呟いた。
どこか登りやすい場所はないかと行ったり来たりしていると、他よりも緩やかになっている場所を見つけた。その斜面はデコボコとしていたので、それを足掛かりにして進めば問題なく上に着きそうである。ロッククライミングと比べたら全然ラクだ。
「じゃあ行きましょう」
どちらが先に登るかで話し合ったが、そこまで危険はないと判断して私が先に登ることになった。万が一落ちたらイチビが受け止めると言ってくれる。それだけで安心感が増す。
河川敷の少し急な土手を登るようなイメージで一歩ずつ進む。そして最上段に手をかけ顔をその位置まで移動させた。
「わぁ……」
ようやく私は誰も見たことのない場所に到着した。
「イチビ、まず手前の中州を目指すわよ。滑らないように気を付けましょう」
すっかり忘れていたイチビの脱いだ服をタッケが入っている麻袋にしまう。そして川の中を進んで行く。手前の中州までかなり川は浅く、滑らないように気を付ければ難なく到着することが出来た。続いてこの中州の直線上にある二つ目の中州へと進む。出発した川岸地点から一つ目の中州まではだいたい足首ほどの水量だったが、二つ目まではふくらはぎを超えるくらいの水深だ。
「イチビ、大丈夫!?」
「はい!問題ありません!」
お互いに声を掛け合いながらゆっくりと進み、無事に二つ目の中州に到着する。このまま順調に三つ目の中州にと思い川を確認すると、ちょうど川の真ん中部分にあたる二つ目と三つ目の中州の間の水の色が違う。あそこは足がつかないくらい深いのだろう。
「ねぇイチビ、あそこの水の色が違うでしょう?多分あそこは足がつかないわ。このまま少し上流に向かって歩いてから、流されるように泳いであの中州に行きましょう。足がつかなくても冷静にね」
「……!はい!分かりました!」
私たちは向きを変え上流に向かって慎重に歩く。この辺は川岸に比べ流れも速いうえに私の膝を超える水量だ。危険なのは分かっているがかなり慎重に亀の歩みで少しずつ上流に向かう。この無駄に長いタッケさえなく一人であれば構わず泳ぐがそうもいかない。どうにか歩を進め、川遊びの頃の経験を思い出しながら程よい場所で足を止める。
「まず先に私が行くわ。ここからあの中州を目指せば流れに乗ってイチビでも着くはずよ。ただ川底を見ると潜在的な恐怖に襲われるかもしれないわ。それでも冷静に力を抜いて小刻みに足を動かしてね」
頷くイチビをその場に残し水中に体を入れる。うっかり得意だったクロールをしそうになったがイチビにはバタ足しか教えていない。変な動きをして混乱させないように私もバタ足で進む。一番深い場所を横切る時にあえて水中を観察する。透明度が高いおかげで見通しが良く、川底に枯れ木と思われる横たわったものを見つけた。魚礁になっているのか魚の姿もたくさん見える。木は水の中にあれば腐らないと聞く。昔はこの辺りも緑溢れる場所だったのかもしれない。
そんなことを考えているうちに中州の手前まで進んでいた。この辺はもう足がつくので立って振り返る。
「イチビー!この辺は足がつくわ!深い場所には大きな枯れ木があったわよ!魚もたくさん!」
あえて先に情報を伝えて驚かないようにしようと叫ぶ。イチビは怯える様子もなく大きく息を吸い込み水中へと入った。ここまで巻き込んでしまって、万が一イチビが……と思うと祈らずにはいられない。両手を胸の前で組みイチビの動きを見ていた。途中イチビの動きが止まり、驚いて名前を叫ぶとバタ足を始めて無事にこちらに着いた。
「イチビ!大丈夫!?」
「はい、問題ありません。川底にあった木を見て、この土地にも木があったんだなと思ったら泳ぎ忘れていました」
イチビに駆け寄り心配すると笑顔でイチビは答えた。私と同じようなことを思い、そして見入ってしまったようだ。バタ足で泳ぐことに関してはもう大丈夫そうではある。ホッと一安心し先に進むことにした。途中に中州があるがわざわざ寄らなくても大丈夫そうな水深であったので、ゆっくりと慎重に歩きついに私たちは未踏の地に到着した。振り向いて向こうを見るとシャガたちが大きく手を振っているのが見えた。こちらも手を振り返し、そしてこの上の大地に進む方法を考える。
向こうからは崖のようにも見えたが、いざ近くで見るとかなり急な岩場の斜面になっており、その一部からは水が滲んでいるようだ。
「もしかしたらあちらよりも水が豊富なのかもしれませんね」
イチビも私と同じことを思ったのかその斜面を見て呟いた。
どこか登りやすい場所はないかと行ったり来たりしていると、他よりも緩やかになっている場所を見つけた。その斜面はデコボコとしていたので、それを足掛かりにして進めば問題なく上に着きそうである。ロッククライミングと比べたら全然ラクだ。
「じゃあ行きましょう」
どちらが先に登るかで話し合ったが、そこまで危険はないと判断して私が先に登ることになった。万が一落ちたらイチビが受け止めると言ってくれる。それだけで安心感が増す。
河川敷の少し急な土手を登るようなイメージで一歩ずつ進む。そして最上段に手をかけ顔をその位置まで移動させた。
「わぁ……」
ようやく私は誰も見たことのない場所に到着した。
66
あなたにおすすめの小説
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる