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王国作りの再開
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各住居でのお泊り会は盛り上がりをみせた。家の裏口を抜けた先である裏庭ではかまどに火を起こし、まるでキャンプのようである。隣に泊まっているじいやたちと寝る前のお茶を楽しみ、程よい頃に家へと戻った。
照明は無いが、試しに使ってみようと暖炉を使うと、ゆらゆらと揺れる炎が暖炉の前を間接照明のように優しく照らす。
昼と夜との気温の差が激しいヒーズル王国なので、家には私の覚えていた知識を使ってその対策をしている。今は夜仕様だ。けれどあまり風の吹かないこの土地でも、窓の隙間から冷たい空気が入って来る。いずれガラスを購入しよう。
「暖かいねぇ」
暖炉の前はとても暖かい。スイレンが揺らめく火を見つめながらそう呟く。
「大きな子どもがいるって、こんな感じなのね」
「あぁもう! かわいいわね!」
スイレンが呟いただけで、ハコベさんとナズナさんが騒ぐ。そしてスイレンの横をキープしている。どうやら二人は、男の子なのに私よりも女の子らしくかわいいスイレンにメロメロのようなのである。
「まだ聞いていないリーンウン国の話はないのか?」
「何か姫らしい話とか」
対して、姫なのに男の子のような私にはタデとヒイラギが構って来て話を聞きたそうにしている。
パッと思い付いたのはコッコを捌いた話だ。首を落として羽をむしり、城では女中たちが倒れ、オオゾラ村ではお父様すらも困惑させてしまった話をすると二人は手を叩いて笑っている。
ふと視線を感じそちらを見ると、まるで化け物を見るかのような目をしているスイレンと目が合ったが、そっとそらした。
「そろそろ寝ましょうか」
ハコベさんがそう言う。てっきり二階の部屋を使うのかと思っていたら、暖炉の前でこのまま全員で寝ようと言う。暖炉に関してはブルーノさんが作り慣れており、一酸化炭素中毒の危険もなく煙突がしっかりと仕事をしてくれている。
なので断る理由もないので私とスイレンは承諾した。
「まさか……こうなるとは……」
寝る準備をハコベさんとナズナさんがしてくれ、さぁ寝ようとした時に私は呟いた。その私の呟きにタデが「不満なのか?」と不満げに言う。
「不満はないけど驚いただけよ……」
普段はスイレンと共に寝ているが、そのスイレンはハコベさんとナズナさんに挟まれドキマギとしている。そして私はタデとヒイラギに挟まれている。想像もしていなかった川の字を二つを作り、どこでも寝れる私はすぐに眠りに落ちた。
────
翌朝、朝から甘々な実の両親を横目に広場で朝食を食べた。私のいない間に食事は老人たちが男女関係なく作るようになっており、皆の為にと働く老人たちは元気になっており、そして明らかに腕を上げていた。
「では今日は、完全に住める家を作りましょうか」
昨夜は新しい住居にたくさんの民たちがお試し入居した。寝泊まりするには何も問題はないが、住むとなると最後の仕上げがある。その為の確認も兼ねて、畑をずらしたという場所の確認にまずは向かうことにした。
「ここは問題ないわね。ただここが……」
戻って来て早々に、骨が折れる作業を伝えるのは心苦しかったが、民たちは「待っていました!」と言わんばかりに笑顔でスコップを手にし、作業に取り掛かる。説明だけでもその作業が大変なことは分かるだろうに、イチビたち仲良し四人組は特に気合いが入っていた。
「ヒイラギ、お便所の調整をお願いしても良いかしら?」
一度広場へ戻り、昨日荷物から降ろしてもらった便器を地面に置く。
「このお便所はこのように使うのだけれど……」
陶器で出来ている洋式の便器にはまだ便座も蓋もない。暖房便座などない世界なので、便座も陶器にしてしまうとお尻が冷たい。当たり前に便座が暖かいと思って、座ると実は冷たかったという経験は日本人ならあるだろう。あの感覚が嫌なのだ。
「それでこんな感じで……」
服を着たままではあるが、便器に座る真似をすると興味津々の民たちに囲まれ、変な恥ずかしさから汗をかいてしまう。
平静を装い、ヒイラギに耐久性のある木材で便座と蓋を作ってもらうことにした。
「まだ試作品のお便所だから、全て形が違ってしまうの」
そう言って謝ると、「大丈夫だよ。尻に優しいものを作るから」とヒイラギは笑っている。こちらもやる気スイッチが入ったようだ。数名の手先が器用な者を集め、材質からこだわろうと何の木材を使うかで議論を交わしている。
「私は何をすればいいのだ?」
ふとそんな声が聞こえ振り返ると、お父様がこちらを見て立っていた。けれどその横にはお母様がピッタリとくっつき、昨日までのお父様不足を解消しようとしている。もうすぐ丸一日になろうとしているのに、お母様にはまだ二人の時間が足りないようだ。
「……お父様はそうね……頼みたいことはまだ先になるから、お母様と一緒にサイガーチやアワノキの様子でも見て来て」
私の言葉を聞いたお母様は笑顔になる。そしてハマナスにどの辺に植えたのかを聞き、ウキウキとお父様の手を引き森へと向かって行った。
