貧乏育ちの私が転生したらお姫様になっていましたが、貧乏王国だったのでスローライフをしながらお金を稼ぐべく姫が自らキリキリ働きます!

Levi

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タッケの伐採

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 前回と同様に一つ目の中洲までは難なく歩いて行く。二つ目の中洲まではふくらはぎほどの水深があるが、泳ぐほどではないので足を踏ん張りながらゆっくり慎重に進む。全員が中洲に到着したのを確認し口を開く。

「ここが難所よ。あの三つ目の中洲まではとても川が深いの。だから少し上流に進んでから三つ目に向かうわ。みんな水の流れに足を取られないようにね」

 そうして水の流れに逆らいながら上流側へ進む。感覚的にこの位置からであれば簡単に泳ぎ着けそうな場所から身体の下に板を入れて泳いだ。元々泳げる私は問題なく三つ目の中洲に到着し、立ち上がって大声を出す。

「みんなー! 気を付けてねー!」

 すると私の声がちゃんと届かなかったのか、それとも何かを勘違いしたのか全員が一斉に泳ぎ出してしまったのだ。その行為自体には問題はないのだが、今立っている場所から泳いでしまった為に私が泳ぎ始めた位置よりも少し下流なのだ。イチビとシャガはまずここに到達するだろうが、ハマスゲとじいやは大丈夫だろうか?
 ハラハラしながら見守っているとイチビとシャガは余裕の笑顔で中洲へと上がって来る。ハマスゲは泳ぎ始めた場所が悪いせいで若干不安要素があったがなんとか中洲へと到達した。だが問題はじいやだった。初めての川、そして初めての水泳、さらに泳ぎだす場所が悪かったのもあり、タイミングを逃してからバタ足を始めたので下流に向かって泳ぐ形となった。そのせいでスピードは増し流されてしまっている。あっという間に中洲よりも下流に向かってしまった。

「じいやー!」

 私が叫ぶとじいやは驚異的な身体能力で流されながらも身体をこちらに向けた。

「ぬおぉぉぉぉ!」

 川の中からじいやの雄叫びが聞こえ、じいやは川の流れに逆らっている。私たち中洲にいる者はどうしようかと頭を抱えたが、本能的に泳ぎ方を編み出したのかただの偶然なのかは分からないが、じいやはバタ足だけだったのを手も使いクロールのように泳ぎだした。

「……え?」

 流されて行っていたはずのじいやがこちらに進んで来る。コツも掴み始めたのかそのスピードが上がる。ロープを投げて助けなければと思うのだが、じいやの気迫にたじろぎ身体が動かない。そしてパニックに陥った私たちはなぜかじいやを応援し始めてしまった。

「頑張ってじいや!」

「ベンジャミン様! こちらです!」

 応援が聞こえたらしいじいやのスピードがさらに上がり、ついにじいやは川の流れに打ち勝ったのだ。中洲へと上がって来たじいやは軽く息を切らしている程度で済んでいる。本当にじいやの身体能力は常軌を逸していると改めて思った。

 この中洲から向こう岸までは浅瀬が続いているので滑らないように注意をしながら進み、私たちは無事に到着した。地面に板子を置きわらじを履き、私たちはタッケを植えた場所を目指す。前回同様に緩い斜面をロッククライミングの要領で登るとあの赤い砂が広がる地面は見事なまでの竹林となっていた。

「いやぁ本当にあちら側に植えなくて正解でしたな」

 タッケのあまりの成長と繁殖ぶりにじいやが苦笑いでそう呟く。

「本当にそうよね。……じゃあ切っていきましょうか。斜面ならやりやすいのだけれど、ここは平坦だから少し骨が折れるかもしれないわね」

 今回私が欲しいのは太いタッケだが、数種類が生えているこの場所で特定のタッケだけを切ると他が繁殖し過ぎてしまいそうなので太いタッケを中心に全種類を切ることとなった。
 一人がタッケを支え、もう一人が根元をノコギリで切る。みんなが力持ちなので作業は捗ることだろう。倒す方向は同じ方向にして向きを揃え、私は離れた場所から指示を出す。一旦切るだけ切ってから長すぎるものは適度な長さに切り揃えた。もちろんこの間に枝も切り落とす。

「ふぅ。こんなものですかね? では下へ運びましょうか」

 額の汗を拭いながらそう提案してくれたシャガを止める。

「待って。私の好物の食べ物を採ってからよ」

 その言葉にみんなが「え!?」と聞き返す。鍬があれば良いのだが、川を渡るのに邪魔になるので小さな道具しか持って来ていない。けれどここには力技でどうにかしてくれる人ばかりが揃っているのでそこは気にしない。まだ地面は土ではなく砂なので足で砂を払うとタケノコの先端が見える。小さなシャベルを持ちそのタケノコを露出させ、じいやたちに鎌でもノコギリでもいいのでこれを採ってほしいと伝え、いくつかのタケノコたちを私は探し続けた。

「これは食べられるのですか?」

 森の民がいた場所にはタッケがなかったようなので馴染みがないのだろう。シャガの質問に答える。

「絶対に癖になるから騙されたと思って食べてみて。私たちはタケノコと呼んでいたけれど、この世界でいうなら『タッケノコ』かしら」

 笑いながらそう言うとみんなもやる気に満ち溢れ必死にタケノコを採取する。知らないものは口にしないという森の民だったが、私が紹介するものにハズレがなかったからか民たちも新たな食べ物に対して貪欲になってくれている。果たしてこのタケノコも気に入ってくれるだろうか? 夕食が楽しみである。
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