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イカダ
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今回の目的はタッケの伐採であったが、個人的に必ずタケノコを持ち帰ろうと思っていた私は服の中に忍ばせておいた麻袋を取り出しタケノコを詰め込んでいく。じいやたちはそんな私を見て呆れを通り越して笑っている。最後の一つを袋に詰めた私は大きな声を発する。
「この土地も冒険したいけれど、今日はこれで帰りましょう。一度下にタッケを降ろしてイカダを作るわよ!」
私の号令でじいやたちはタッケを運び出す。詰め込みすぎて一人で持てなくなってしまったタケノコ入りの麻袋まで下まで運んでくれた。そこでタッケを大体同じ長さに切り、縄で外れないようにきっちりと縛っていく。特に太いタッケは浮力確保の為に下段に数本を等間隔に置き、その上に隙間なくタッケを載せ、最後にその上に載せたタッケと最下段のタッケを縛って固定する。真横から見ると縦、横、縦といった配置だ。さらにイカダの一辺に縄を編み込み引っ張ることも可能にした。
かなりの本数を使って作られたイカダは浮くことは確実なのだが、初めてのイカダ作りをしたじいやたちは興味津々でイカダを見つめている。なので流れがあまりない場所に浮かべてみることにした。大型のイカダなので相当な重さがあるはずなのだが、筋骨隆々としたじいやたちはその重さをものともせず川へと運ぶ。
「まずは浮かべてみましょう。流されないように注意してね」
私の言葉でじいやたちはイカダを水に入れる。お互いに押したり引っ張ったりしながら全体を水の中へと入れるとプカプカとイカダは浮かぶ。
「浮かんだ!」
イカダが水に浮かんだだけでイチビたちは喜び大騒ぎである。
「イチビ、乗ってみたら?というかシャガもハマスゲも同時にどうぞ」
「良いのですか!?」
イチビたちのはしゃぎ方が増す。私とじいやが川へと入り、流されないようにイカダを押さえる。かなり慎重にイチビたちはイカダに足を乗せ、恐る恐るといった感じに立つ。
「おぉ! 味わったことのない感覚だ!」
「水の上に立っている!」
三人が立っても全く沈む気配がない。そのことが余計に三人をはしゃがせ、まるで小さな子どもたちを見ているような微笑ましい気分になる。
「じいやも! ほら!」
じいやにも勧めるとイチビたちはイカダから降りる。そしてじいやもイカダに立つのかと思っていると、意外にも仰向けに寝転がった。
「空が……日の光が気持ち良い……」
プカプカと水に揺られながら日光浴を楽しみ始めたのだ。聞けば森の中に住んでいる時は、上を見上げれば必ず視界に木々が入る。いつかのんびりと空だけを見たいと思っていたそうだ。
「もうじいやったら。じゃあ人工オアシスにも小さなイカダを作って浮かべましょう。いつでものんびりとすれば良いわ」
何でもない私の言葉にじいやは幸せそうに微笑んだ。
「さてそろそろ戻りましょうか。みんな荷物を積んで」
持って来た道具やタケノコを積み込み私たちは全員で川へと入った。しばらく浅瀬が続くので、その間は人力でイカダを移動させる。問題は川の真ん中部分の水深の深い場所だ。ここは泳げる私とイチビが足のつく場所まで泳ぎ、イカダを作る時に編み込んだ縄を引っ張ることにした。大雑把な私は「流されてしまった時はどうにかして」と笑いながら言うと全員に引かれてしまったが。
初めに私が板子代わりに使ったオール用の細長い板をじいやに渡し、川底に対して杖のように使うようにと細長いタッケをシャガとハマスゲに渡してから私とイチビは泳いだ。一番深い場所を通過し、踏ん張れそうな場所に立ち縄を引っ張る。対してじいやはオールを漕ぐようにし、シャガとハマスゲはなるべく上流側に向けてイカダを操作する。私とイチビは岸側に移動しつつ縄を引っ張り続け、じいやたちもまた川の真ん中を通過するように努力してくれた結果、じいやたちは足がつく場所まで到達しみんなで縄を引っ張ってイカダを岸へと近付ける。この辺りでヒイラギたちも川へ入ってくれて手伝ってくれたのでようやく私たちは岸まで戻ることが出来た。
「みんな! おかえりなさい! 僕、何も出来なくてごめんね!」
岸へ上がると今にも泣きそうなスイレンが飛びついてきた。
「心配かけてごめんねスイレン。でも無事に帰って来れたわ」
スイレンの頭を撫でてそう言うとスイレンは口を開く。
「もっと安全に向こうに行けたらいいのに」
「橋をかけたら良いけれど、この川幅だしそれも大変なのよね」
私の一言にスイレンは食いつく。
「ハシ? それがあれば安全に行けるの? どうやって作るの?」
どうやらスイレンの建築魂に火がついたようである。