「では残った皆は道具を持って住居へ」
さぁ今日からまた王国作りが始まった。今日一日でこの国は大きく変わることだろう。
照明は無いが、試しに使ってみようと暖炉を使うと、ゆらゆらと揺れる炎が暖炉の前を間接照明のように優しく照らす。
昼と夜との気温の差が激しいヒーズル王国なので、家には私の覚えていた知識を使ってその対策をしている。今は夜仕様だ。けれどあまり風の吹かないこの土地でも、窓の隙間から冷たい空気が入って来る。いずれガラスを購入しよう。
「暖かいねぇ」
暖炉の前はとても暖かい。スイレンが揺らめく火を見つめながらそう呟く。
「大きな子どもがいるって、こんな感じなのね」
「あぁもう! かわいいわね!」
スイレンが呟いただけで、ハコベさんとナズナさんが騒ぐ。そしてスイレンの横をキープしている。どうやら二人は、男の子なのに私よりも女の子らしくかわいいスイレンにメロメロのようなのである。
「まだ聞いていないリーンウン国の話はないのか?」
「何か姫らしい話とか」
対して、姫なのに男の子のような私にはタデとヒイラギが構って来て話を聞きたそうにしている。
パッと思い付いたのはコッコを捌いた話だ。首を落として羽をむしり、城では女中たちが倒れ、オオゾラ村ではお父様すらも困惑させてしまった話をすると二人は手を叩いて笑っている。
ふと視線を感じそちらを見ると、まるで化け物を見るかのような目をしているスイレンと目が合ったが、そっとそらした。
「そろそろ寝ましょうか」
ハコベさんがそう言う。てっきり二階の部屋を使うのかと思っていたら、暖炉の前でこのまま全員で寝ようと言う。暖炉に関してはブルーノさんが作り慣れており、一酸化炭素中毒の危険もなく煙突がしっかりと仕事をしてくれている。
なので断る理由もないので私とスイレンは承諾した。
「まさか……こうなるとは……」
寝る準備をハコベさんとナズナさんがしてくれ、さぁ寝ようとした時に私は呟いた。その私の呟きにタデが「不満なのか?」と不満げに言う。
「不満はないけど驚いただけよ……」
普段はスイレンと共に寝ているが、そのスイレンはハコベさんとナズナさんに挟まれドキマギとしている。そして私はタデとヒイラギに挟まれている。想像もしていなかった川の字を二つを作り、どこでも寝れる私はすぐに眠りに落ちた。
────
翌朝、朝から甘々な実の両親を横目に広場で朝食を食べた。私のいない間に食事は老人たちが男女関係なく作るようになっており、皆の為にと働く老人たちは元気になっており、そして明らかに腕を上げていた。
「では今日は、完全に住める家を作りましょうか」
昨夜は新しい住居にたくさんの民たちがお試し入居した。寝泊まりするには何も問題はないが、住むとなると最後の仕上げがある。その為の確認も兼ねて、畑をずらしたという場所の確認にまずは向かうことにした。
「ここは問題ないわね。ただここが……」
戻って来て早々に、骨が折れる作業を伝えるのは心苦しかったが、民たちは「待っていました!」と言わんばかりに笑顔でスコップを手にし、作業に取り掛かる。説明だけでもその作業が大変なことは分かるだろうに、イチビたち仲良し四人組は特に気合いが入っていた。
「ヒイラギ、お便所の調整をお願いしても良いかしら?」
一度広場へ戻り、昨日荷物から降ろしてもらった便器を地面に置く。
「このお便所はこのように使うのだけれど……」
陶器で出来ている洋式の便器にはまだ便座も蓋もない。暖房便座などない世界なので、便座も陶器にしてしまうとお尻が冷たい。当たり前に便座が暖かいと思って、座ると実は冷たかったという経験は日本人ならあるだろう。あの感覚が嫌なのだ。
「それでこんな感じで……」
服を着たままではあるが、便器に座る真似をすると興味津々の民たちに囲まれ、変な恥ずかしさから汗をかいてしまう。
平静を装い、ヒイラギに耐久性のある木材で便座と蓋を作ってもらうことにした。
「まだ試作品のお便所だから、全て形が違ってしまうの」
そう言って謝ると、「大丈夫だよ。尻に優しいものを作るから」とヒイラギは笑っている。こちらもやる気スイッチが入ったようだ。数名の手先が器用な者を集め、材質からこだわろうと何の木材を使うかで議論を交わしている。
「私は何をすればいいのだ?」
ふとそんな声が聞こえ振り返ると、お父様がこちらを見て立っていた。けれどその横にはお母様がピッタリとくっつき、昨日までのお父様不足を解消しようとしている。もうすぐ丸一日になろうとしているのに、お母様にはまだ二人の時間が足りないようだ。
「……お父様はそうね……頼みたいことはまだ先になるから、お母様と一緒にサイガーチやアワノキの様子でも見て来て」
私の言葉を聞いたお母様は笑顔になる。そしてハマナスにどの辺に植えたのかを聞き、ウキウキとお父様の手を引き森へと向かって行った。
「では残った皆は道具を持って住居へ」
さぁ今日からまた王国作りが始まった。今日一日でこの国は大きく変わることだろう。
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