貧乏育ちの私が転生したらお姫様になっていましたが、貧乏王国だったのでスローライフをしながらお金を稼ぐべく姫が自らキリキリ働きます!

Levi

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お世話になりました

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 リーンウン国王家の呪いも解き、王族の健康も回復した。スワンさんとオオルリさんの完全な歩行にはまだ時間がかかるが、モズさん一家にマッサージやストレッチの方法、そして歩行訓練の方法も教えた。

 厨房の女中たちにもギョウザなどを教え、ポゥティトゥから片栗粉を作る方法も教えて羽根つきギョウザや餡掛け料理の作り方も教えた。
 かなり手間はかかるが、上新粉、白玉粉、団子粉、餅粉の製造方法とそれぞれの作り方、食感の違いも伝え、さらなる料理の発展を望むことも伝えた。

「皆さん今までお世話になりました」

 ここは城の前の広場だ。そこでペコリと頭を下げると、城中の人たちが一気に騒ぎ出し、誰が何を言っているのか分からない状況になっている。王家と城で働く全員が見送りに出て来ているのだ。

「カレンよ……もうこのままここに住めば良いではないか……」

 クジャはトビ爺さんのようなことを言い、私を抱きしめたまま動いてくれそうにない。

「クジャったらそういうことを言わないの。今度スイレンも連れて遊びに来るから」

 そう言うとクジャはようやく離れてくれた。

「カレンさん、モクレン、ベンジャミン殿、この度は本当に世話になった。またいつでも来てくれ」

 名前の呼ばれなかったレオナルドさんは小声で「俺は?」と言っているが、お父様とハヤブサさんはそれに気付かず固い握手を交わしている。

「スワンさん、オオルリさん、これからも訓練は大変でしょうけど、負けずに頑張ってください。あとオオルリさんのご両親の体調についてですが、体に良いものをスズメちゃんに伝えてあるので、次にお会いする時もスズメちゃんを同行させてくださいね」

 スワンさん、オオルリさん、チュウヒさんは泣きながら「ありがとう」と私に挨拶をしてくれる。近くにいるスズメちゃんは、私たちが帰るのがよほど嫌なのか、しゃくり上げて泣いてしまい会話も出来ない状態だ。

「ガデッ……! ガデンざんっ……!」

「スズメちゃん、私たちの友情は不滅よ。また会いましょうね」

 スズメちゃんを抱きしめてそう言うと、余計泣いてしまいこちらも貰い泣きしそうになってしまう。

「ではカレン、じい。そろそろ行くか」

 お父様の言葉で私たちは馬車に乗り込む。慌ててレオナルドさんも乗り込んだ。
 当初私たちは歩いて帰ると言ったのだが、王家の強い反対と、リーンウン国土産のマイや調味料、そして泡の出るサイガーチなどの苗木や、野菜の種や苗を貰ったりしているうちに物凄い荷物になってしまい、馬車に乗ることになってしまったのだ。

「皆さん! また会いましょう!」

 叫びながら手を振ると、全員が手を振り返してくれる。あんなに華奢だった兵たちは見違えるほどに鍛えられ、敵対心の強かった厨房の女中たちは別れに涙を流してくれている。
 楽しかったリーンウン国での生活だったが、さすがにそろそろ帰らなければならない。

「では出発します!」

 お父様とじいやに鍛えられた兵が御者代わりになってくれている。私たちに確認をとったあと、馬車はゆっくりと進み始めた。

「皆さん! また来ます! クジャ! バイバイ、またね!」

 客室の窓から身を乗り出し、大きく手を振りながら叫ぶ。クジャにはリトールの町で教えた挨拶を言うと、ついに泣き出してしまった。

 馬車は止まることなく進み、城下町へと入る。私たちが帰ることを知らない民たちは、今日も活気溢れる市場で売買をしている。ヒーズル王国でもいつかこんな景色を見ることが出来るだろうか?

 城下町を抜けた馬車は『トーリ』の下を潜り、道なりに進んで行く。随分と長い日数をこの国で過ごし、何となくしんみりとしてしまい全員が無言でいたが、何か聞こえてくる。何かと思い窓から外を覗くと、泣きそうになってしまった。

「娘っこ~! 見えてるかぁ~!?」

 トビ爺さんが叫び、村中の人たちがカラフルな布を振り回し私たちを見送ってくれている。その人たちの前方ではモチをついている男性陣が見える。

「お父様! じいや!」

 私が指をさすと、二人とも窓から外を見る。

「また来るから!」

「また会おう!」

 私とお父様が叫ぶと、カラフルな布がさらに舞う。喜び事や祝い事にと本物の赤飯やモチを教えたが、トビ爺さんたちオオゾラ村の皆は、あえて私たちの見送りのためにモチをついてくれたことに感動した。

 私がたくさんのマイ料理を教えたので、この国の料理はさらに発展するだろう。オオゾラ村の少年たちには釣りを教えたので、大人も子どもも楽しみながら魚を獲ることが出来るだろう。
 つい先日のことなのに、全てが懐かしく感じてしまう。

 いろいろなことを考えながら、窓から流れる景色を見ているとふいに馬車が止まった。辺りには村も何も無い。何かあったのだろうか?

 窓から身を乗り出して辺りを確認すると原因が分かった。すっかり忘れていたが、さてどうしようかと悩む。お父様も窓からそれを確認し、理解したようでニヤニヤと笑い始めた。とにかく一度私たちは馬車から降りることにしたのだった。
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