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マークさんとの再会
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思いがけず、おかわりなんちゃってサーターアンダギーを作る羽目になってしまったが、これはこれで良い思い出になった。女中たちとの息もピッタリで、連携プレーも見事なものであった。
「ちょっとこの場の人数で食べるには多いかもしれないわね……」
こんもりと山になっているなんちゃってサーターアンダギーを見て呟くが、これは他の者たちにバレてしまったら争いになってしまいそうである。
秘密の共有ということにしてこの場の皆で食べられるだけ食べ、残りは証拠隠滅とばかりにトビ爺さんに持たせると、それはそれはとても喜んでくれた。
「救世主! ありがとよ!」
「救世主よりも、娘っ子と呼んでくれたほうが嬉しいわ」
そう言うとトビ爺さんはまたニカっと笑った。
「娘っ子! ワシは娘っ子を気に入った! 落ち着いたらお転婆と一緒にうちの村に遊びに来いよ!」
「えぇ! ぜひとも! うふふ、楽しみだわ」
そうして私たちは固い握手を交した。
────
お父様とじいやだけにニコライさんを任せていたが、どういう状況になっているのかいろんな意味で心配になり、クジャと共に部屋へと向かったのだが私とクジャは困惑している。
「ガ……ガデンドゥー……!」
なぜか号泣しているニコライさんが発した言葉の意味が分からなかったが、おそらく『カレン嬢』と言っているのだろう。私たちがこっそりと大量のお菓子を食べているうちに、クジャのお父様であるハヤブサさんがこの場に来ていた。
ちなみに私のお父様は「面白い」と呟き、珍獣を見るかのようにニコライさんを観察している。
「カレンさんが来てからのことを説明していたのだが……」
ハヤブサさんも困惑気味に私たちにそう言う。ニコライさんはどうやら話を聞いて感動をしているようなのだが、その気持ちは嬉しくもあり恥ずかしくもあるが、泣き方が尋常ではなく引いてしまう。
「……ニコライよ。顔が汚い」
クジャに至っては引くを通り越して毒舌になっている。それを聞いたお父様は下を向いて笑いをこらえている。
「……失礼します。お連れ様が到着したようです」
未だおいおいと泣くニコライさんをどうしたら良いのか分からず微妙な空気が流れていたが、そこに家臣が現れ一言告げると、その後ろからマークさんが疲れきった様子で現れた。
「遅れてしまい大変申し訳ございません。……ニコライ様、わがままはいけませんとあれ程申しましたでしょう……」
ハヤブサさんがニコライさんの隣の席を手で示すと、マークさんは一礼をし部屋へと入室する。そして静かに椅子に座ると、ニコライさんに諭すように話しかける。
「ば……ばがばばだんで~……」
これは何を言いたいのか分かった。『わがままなんて』と言っているに違いない。それを聞いたマークさんは小さな溜め息を吐いた。
「……ニコライ様、リーンウン国の王家の方たちを心配していたことは、私が誰よりも分かっております」
マークさんは落ち着いたように話し続ける。
「ですから、心配で駆け出したことは何も言いません。ですが、薬は馬車に載ったままなのですよ?」
そこでニコライさんは泣き止み、足元やポケットなどを確認している。お父様はその様子を見てついにくっくと笑い出し、じいやもお父様につられ始めてしまった。
「バもですね、食事や水が必要なのでニコライ様のことは諦め、途中の村々で草や水を恵んでいただきました。先程、ようやく城に近くなったところでとてもお元気なご老人にお会いしたのですが、城からの帰りだとおっしゃっていました。『多分、あんたらのお仲間がわがまま放題だ』と私たちに言い、去って行かれました」
それはトビ爺さんだろう。確かにニコライさんがわがままを言ったが、そのおかげで大量のおやつを食べることが出来た私とクジャは素知らぬ顔をしてマークさんの話を聞いていた。
「城の方でもないご老人が言うほどに、わがままを言ったのでしょう?」
マークさんは無表情のまま、瞬きもせずにニコライさんの顔を凝視している。そんなニコライさんはすっかりと泣き止み、しどろもどろになっている。
「わわわわ私はただ……カレン嬢の手料理が食べたいとだけ……」
「ニコライ様! それがわがままでございますよ!」
さっきまで無表情で淡々と話していたマークさんが真っ赤になって怒鳴ると、ニコライさんはあっちを向いたりこっちを向いたりと言葉通り右往左往している。お父様とじいや、それにハヤブサさんまでもが口元を押さえ笑いをこらえている。
こんなタイミングで、女中がハヤブサさんとマークさんや、お父様たちにおかわりのお茶を持ってくると、挙動不審になっているニコライさんは目の前の皿をそっと持った。
「……マーク、カレン嬢の手作り料理の残りの一個をあげます。とても美味でした。あ……半分にして、ハヤブサ王にも……」
無理やりなんちゃってサーターアンダギーを手で割ると、半分をマークさんへ、残りの半分をハヤブサさんへと渡そうとしている。
「ニコライ! 貴様父上を愚弄しておるのか!?」
笑いをこらえるのに必死だった私たちヒーズル王国勢は、クジャのその怒号についに我慢しきれず笑い出した。
