貧乏育ちの私が転生したらお姫様になっていましたが、貧乏王国だったのでスローライフをしながらお金を稼ぐべく姫が自らキリキリ働きます!

Levi

文字の大きさ
200 / 370

脱二日酔い

しおりを挟む
 一夜明け、完全に酒が抜けた大人たちはやる気に満ち溢れている。昨日の遅れを取り戻そうと、朝食すら早食いのように食べキビキビと動き『ホウレンソウ』こと報告・連絡・相談を始める。とは言っても大体いつものメンバーがいつもの作業をするのだが。
 けれどまだオヒシバを完全に許せないらしいタデは住宅の建築から抜け、カッシとナーラの植樹をすると言う。ただ、炭焼きとレンガ焼き場の予定地は草は表面に生えているが、その下はおそらく砂地だろう。ならばまた森を作り始めたときのように木のベッドを作り、カッシとナーラの森を作ろうということになった。そのために人数を多くしてしまうと、昨日やることが出来なかった他の作業に支障が出そうなので最小限の人数で行くべきだということになり、人間重機であるお父様とじいや、そしてなぜか私も行くことになった。
 ポニーとロバも散歩がてら連れて行くことにし、荷車を取り付けいくらかの食糧と丸太や土、若木を積み込む。ちょうど間伐作業に向かう者たちが近くにいたので、もし手が空いたなら精油の作業場と同じものを建ててほしいと伝えた。それは砂糖を作る場にしたいので、とにかく風通しの良い造りにしてほしいと頼んだ。精油もそうだが、あの暑さは体験した者にしか分からないくらい壮絶な暑さなのだ。

 川へと向かう途中、住宅の建築現場の横を通った。作業は順調に進んでいるようで、私たちに気付いたブルーノさんとジェイソンさんがこちらに大きく手を振っている。そもそもジェイソンさんはじいやの側にいたくてこの国に来たのだが、なぜか普通にこの国の作業員として働いている。本人も嫌がるどころか楽しんでいるようなのであえてこちらからもそのことに触れないのだが。
 私たちもブルーノさんたちに向けて手を振ると、ヒイラギやイチビたちが気付き手を振り返してくれるが、オヒシバだけが萎縮してこちらを見ようともしない。そんなオヒシバを見たポニーとロバは、明らかに攻撃をしようと走り出そうとした。かなりの危険を感じたためお父様とじいやの力で止め、早く川へ行こうと立ち去ることにした。

 さらに進むと石管の埋め込み作業の現場に通りかかる。最初に作ったものよりもかなり大きい石管を作っているようで、その分それを埋めるための溝も大きく深く掘られている。スイレンは石管の傾斜を計算したり民たちに指示を出したりと大忙しで、私たちに全く気付く気配がない。下手に声をかけて作業を中断させるのも忍びないので私たちは静かに通過することにした。そのまま進むと先日魚を捕まえた取水口へと到着する。いつもと変わらず雄大に流れる川は、取水口へと勢い良く命の源である水を分け与えてくれている。

「さてどの辺に植えましょうか?」

 私たちは周囲を見回す。取水口の左手、下流側にはヤンナギの木が気まぐれな風に遊ばれゆらゆらと揺れている。植えたときはただの枝だったヤンナギは今では立派な並木を作っている。

「上流側に植えるか」

 タデがおもむろに口を開く。

「そうね、そうしましょう。ただ少し陸地側に植えましょう。あまり川の近くだと取水口に落ちた葉が詰まるかもしれないわ」

 私の意見に賛成してくれた皆と共に移動し、丸太を積み上げ木のベッドを作っていく。隙間には持って来た土を川の水で泥にし、上手く貼り付けていく。

「初めてこれを作った日を思い出すな。こんなもので森が出来るとは、実はあのとき思っていなかったのだ」

 お父様が笑いながら本音を漏らすと、じいやもタデも「本当にそうだ」と賛同する。あのときの皆の表情は困惑していたり、不信感をあらわにしていたのを思い出す。

「私も上手くいかなかったらどうしようかと少しだけ思っていたわよ」

 そう言うと「少しだけか」と三人は笑う。笑い合いながらも手を止めず一定の間隔を開けて木のベッドを作ると、それに立てかけるようにしながら若木たちを植え付けていく。もう水やりは不要なのだが、すぐ近くに豊富に水があるのでなんとなく水かけもしてしまう。

「一度やった作業だけあってもう終わってしまったわね……。少し休憩をしましょうか」

 私たちは地面に座り、持って来た野菜などを口にする。

「そういえばじいやとハーンの木の芽を見つけたのはこの辺りだったわよね。あのときは考えることが多すぎて深く考えることが出来なかったけれど、あの芽はどこから来たのかしら?」

 なんとなく思い出話をしながら疑問を口にする。四人でそのことについて話し合うと「鳥か?」という仮説を立てたが、テックノン王国がダイナマイトを使ってもまだこちらに到達しないということはかなりの距離の山脈があるのではないか、そしてその山からここまではかなりの距離があるので、生物がいないはずのこの国ではそれは難しいのではないかと話が盛り上がる。

「……もしかしたら上流に木が生えていて、種が流されて来た?」

 新たな仮説を立てると「いやいや、まさか」と三人は言うが、明らかにわくわくとした表情に変わっている。男は何歳になっても少年の心を失わないらしい。

「……行ってみる?」

 そんな私も冒険が好きなのだ。試すように行くかと問えば、大人たちは皆笑顔で頷く。ただポニーとロバもいる上に準備は何もしていない。一度戻り装備を整えてから冒険に行くことにした。
しおりを挟む
感想 72

あなたにおすすめの小説

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

処理中です...