「……落ち着いてスイレン。ものすごく大変な作業になるしまだ水路は完成していないのよ? 次に家を作らなければいけないし。橋の話はまた今度にしましょう」
苦笑いでスイレンを制すると少し落ち着いたようだ。そこからはみんなでイカダを縛っている縄を外し、ポニーとロバの荷車に積み込んで水路へと向かった。
「この土地も冒険したいけれど、今日はこれで帰りましょう。一度下にタッケを降ろしてイカダを作るわよ!」
私の号令でじいやたちはタッケを運び出す。詰め込みすぎて一人で持てなくなってしまったタケノコ入りの麻袋まで下まで運んでくれた。そこでタッケを大体同じ長さに切り、縄で外れないようにきっちりと縛っていく。特に太いタッケは浮力確保の為に下段に数本を等間隔に置き、その上に隙間なくタッケを載せ、最後にその上に載せたタッケと最下段のタッケを縛って固定する。真横から見ると縦、横、縦といった配置だ。さらにイカダの一辺に縄を編み込み引っ張ることも可能にした。
かなりの本数を使って作られたイカダは浮くことは確実なのだが、初めてのイカダ作りをしたじいやたちは興味津々でイカダを見つめている。なので流れがあまりない場所に浮かべてみることにした。大型のイカダなので相当な重さがあるはずなのだが、筋骨隆々としたじいやたちはその重さをものともせず川へと運ぶ。
「まずは浮かべてみましょう。流されないように注意してね」
私の言葉でじいやたちはイカダを水に入れる。お互いに押したり引っ張ったりしながら全体を水の中へと入れるとプカプカとイカダは浮かぶ。
「浮かんだ!」
イカダが水に浮かんだだけでイチビたちは喜び大騒ぎである。
「イチビ、乗ってみたら?というかシャガもハマスゲも同時にどうぞ」
「良いのですか!?」
イチビたちのはしゃぎ方が増す。私とじいやが川へと入り、流されないようにイカダを押さえる。かなり慎重にイチビたちはイカダに足を乗せ、恐る恐るといった感じに立つ。
「おぉ! 味わったことのない感覚だ!」
「水の上に立っている!」
三人が立っても全く沈む気配がない。そのことが余計に三人をはしゃがせ、まるで小さな子どもたちを見ているような微笑ましい気分になる。
「じいやも! ほら!」
じいやにも勧めるとイチビたちはイカダから降りる。そしてじいやもイカダに立つのかと思っていると、意外にも仰向けに寝転がった。
「空が……日の光が気持ち良い……」
プカプカと水に揺られながら日光浴を楽しみ始めたのだ。聞けば森の中に住んでいる時は、上を見上げれば必ず視界に木々が入る。いつかのんびりと空だけを見たいと思っていたそうだ。
「もうじいやったら。じゃあ人工オアシスにも小さなイカダを作って浮かべましょう。いつでものんびりとすれば良いわ」
何でもない私の言葉にじいやは幸せそうに微笑んだ。
「さてそろそろ戻りましょうか。みんな荷物を積んで」
持って来た道具やタケノコを積み込み私たちは全員で川へと入った。しばらく浅瀬が続くので、その間は人力でイカダを移動させる。問題は川の真ん中部分の水深の深い場所だ。ここは泳げる私とイチビが足のつく場所まで泳ぎ、イカダを作る時に編み込んだ縄を引っ張ることにした。大雑把な私は「流されてしまった時はどうにかして」と笑いながら言うと全員に引かれてしまったが。
初めに私が板子代わりに使ったオール用の細長い板をじいやに渡し、川底に対して杖のように使うようにと細長いタッケをシャガとハマスゲに渡してから私とイチビは泳いだ。一番深い場所を通過し、踏ん張れそうな場所に立ち縄を引っ張る。対してじいやはオールを漕ぐようにし、シャガとハマスゲはなるべく上流側に向けてイカダを操作する。私とイチビは岸側に移動しつつ縄を引っ張り続け、じいやたちもまた川の真ん中を通過するように努力してくれた結果、じいやたちは足がつく場所まで到達しみんなで縄を引っ張ってイカダを岸へと近付ける。この辺りでヒイラギたちも川へ入ってくれて手伝ってくれたのでようやく私たちは岸まで戻ることが出来た。
「みんな! おかえりなさい! 僕、何も出来なくてごめんね!」
岸へ上がると今にも泣きそうなスイレンが飛びついてきた。
「心配かけてごめんねスイレン。でも無事に帰って来れたわ」
スイレンの頭を撫でてそう言うとスイレンは口を開く。
「もっと安全に向こうに行けたらいいのに」
「橋をかけたら良いけれど、この川幅だしそれも大変なのよね」
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「ハシ? それがあれば安全に行けるの? どうやって作るの?」
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