そして追い打ちをかけるようにマークさんも「そういうところです! 失礼ですよ!?」と叫ぶと、まだ少し体調の悪かったハヤブサさんまでもが大声で涙を流しながら笑い出したのだった。リーンウン国のハヤブサ王、完全復活のようである。
「ちょっとこの場の人数で食べるには多いかもしれないわね……」
こんもりと山になっているなんちゃってサーターアンダギーを見て呟くが、これは他の者たちにバレてしまったら争いになってしまいそうである。
秘密の共有ということにしてこの場の皆で食べられるだけ食べ、残りは証拠隠滅とばかりにトビ爺さんに持たせると、それはそれはとても喜んでくれた。
「救世主! ありがとよ!」
「救世主よりも、娘っ子と呼んでくれたほうが嬉しいわ」
そう言うとトビ爺さんはまたニカっと笑った。
「娘っ子! ワシは娘っ子を気に入った! 落ち着いたらお転婆と一緒にうちの村に遊びに来いよ!」
「えぇ! ぜひとも! うふふ、楽しみだわ」
そうして私たちは固い握手を交した。
────
お父様とじいやだけにニコライさんを任せていたが、どういう状況になっているのかいろんな意味で心配になり、クジャと共に部屋へと向かったのだが私とクジャは困惑している。
「ガ……ガデンドゥー……!」
なぜか号泣しているニコライさんが発した言葉の意味が分からなかったが、おそらく『カレン嬢』と言っているのだろう。私たちがこっそりと大量のお菓子を食べているうちに、クジャのお父様であるハヤブサさんがこの場に来ていた。
ちなみに私のお父様は「面白い」と呟き、珍獣を見るかのようにニコライさんを観察している。
「カレンさんが来てからのことを説明していたのだが……」
ハヤブサさんも困惑気味に私たちにそう言う。ニコライさんはどうやら話を聞いて感動をしているようなのだが、その気持ちは嬉しくもあり恥ずかしくもあるが、泣き方が尋常ではなく引いてしまう。
「……ニコライよ。顔が汚い」
クジャに至っては引くを通り越して毒舌になっている。それを聞いたお父様は下を向いて笑いをこらえている。
「……失礼します。お連れ様が到着したようです」
未だおいおいと泣くニコライさんをどうしたら良いのか分からず微妙な空気が流れていたが、そこに家臣が現れ一言告げると、その後ろからマークさんが疲れきった様子で現れた。
「遅れてしまい大変申し訳ございません。……ニコライ様、わがままはいけませんとあれ程申しましたでしょう……」
ハヤブサさんがニコライさんの隣の席を手で示すと、マークさんは一礼をし部屋へと入室する。そして静かに椅子に座ると、ニコライさんに諭すように話しかける。
「ば……ばがばばだんで~……」
これは何を言いたいのか分かった。『わがままなんて』と言っているに違いない。それを聞いたマークさんは小さな溜め息を吐いた。
「……ニコライ様、リーンウン国の王家の方たちを心配していたことは、私が誰よりも分かっております」
マークさんは落ち着いたように話し続ける。
「ですから、心配で駆け出したことは何も言いません。ですが、薬は馬車に載ったままなのですよ?」
そこでニコライさんは泣き止み、足元やポケットなどを確認している。お父様はその様子を見てついにくっくと笑い出し、じいやもお父様につられ始めてしまった。
「バもですね、食事や水が必要なのでニコライ様のことは諦め、途中の村々で草や水を恵んでいただきました。先程、ようやく城に近くなったところでとてもお元気なご老人にお会いしたのですが、城からの帰りだとおっしゃっていました。『多分、あんたらのお仲間がわがまま放題だ』と私たちに言い、去って行かれました」
それはトビ爺さんだろう。確かにニコライさんがわがままを言ったが、そのおかげで大量のおやつを食べることが出来た私とクジャは素知らぬ顔をしてマークさんの話を聞いていた。
「城の方でもないご老人が言うほどに、わがままを言ったのでしょう?」
マークさんは無表情のまま、瞬きもせずにニコライさんの顔を凝視している。そんなニコライさんはすっかりと泣き止み、しどろもどろになっている。
「わわわわ私はただ……カレン嬢の手料理が食べたいとだけ……」
「ニコライ様! それがわがままでございますよ!」
さっきまで無表情で淡々と話していたマークさんが真っ赤になって怒鳴ると、ニコライさんはあっちを向いたりこっちを向いたりと言葉通り右往左往している。お父様とじいや、それにハヤブサさんまでもが口元を押さえ笑いをこらえている。
こんなタイミングで、女中がハヤブサさんとマークさんや、お父様たちにおかわりのお茶を持ってくると、挙動不審になっているニコライさんは目の前の皿をそっと持った。
「……マーク、カレン嬢の手作り料理の残りの一個をあげます。とても美味でした。あ……半分にして、ハヤブサ王にも……」
無理やりなんちゃってサーターアンダギーを手で割ると、半分をマークさんへ、残りの半分をハヤブサさんへと渡そうとしている。
「ニコライ! 貴様父上を愚弄しておるのか!?」
笑いをこらえるのに必死だった私たちヒーズル王国勢は、クジャのその怒号についに我慢しきれず笑い出した。
そして追い打ちをかけるようにマークさんも「そういうところです! 失礼ですよ!?」と叫ぶと、まだ少し体調の悪かったハヤブサさんまでもが大声で涙を流しながら笑い出したのだった。リーンウン国のハヤブサ王、完全復活のようである。
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