貧乏育ちの私が転生したらお姫様になっていましたが、貧乏王国だったのでスローライフをしながらお金を稼ぐべく姫が自らキリキリ働きます!

Levi

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騒ぎとは……

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 お父様も泣き止み少し落ち着いた頃、まだ少し涙声のお父様が口を開いた。

「そうだ……監視小屋に行かねばならなかったのだ……」

 立ち上がったお父様に、ようやく話せる状態までになったタデが涙声のツッコミを入れる。

「待て。一人で行けばまた道に迷うだろう?」

 皆で笑う中、小屋から走って来た者は一緒に行くつもりのようだったが、言い出せずにまごまごとしている。その者に気付くことなく、イチビたち四人が立ち上がった。

「私たちが同行します」

 頼りがいのあるその言葉を聞いて、タデもヒイラギもホッとした表情を見せてくれたが、なぜか一人、また一人と女性たちがハコベさんたちの側へとやって来た。

「……言い出せずにいましたが……おそらく私も子どもが……」

「私も……」

 身に覚えがあるのか、口々に暗い表情で告白をし始めた。このお祝いムードの中でそんな表情なのは、おそらく独身だからだろう。
 途端に広場は違う騒ぎになってしまった。

「……え? えぇ!? あなたたち、結婚をしていないわよね!?」

 あの最強の天然であるお母様まで、目を見開いて驚きの声を上げている。

「あ……相手は……?」

 お父様も変な汗をかきながら、女性たちに質問をしている。

「……ハマスゲ……」

 そう呟いたのは、いつもお母様と糸や布作りをしているキキョウさんだ。そしてそのキキョウさんと仲良しのナデシコさんも口を開いた。

「……イチビ……」

 名前を出された二人を見ると、喜びというより驚きで固まっている。硬直というやつだ。というよりも、聞いた私たちも予想外の人物で硬直している。

 誰かが何かを聞く前に、女性たちは次々と相手の名前を言い始め、名前を呼ばれた男性たちはさらに硬直していく。
 私がモールタールの扱い方を教えたウルイとミツバも含まれており、喜ばしいのだが順番が違うとおババさんたち年配の女性が騒ぎ始めた。

「……じい……」

 困り果てたお父様がじいやに助太刀を頼もうとしたが、この年齢まで独身だったじいやは心に傷を負ったのか、空を見上げ「星が綺麗」などとメルヘンチックなことを口走っている。ちなみにまだ星は出ていない。

「と……とりあえず、新たに父と母になった者は固まってくれ……」

 動揺しまくりのお父様の号令で男女のペアになっていくが、どうやら複数の女性に手を出した不届き者はおらず、なぜか私がホッと胸を撫で下ろした。
 そこで私は不思議に思い、おそるおそる口を開いた。

「ねぇ……こんなにも同時に子どもが出来るの……?」

「そういえば……」

 私の問いかけを聞いたお父様も同じことを思ったのか、不思議そうな顔をしている。
 あぁ……私のこういう部分が子どもらしくない。理由が分かってしまった気がする……。

「……おそらくの話なのだけれど……監視小屋ね……?」

 あの、ただの板を貼り付けただけである簡易住居で……とは考えにくい。私の言葉を聞いた男女ペアの肩がビクッと揺れた。それはもちろんタデとヒイラギもで、私からそっと目をそらした。

「そうよね……同性同士という決まりはなかったのだもの……」

 私の言葉を聞いた新米パパとママたちは、言葉を発さず真っ赤になって俯いてしまった。分かりやすすぎる。
 そんな中、純粋すぎるスイレンが爆弾発言をした。

「男と女が小屋に行ったら子どもが出来るの? じゃあカレンも、シャガとハマスゲと一緒に泊まったよね? カレンは子どもが出来ていないの?」

 その言葉を聞いた私とお父様は真っ赤になり、目にも止まらぬ速さでスイレンの元へと行き、残像が見えるほどスイレンを揺すって「その話はもうするな!」と叫んだが、スイレンは意味が分からずされるがままになっている。

「話を戻そう……皆、結婚で良いな?」

 乗り物酔い状態になったスイレンはその場にへたり込み、我にかえったお父様が話をまとめ始めた。
 お父様の言葉を聞いた皆は、それぞれパートナーと恥ずかしそうに目配せしあい、そして頷いた。

「とはいえ、すぐに宴が開ける状況でもない。……悪いが国境が完成してからになる」

 結婚するということで、おババさんたちも納得したのか、ようやく静まってくれた。婚約と言って良いのか分からない皆は「はい」と、はにかんだ笑顔を見せてくれた。

「では、もうほとんど結婚しているようなものだ。今日からお互いを大事にしながら暮らすのだぞ。では私は小屋へと向かう。シャガ、オヒシバ、行くぞ」

 あのお父様が疲れきった表情で、しかもどう暮らすかも決めないまま一歩を踏み出すと、一人の女性の声が響いた。

「待ってください!」

 声の主に注目が集まるが、それは毎日一緒に農作業をしていたセリさんだった。

「わ……私も……」

 真っ赤になって片手を上げるセリさんに、あちらこちらから「え!?」や「は!?」という声がかけられる。
 それもそうだ。セリさんは毎日元気いっぱいで、体調不良を起こしていなかったからだ。

「あの……あの! 私は……昔からシャガが好きで……みんなと違って、ムギン畑の中で私から押し倒しました!」

「そこまで言うなぁぁぁ!」

 真っ赤になったシャガがダッシュしてセリさんの元へと行き、両手で抱き締めてセリさんが話せないようにその胸元へセリさんの顔をうずめさせた。
 大好きなシャガに急に抱き締められたセリさんは、まさに昇天と言わんばかりに気を失ってしまった。

「……シャガ、介抱してやれ……。レンゲ、あとは頼む……。…………行こうか、オヒシバ」

 お父様はそう言いながら、その場に佇むオヒシバの肩を叩いた。そんなオヒシバは、彼氏の浮気現場を見てしまった女の子のような顔をして、友人であるイチビたちを瞬きもせずに見つめていた。
 ただ、そんなオヒシバに対して後ろめたいのか、イチビたちはオヒシバを見ることが出来ず、四人は違う意味の修羅場となっていた。

「お……おおぉぉぉぉん!!」

「分かった分かった……。一晩でも二晩でも話を聞いてやる……」

 一人だけあぶれてしまった大号泣のオヒシバの手を引いて、お父様は見当違いの場所へ歩き始めた。セリさんはまだ目が覚めず、そして広場は胸やけするほどの甘ったるい雰囲気になっている。
 私とお母様はどこから手を付けたら良いのか分からず、二人で頭を抱えたのだった。
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