貧乏育ちの私が転生したらお姫様になっていましたが、貧乏王国だったのでスローライフをしながらお金を稼ぐべく姫が自らキリキリ働きます!

Levi

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緊急対策会議

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 あさっての方向へ歩くお父様にツッコミを入れることも出来ず、私とお母様は動けずにいた。まだ頭も心も落ち着かない。

 そんな中、小屋から報告に来た者がお父様たちの歩く方向を軌道修正し、そしてお父様と一緒にオヒシバの背中をさすりながら、国境予定地へと向かって行った。

 そして広場に残された私たちは、まず食事をしてしまおうと夕食を食べることにした。けれど手間暇のかかるものを作る気には誰もなれず、かと言って何も食べないわけにはいかないので、野菜たっぷりスープとなんちゃってナンという、至ってシンプルなものを作って食べた。
 食べてから考えよう作戦だ。

 人々が集まり会話が進んでいくが、最大の難問だったのは、子どもの出来た者たちについてだ。
 もうコソコソとしなくても良くなったのだが、ほとんどの者が簡易住居で一人で暮らしていたり、家族と暮らしていた。

 お母様や年配の女性たち、そして出産経験のある女性を中心とし、緊急対策会議が開かれた。

 ハコベさんは子どもを亡くしてしまった過去があるし、体調も常に悪そうだ。そして初産となるナズナさんも、かなり体調不良が続いている。
 タデとヒイラギが、四六時中付きっきりというわけにもいかない王国事情もあり、タデ夫妻とヒイラギ夫妻はしばらく共同生活をすることになったのだ。

 そして空いたヒイラギ宅に、ウルイとミツバが共同生活のために移り住むことになった。
 ちなみに二人はお父様たちよりも少し歳上のようだが、お相手はワラビさんにゼンマイさんという、まだ二十歳を過ぎたばかりのお姉さんだ。
 私の感覚からすると、ちょっと……と思ってしまったが、本人たちは幸せそうにしているので良しとした。

 問題はイチビたちだった。

 イチビとナデシコさんはヒイラギ夫妻のような、ほんわかとした二人で、シャガとセリさんはタデ夫妻のようで、実はシャガはセリさんラブで甲斐甲斐しく介抱をしている。ハマスゲとキキョウさんは、姉御肌のキキョウさんの尻に敷かれることになりそうだ。

 住居の二階部分は誰が住んでも問題がないように、すなわち子どもが増えても大丈夫なように、狭くはあるが各住居に個室が四つある。
 イチビたちのお相手たちはそのままそこに移り住むことに決まったが、問題はオヒシバである。

 仲良し四人だと思っていたのに、自分だけ相手がいなかったのだ。しかも他の皆に相手がいたことも知らなかった。
 それは全員が全員に言い出せずにいたらしいので、あの時に相手がいたことをそれぞれが初めて知ったらしい。

 そんなオヒシバを、あんなに大号泣していたオヒシバを、お菓子の家のような甘い空気が漂う場所にそのまま住めというのは、あのお母様ですら「あまりにも酷じゃない?」と言い出した。

 緊急対策会議の大半をオヒシバについて語り合っていたところ、思わぬ救世主が現れた。

「オヒシバは私の住居に住まわせましょう」

 白熱する議論が交わされる中、聞き覚えのある落ち着いた声に私たちが振り向くと、そこにはヒゲシバがいた。

「私が炭を焼いている間、妻が一人で寂しい想いをしてしまうので、私の住居にオヒシバを住まわせますよ。良いだろう? メヒシバ」

 メヒシバと呼ばれた女性は、今の今まで私たちと緊急対策会議をしていた年配の女性だ。
 呆気にとられていたメヒシバさんだったが、「思いつかなかった! そうね、そうしましょう!」と、むしろオヒシバと住むのを喜んでいるようだった。

 他にも何組かのカップルがいたが、女性の体調が安定しているようなので、申し訳ないが簡易住居で生活をしてもらうこととなった。
 こちらが申し訳ないと謝罪すると、むしろようやくおおっぴらに二人でいれると喜ばれ、何とも複雑な気持ちとなってしまった。

「では真っ暗になってしまう前に、引っ越しをしてしまいましょう」

 お疲れ気味のお母様の言葉で、私たちは一気に動き出した。
 辺りはまだ薄暗いが、見やすいようにと何人かが松明を作って火を灯す。文字通り松を……いや、マッツを使った松明はメラメラと燃え、辺りを優しく照らしてくれた。

 松明の灯りを頼りに引っ越し作業が始まった。とはいえ、私たちヒーズル王国民は私物をほとんど持っていない。カゴや木箱に衣類や食器を詰めれば、ほとんど作業が終わったようなものだ。

「持つよ」

 新米パパたちはお相手の女性を気遣い、軽いその荷物を持っている。微笑ましくて、思わず笑みがこぼれた。

「ハコベ、大丈夫か?」

「ナズナ、歩けそう?」

 タデとヒイラギは奥様に話しかけるが、二人は「うー……」と唸り首を振る。タデとヒイラギは奥様をお姫様抱っこをするが、その表情は泣き顔ではなく、幸せそうな微笑みに変わっていた。

 どの人たちも幸せそうに微笑む姿を見て、私が初めて外に出た時とは良い意味で、だいぶ変化したこの王国を愛しく思い、私も微笑みが絶えない引っ越し作業の手伝いとなった。

 ただ、オヒシバの荷物だけはまるで遺品整理の時のように誰もが無言で見つめ、そしてしめやかにヒゲシバ宅へと運ばれて行ったのだった。
 帰って来たらまた落ち込むわね……。頑張ってね、オヒシバ……。
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