貧乏育ちの私が転生したらお姫様になっていましたが、貧乏王国だったのでスローライフをしながらお金を稼ぐべく姫が自らキリキリ働きます!

Levi

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冬の話1

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 ヒーズル王国に冬が訪れた。初めての冬ではないが、美樹としての意識もある私にとっては、ある意味では初めての冬だ。

 驚いたのはその寒さだ。雪が降るわけでもないし、ものが凍るわけでもない。なのに空気が乾燥しているせいで、その寒さは骨身にしみる程のかなり厳しいものに感じられた。

 今までこんな寒さの中で、民たちは身を寄せ合って暮らしていたかと思うと、自然と涙が出そうになってしまう。
 それでも民たちは「立派な住居も建ったし、森や畑のおかげでいつもより空気が湿っているので暖かい」と笑うのだ。バラックのような住居で、これ以上に乾燥していたであろう寒さは相当辛かったと思う。

 そんな民たちからいただいた大事な税を使い、テックノン王国から輸入した冬用の暖かい衣服を全国民に配った。
 ちなみにお父様とじいやは衣服ではなく、『メー』の毛皮を暑いと言いながらも羽織っている。まるで羊人間のようだが、モコモコでどことなく可愛いので良しとしよう。
 さらに革も輸入し、手作業が得意な者たちに新しい靴作りも頼んだ。これでボロボロの靴を履く者はいなくなった。

 思い返してみれば、私とスイレンは『外』の概念もなく、寒ければ二人でくっつき寝床から出ないこともしばしばあった。
 特に美樹の意識がない『ただのカレン』は、わがまま放題の問題児だ。この体から美樹を分離して過去に戻れるなら、誰よりも厳しいスパルタ式の躾を施すだろう。
 そんなことをスイレンと話し、私たちは今までの謝罪と感謝を込めて、これまで以上に働くと誓いあった。

 まずはヒーズル王国の、大事な大事な収入源となっている畑についてだ。

 霜が降りるわけではないとはいえ、さすがにこの寒さでは冷害を心配したが、意外なことに野菜や果実は元気にスクスクと育っている。これはこの世界では常識のことのようだ。
 種は発芽し、花も咲き実も成る。ただ寒さのせいか、成育の速さがいつもより幾分かは遅くはなっていた。

 テックノン王国はヒーズル王国の野菜を求めるが、正直これ以上畑を拡大するのは難しいと思った。畑だけに集中するわけにもいかないので、何かとやることの多い我が国は人手が足りないのだ。
 だがこの土地では、植えてしまえば勝手に育つほど作物自体には手がかからない。何に手がかかるかといえば、水やりや草刈りだ。そこで畑の改修工事をすることにした。

 今すぐに必要なわけではないが、何年、何十年先を考えると、やっておいて損はない作業もすることにした。
 皆が寒いと言う中、動けば暑いと騒ぐ人間重機二人にうってつけの仕事だ。

 人工オアシスに浮かんでいるミニイカダを渡し、川を渡ってタッケの伐採と採集を頼んだのだ。もちろん民たちはこの無茶振りに『こんな寒い中……』と引いた顔で私を見ていたが、二人は「体を冷やせる!」と喜び、さらに民たちをドン引きさせていた。

 ただ、この作業をタッケだけでやろうとするなら、あの繁殖したタッケも全て失くなってしまうだろう。
 なのでテックノン王国へ使いを出し、作ってほしい物の説明をし発注をかけた。ついでに鉄砲風呂用の銅の筒と、全住居分プラスアルファの便器も発注した。
 本格的な冬になるまでは、そんなに室温が気にならなかったが、冬はさすがに寒い。風呂や住居用のガラス窓も発注し、風呂の水が早く温まるように、鉄砲風呂の筒を熱伝導の良い銅製に変えたのだ。
 民たちが今まで頑張ってくれたおかげで、たくさんの税金が手元にある。私たち王家は民たちのために出来ることをするだけだ。

 発注していた物が届くまでの間に、収穫を終えた畑を掘り返した。スイレンには第二の浄化設備を作ってもらうように頼み、水路も延長してもらうことにした。
 ちなみに広場の前には、屋根付きの立派な水汲み場と炊事場をいくつか建設してもらった。きっとこれから先も、この広場での大宴会が途切れることはないだろうからだ。

────

 数日後、発注していた素焼きの土管が届いた。土管といっても日本人が想像するような太さではなく、かなり細めの土管だ。
 そしてそれを待っている間に、伐採されたタッケを適当な長さに切り、節取りをしておいた。
 伐採を頼んだお父様とじいやはいつものように競争が始まってしまい、危うくタッケを全滅させてしまうところだったが、途中で気付いたおかげで全滅は免れ、今は残されたタッケノコたちが空を目指して背伸び中だ。

 この素焼きの土管とタッケを使って作るのは、暗渠排水設備だ。本来なら水捌けの悪い畑や田んぼに使うのだが、この水捌けの良い土地には今は全く必要ないのかもしれない。
 しかし土も豊かになってきたこの土地で、将来的に何かがあったことを考え対策をしようと思ったのだ。備えあればなんとやらだ。

 農作業をしたいと言って来てくれた移民たちの力も借りて、まずは掘り返した畑に束にした節抜き済みのタッケを並べていく。割れていても良いし、なんなら太いタッケには穴を開けたくらいだ。
 その上に、テックノン王国経由で輸入した、リーンウン国産のマイの籾殻を敷き詰め、さらにタッケから落とした枝も上に重ねた。
 一部の枝はタッケほうきを作るのに使った。私たち世代の子どもたちも、技能向上に向けて色々と作るのだ。

 籾殻はかなり費用はかさむと思ったが、クジャたちは私たちのために動いてくれ、かかったのは輸送費くらいで、タダ同然で使い切れない程の籾殻をくれたのだ。

 あまりのご厚意に申し訳なくなり、少量ではあるが保存の効く果実を持たせ、マイやセウユ、ミィソや酒を追加発注したくらいだ。
 こちらとしても調味料が手に入るのはありがたい。

 後日、どれだけ少量でも構わないからと、リーンウン国からも果実の追加発注が来たことは言うまでもない。
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